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幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
第四章 魔物編 不思議な縁の魔物達
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2.よし、もう考えるのは止めだ

こういうシーンって、どうすればそれっぽい雰囲気になるんですかねぇ………?

「………兄様、ごめんなさい!」



 家に戻ったら、いきなり現れる妹の土下座。

 流石にビビった。





 どうやら本人の罪悪感が凄い事になっているようで、シロは俺が帰ってくるのを玄関で待ち構えており、俺が来たとわかった瞬間に飛び込むような土下座を披露した。

 体から頭、髪に至るまで全身を使って行っている土下座は、申し訳ないが『伏せ』にしか見えなくてかなり可愛い感じになっております。


 まぁ、プルプルと震えながら頭にペタンとくっついている耳や、いつもはワサワサと揺れている尻尾もしんなりとしており、その本心がどれだけ怯えているのかが分かるので、急いでフォローすべきだろう。


 俺はゴブリンをクリス先生に、フランをメニに預け、シロの下へ駆け寄る。


「シロ、顔を上げてくれ。むしろ謝らないといけないのは、俺の方だ」


 俺は膝をついて、目線を出来る限り下げる。


「………そんな事は―――」


「いいや、俺が悪いんだ。実際、俺がお前の心配を軽く見ていたのは確かなんだ。それでこんな事になってしまったのなら、それは兄である俺の責任にもなるんだよ」


「………兄様。………でも、私は」


 俺の言葉を聞いてシロは顔を上げてくれるが、その表情は納得できていないのがありありと表情に出ていた。


 まぁ、シロは誰に似たのか知らないが相当頑固だ。だから、自分が悪いと思ってしまった以上、自分から折れる事はほぼ無い事は分かっている。



「なぁ、シロ。今回は『二人共ごめんなさい』って事で駄目か?」



 という訳で、初手から頑固者に効く『必殺、両成敗ッ!』を使わせてもらおう。

 この手段は元の世界でよく使っていた説得手段であり、夕莉や俺の妹の春奈によく効いた手段だ。逆にその二人から同じ事をされて、俺が折れた事も多かったが。


「シロ。お前と俺は、小さい頃からずっと一緒だっただろ?だからこそ、俺にとってシロが隣にいる事は既に当然の事になっていたんだ。だからこそ、俺らに遠慮なんて殆ど無いだろ?」


「………うん」


「だからといって、気兼ねない関係を超えて蔑ろにしていい訳じゃない。それは俺の意識の甘さだ。俺が一回死んだ時、シロの心には相当なトラウマと負荷がかかったはずだしな。それを軽視していたよ」


 俺はジッとこちらを見つめるシロの頭を撫でながら、思っている事を出来る限り言葉にしてシロに伝える。

 表情は無表情のままだが、尻尾がゆらゆら揺れているのを見ると、やっぱり俺の妹可愛いなって思う。


「だから、これからはちゃんとシロの言葉をしっかりと考える。シロが不安に思うなら、その問題の解決策を二人で考えよう」


「………兄様」


 膝立ちする俺と、土下座から顔を上げたシロとの目線はぴったり重なる。

 シロは、まるで俺の言葉を聞き逃さない様にするかの如く、ジッと俺の事を見ている。

 

 今なら俺の言葉がしっかりと届くはずだ。


 シロを安心させるために出来る限り思っている事を全て伝える事を意識して―――。



「シロも思った事があれば、遠慮なく俺に言ってほしい」



 全部、全部、全部―――。





「俺はシロの事が大好きだからさ。これからの人生、シロともずっと一緒に居たいんだよ。な?」





 瞬間、場の空気が固まる。



 驚きに目も見開くという、珍しい表情になっているシロの顔が、徐々に徐々に赤く染められていく。


 モフモフな銀色の耳と尻尾はピンッ!っと全力で立っており、シロ自身の驚きが相当な物である事を伺わせる。





 あ?



 あぁ………?



 あ、あぁ………!?



 ああぁぁぁァァァァァァッッ!?





 即座に自分が本音(・・)を零してしまった事に気づき、遅れてついてきた心が発狂待った無しだった。




 

 俺、何を口走ってんだぁッ!?


 思った事を全て伝えようとするあまり、明らかに余計な言葉を言ってしまったァ!?


 こんなもん、十中八九確実に告白を超えた『プロポーズ』以外の何物でもないじゃないかよぉ!?


