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第10話 「踏まれし者 3」

 ひんやりとした空気を感じながら、薄暗い階段を一歩一歩降りていく。

 先は見えず、暗闇で覆われている。

 頭ではわかっている。


 『先に進むのは何かヤバイ』


 チラッと後ろを見ると、少し離れたところを執事が歩いている。


 コイツを倒して逃げられるか?

 いや、無理だろう。

 観察してみると、年の割に身体が大きく見える。

 肉弾戦では勝てない。

 腰には細剣もぶら下げている。


 考えながら歩いていると、何か臭いがしてきた。

 鼻にこびりつく臭い。

 どこかで嗅いだことある…。

 なんの臭いだったか…。


 気が付くと、階段は終わりを迎えていた。


 四角い石作りの部屋。

 壁にはたいまつが掲げられている。

 正面にはさび付いた鉄の扉があった。



「仕事場はその中だ。」



 仕事場。仕事場ねぇ。

 こんな薄暗い地下で俺はどんな仕事をやらされるのか。

 鉄の扉を押し開け、部屋の中に入った瞬間、臭いは強くなる。



 部屋の中には、大中小の大きな刃物に血のこびりついた木の机

 中央には何かの肉塊がぶら下がっている。


 あぁ思い出した。

 この臭いは、動物を解体するときの臭いだ。

 つまり俺の仕事は…。




 動物の解体ですね?




 そう喋ったつもりだった。

 小さく開いた口からは、僅かに息が漏れる。


 喋れなくなった…!


 驚いて後ろを振り向こうとする。

 そしてようやく気が付いた。

 身体が動かない。



「仕事場とは言ったが、君の仕事場ではない。」



 コツコツと執事が近づいてくる。



「私の仕事場だ。」



 ドンッと背中に大きな衝撃が走った。

 目の前にぶら下がっているはずの肉塊が、凄まじい勢いで近づいてくる。

 いや違う、近づいているのは俺のほうだった。

 頭と四肢が遅れまいと身体の動きに一生懸命についてきて、肉塊に叩きつけられる。

 頭を地面にめちゃくちゃに打ちつけながら転がり、仰向けになってやっと落ち着く。

 ひんやりとした地面に着いた背中の一部が、焼けるように熱い


(蹴られた…!蹴り飛ばされた!!!)


 顔を少し上げると、肉塊と『目が合った』。

 両手足を縛られ天井にぶら下げられている。

 晒された首には大きく斬られ、血が少しずつ流れ出ている。


 この肉塊は…人間だ。

 綺麗に捌かれ過ぎていて、何の肉かわからなかった。

 こいつらは人間を食うのか。


 コツコツと執事が近づいてくる。


 このままじゃヤバイと思い、覚えている魔法を唱えようとする。

 料理をするときに使うような小さな火を起こす魔法だが、なにもしないよりはいい。

 片手を執事に向け、魔法を唱えようとした。



「スパル…「シェンスタニ!」



 俺が魔法を唱えるよりも早く、執事は魔法を唱えた。


 片手を上げたまま動けなくなる。



「やはり魔法が使えるようだな。」



 心臓が今までにないほど激しく脈打つ。

 身体中が酸素を欲しているのに浅い呼吸しかできない。



「魔力を持つ者の肉は美味だと言われていてな。御主人様の大好物なんだ。」



 執事は近づきながら、すらりと細剣を抜いた。


(動け!動けっ!動けよぉぉぉおおお!)


 どんなに願っても、まぶた一つ動かせない。



「悲鳴を上げることも、もがくことも許さない。清く死ね。」



 そういうと、初老の執事は

 俺の胸を『踏みつけ』、逆手に持ち替えた細剣を振り下ろした。





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