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第9話 「踏まれし者 2」

 いつまで経っても売れていない奴隷を観察し

 俺たちは売れにくい方法を身につけた。


 今にも死にそうな顔をして、よだれを垂らしながらうめき声をあげる。

 そうすると、買い手たちは気味悪がって近づかない。


 夜は俺たちの時間だ。

 互いに檻に顔を押し付け、いろんな話をする。

 アマンデオの王都での暮らしや、昔読んだ本について。

 歩く人から盗み聞ぎした話もした。


 俺たちはそうやって何日も何日も生きてきた。


 そんなある日、一つの噂話を耳にする。



『ある王族が、子供の奴隷を買い占めているらしい。』



 俺は歓喜した。

 遂に来た。もう少しだ。

 もう少しで俺はこのクソみたいな生活から抜け出せる。



「アマンデオ。聞いたか?」


「う、ん。きっと、父上だ…!」



 アマンデオは目を輝かせながらつぶやく。



「お、兄ちゃんも、一緒に、来れるよね?」


「あぁ、アマンデオ。俺は親に捨てられた。どこまでもお前についていくよ。」



 そういうと、アマンデオは嬉しそうに笑った。




 その次の日だった。

 俺だけが売れたのは。



「おい。出ろ。」



 檻の扉が開き、奴隷商人がのぞき込む。

 奴隷商人の隣には、スーツを着た白い肌のガイコツのようなヤツが立っていた。



「お前の新しいご主人様だ。」



 檻から出て立ち上がると、久々に働いた膝の関節が悲鳴を上げる。



「お、兄ちゃ…!」



 アマンデオが悲痛そうな声を上げる。


 もう少しでアマンデオと一緒に王都で暮らせると思ったんだが…。

 残念だが、仕方がない。

 このガイコツも一見、貴族のようだ。

 隙を見つけて逃げ出すこともできるかもしれない。



「アマンデオ。お前はきっと親が見つけてくれるさ。」



 俺はガイコツに連れられて馬車に乗り、汚い街を後にした。




 ガイコツはやはり貴族のようだった。

 街から少し離れたところに大きな屋敷を建てていた。


 屋敷の前に馬車が止まると、初老の執事が現れ馬車の扉を開けた。



「お帰りなさいませ、御主人様。」


「あぁ。コイツのことを頼むよ。」



 ガイコツは馬車を降り、屋敷の中へ入っていった。



「お前はこっちへ来なさい。」



 執事に呼ばれ、俺は馬車から降りる。



「俺は、ここで何をするんだ?」



 執事は黙ったまま歩き続けた。

 裏口から屋敷の中へ入ると、そこは厨房だった。


 大きな鍋から小さな小瓶まで、様々な道具が並べられている。


 その厨房の脇に、地下へと通じる階段があった。



「降りろ。」



 執事に従い、階段を下る。

 薄暗い階段を少し降りると、執事が階段のドアを閉め、鍵をかけた音が聞こえた。








次は太陽フレアが到達したくらいに投稿します。

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