 そんなもんをこんな玄関でって、俺は何をやっているんだよぉォォ!?


 『な?』って、何!?何だよッ!?俺が聞きてぇよぉッ!?





 表情には出来る限り出さない様に苦心しながらも、俺は心の中で猛烈に錯乱、絶叫、発狂、暴走する。



 あー、やべー、冷汗が止まんねぇよー。


 

 何がまずいのなんのって、シロの事に意識が全力で向いてたから意識してなかったが、俺の後ろにはエルフ4人+教皇の孫の精霊教組に、担任の先生がいらっしゃるのだ。


 更にチラッと玄関の奥を覗けば、そこには唖然とした表情で俺らを見つめる8つの目(剣士4人組)とドアから出ようとするタイミングで固まっている4つの目(ラーナとリボル)

 トドメを刺すように、シロのすぐ後ろにはシロの親御さん(母さん)まで君臨していた。


 何で俺がボロを零した瞬間に限って、知り合い総出で見られてんだよ!?

 てか、リボルは何でこんな絶妙なタイミングで現世に降臨されていらっしゃるんだよ!?



 もう俺の心は、平穏とは全く遠い所に蹴っ飛ばされてしまったようだ。

 限りなく思いっきりオウンゴールなんだが。






「シ、シロ………?」



 驚いた表情で真っ赤になったまま、ピクリともしないシロに恐る恐る話しかける。



「………ッ!?」



 俺の声を聴いて、再度ビクンッ!と震えるシロ。


 硬直したままなのは変わらないが、耳がビクンビクンと震えたかと思うと、パタパタッ!と激しく動き始める。尻尾も、ピンッと直立だった状態からゆるゆると左右に揺れ始め、どんどん振り幅がでかくなっていき、最終的にいつも以上に尻尾が揺れている。



 こ、これは、どういう感情なんだ………!?


 喜んでいると思っていいのか………!?



 一度口に出した以上、俺は言葉を撤回するつもりは全く『無い』。


 無い、が、正直に言うとLike寄りの好きであり、『兄弟愛』と言わざるを得ないんだ………!

 しかも、俺には夕莉がいるし………!


 どうすればいいんだぁ………!?





「………あ、兄様」


 俺が心の中で男らしくないほどアワアワしていると、シロの方から話しかけてくれた。

 その表情は、まだ落ち着ききっていないのか若干赤いままだ。


「………さっきの言葉が、思わず出てしまった言葉だって分かってる」


 シロは心を落ち着かせるように目を閉じながら、ポツポツと喋り出す。


「………兄様には思い人がいる事も知ってるし、私の事は『兄妹としての好き』なのも分かってる」


 その表情は普段の無表情に戻ってきたが、その雰囲気は少し寂し気であり悲しげだ。


 俺が、毎晩夜中になると行う夕莉との【念話(コール)】は、時折声を出して喋ってしまう時があり、それを疑問に思った皆から聞かれて何をしているか話した事があるので、家族みんなが知っている事だ。


 そしてシロは、俺の言葉の真意をほぼ全て読み取っていた。

 凄いな、妹よ。


「………シロ」


 耳がふにゃんと垂れ、尻尾もしんなりとしているのを見て、かなりの罪悪感が湧く。


「シロ、俺は―――」





「でも、逃がさないよ?」





「え?」



 俺は、咄嗟にシロに何かを言ってフォローしようとしたが、次の言葉ですべて吹き飛んでしまった。


「………恋人、ましては兄様のお嫁さんになれたら、一生生涯ずっと一緒に居られる」


 そう言うと、シロは俺の顔に手を伸ばしてくる。




「………それは私にとって一番幸せな事」




 そう言って、シロはめったに見せない笑顔を見せる。


 その笑顔は、素直に可愛かった。

 思わず、無言になって見惚れてしまうほどに。




「………だから、私は兄様の言葉を言葉通りに受け止めるよ?」




 そして続けて、いたずらっぽい笑みまで浮かべてみせるシロ。


 この数分の間に、今まで見た事無いシロの表情をたくさん見ている気がする。


「でも、俺には好きな人がいるんだぞ?シロは、それでもいいのか?」


 シロ自身の思いは分かったが、その事実は変わらない。それはシロにとってどうなんだろうか?


 だがシロはそんな事を聞く俺に対し、笑顔以上に見せないあきれ顔を見せる。



「………そんな事がどうしたの?」



 俺の心配事を、シロは『そんな事』と言ってぶった切る。



 そう言えば、ここは異世界。

 重婚バチコイ。誰に恥じる事があるというのか?寧ろ、多い方が凄いだろう?という価値観の世界だった。


 この世界に転生してからもうそろそろ12年経つが、未だに根幹に根付いている地球上の感覚が抜けない所があるのは何だろうか?



「………だから、兄様―――」


 シロは、再度姿勢を整える。


 そして―――。





「『私』と『母様』、二人纏めて結婚してください」





 シロは綺麗な三つ指をついて頭を下げる。



「って、何で母さんも!?」


「あらあら」


 シロが唐突に母さんを巻き込んだ為、俺は素っ頓狂な声を上げてしまう。

 母さんは自分の頬に右手を当て、首を傾げている。が、何処か嬉しそうなのは何だ?


「………兄様は好きな人がいて、私一人を追加でお嫁さんにするのに罪悪感がある」


「あ、あぁ」


「………でも、私は兄様のお嫁さんになりたい」


 淡々といつも通りの無表情でとんでもない事を言うシロ。

 り、リアクションに困る………!ココは素直に喜んでいい所なのか………!?


「………そして私は思いついた」


 シロは掌を叩き合わせて、思いついた!のジェスチャーを行う。無表情で。シュール。




「………一人じゃなければ兄様も気にならないはず」


「何でそうなった!?」




 シロは、名案でしょ?と言わんばかりのドヤ顔(初めて見た)を決めてみせる。思わず頭を撫で回したくなるほど可愛い。

 今日は見た事無いシロがいっぱいだ(現実逃避)。


「か、母さんも息子と結婚なんて、考えた事も無いよね?」


 シロの『迷案』に思わず突っ込んでから、母さんに問いかける。

 母さんならシロの言葉に対して、否定してくれるだろう。


 そう思い、顔を上げて母さんの方を向くとーーー。




「シロちゃん、流石よ!母さんの望み通りなのよぉ!」




 普段の母さんから想像がつかないほどに、元気な感じでピョンピョン飛び跳ねていた。



「えぇぇ………!?」 


 予想を裏切る母さんの姿に、俺は唖然とするしかない。


「か、母さん………?シロが言っている相手は俺だよ?実の息子だよ?」


 母さんが勘違いをしているという思いと共に、再度問いかけるも。




「問題は無いわぁ!レイと母さんは義理の親子なのよ!」


「衝撃の事実ッ!?」




 テンションが跳ね上がっている母さんから、俺も初耳の情報が飛び出す。


「ちょっ、母さん!?義理ってどういう事!?」


「今はそんな些細な事よりも、レイとの結婚の方が大事よぉ!」


「全く持って、些細な事じゃないよ!?」


 俺の疑問を、母さんは文字通り一蹴する。

 こんなテンションの高い母さん、初めて見た………。


「いいえ、些細な事よ」


 母さんは俺の両肩を掴み、目を見て話しかけて来る。




「血が繋がっていてもいなくても、レイが母さんの息子という事実は変わらないもの」




「母さん………!」


 母さんのその言葉は、驚くほどスッと胸に刺さった。



「俺も、母さんのこt―――」

「でも、血が繋がっていないなら結婚出来るわよぉ!」



 俺も母さんに気持ちを伝えようとしたが、今の母さんはそれどころでは無い様だ。泣きそう。



「………兄様、どう?」

「レイ、駄目かしら?」


 抱き着き合った二人が、それぞれ俺を見つめて来る。



 なんかもう色々起き過ぎて、考えるのが馬鹿らしくなってきたなぁ………。


「よし、もう考えるのは止めだ」


 決めた。


 貰えるのは貰ってしまおう。


 それが、物であれ、嫁であっても。



「じゃあ二人共、今日から俺のお嫁さんになるか」



 俺は、これからの人生を決めるルートの中から、『ハーレムルート』を選択した。





「シロ、母さん、大好きだよ」




 今はまだLike寄りだが、言っておくべきだろう。


 俺が両腕を広げると、母さんとシロは俺に飛び込んでくる。




「私も兄様、大好きっ!」

「レイ、愛しているわよ」




 母さんとシロは、パァっと表情に花を咲かせて、そう宣言した。

前々からハーレムにする!とは宣言していたんですが、ハーレムルートって導入難しいですね。

どうやっても雰囲気作るのに失敗したので、結果はっちゃけました。


ハーレムって何すればいいんですかね?

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