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幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
序章 試行錯誤の子供時代
9/121

8.………兄様の命令なら何でも聞く

話を変更しました。

 母さんが迷宮の話をしようとした時。



「…………って!」


 ドタドタッ!


「ちょっ…………よ!」


 バタバタっ!



 走り回るような音がして、部屋の外が騒がしかった


「あら、そういえばリネアに子犬を洗ってもらうように頼んでいたわね」


 母さんの話のですっかり忘れてました………。


 母さんから降りて、子犬の方へ………、


 ガシッ!


「ちょっ、母さん、子犬の様子を見に行きたいんだけど!」


 あふれる母性本能が収まるところを知らなかった。




 

 何とかして、母さんの懐から脱出して(俺、涙目は卑怯だと思うなぁ!?)、部屋のドアを開ける。


 そして廊下に出ると、



 タオルを手に持った赤い猫耳メイドと、明らかにびしょ濡れな子犬がにらみ合っていた。



 どうやら、拭かれたくない子犬と、拭かないと小屋が濡れて困るリネアで追っかけっこをしていたようだ。


 もう床はかなり濡れちゃってるけどな………。


 それにしてもこの子犬、綺麗な銀色の毛をしてるな。


 そうやってボーとみていると、子犬の方は俺に気が付き


「ワゥゥ……!、ッ!?、キャン!」


 ちょっ、俺に突っ込んできた、って、えぇ!?


 子犬が光りだした!?


「待て、止ま、………ぐっ!?」


 まぶしくて、目が!?


 目をつぶった為、避ける事も叶わず光の塊は俺に突っ込んで………、


 ガシッ!


 いや、抱き着いてきた。


 俺は抱き着いてきた勢いに負け、押し倒された。


 少しして光が収まったのを感じ、自分に【軽回復ライトヒール】を掛けながら起き上がる。


 普通にタックルが痛かったんですが………。


 そして何かがくっついているお腹付近を見ると、



 パタパタっ!



 楽し気に左右に尻尾を揺らし、



 ピンッ!



 と、犬耳を直立させた、



「………兄様!」


 銀色の髪をしたびしょぬれ幼女が抱き着いていた。



 子犬が飛びついてきたと思った?


 残念、ケモミミ幼女でした!


 ………いや、全然残念じゃないけどさ。



 OK、ひとまず落ち着こう。


「聞きたいことは山ほどあるが、とりあえずお前は体を拭いてくれ………」


 あぁ、俺の服までびしょびしょに………。


「………そうした方が兄様も嬉しい?」


 俺を見上げて無表情で首をかしげるケモミミ幼女。


「もちろんだ。俺も濡れたくはないからな」


「………じゃあ拭いて?」


 そういって幼女は俺を見る。


「わかった。リネア、タオル貸してくれ」


「はい、坊ちゃま。それにしても、この子はいったいどういう事なのでしょうか?」


 リネアは不思議そうにしながらも、座り込んでいる俺にタオルを差し出した。


「わからん。とりあえず、リネアは俺の服を持ってきてくれ。この子に着せる」


 いつまでも全裸はあかんでしょう。


「わかりました。カミア様も呼んできますね~」


 そう言って、リネアは母さんもいる俺の部屋に向かった。


「さぁ、お前も立ってくれ。座ったままじゃ拭けない」


「………ん」


 頷くと幼女は立ち上がって、両手を広げる。

 勿論全て見える。


「なんでお前は俺に対してそんなに無防備なんだよ………」


「………兄様だから?」


 首を傾げる幼女。


 なんだそりゃ。



 ゴシゴシゴシ………



 とりあえず頭から拭いていく。


「なんで俺が兄なんだ?」


「………んっ、そこ気持ちいい。………私を助けてくれたし、痛いのも直してくれた」


 そう言いながら俺をじっと見つめる獣耳幼女。


「………一人の私を守ってくれる。………つまり、私の兄様」


「そんな、単純な………。実は、お前を騙す為に良い人ぶってるかもしれないぞ?」


「………それはない」


「なぜそう言い切れる?」


「………野生の感」


 俺に髪をわしゃわしゃされながらも、表情を変えることなく胸を張る幼女。

 なぜか自慢げな雰囲気だった。 


 なんか、俺を兄と慕ってくれるこの子を気になってしまって、目を離せなさそうにないんだが………。

 この年にして母さん直伝の庇護欲が沸いた瞬間だったかもしれない。





 体を拭いた後、俺の服を着せてから事情を聴く事にしたんだが………


 スリスリ、クンクン


「ちょ、近い近い。離れてくれ」


「………ヤ」


「ちょっ」


「あらあら、この子すごくレイに懐いているわね」


「ですねぇ~」


 この小屋のリビングにあたる部屋で、母さんとリネアの対面のソファに座っているんだが、この獣っ子俺にくっついたまま離れてくれないんだよ。


 母さんとリネアは笑って助けてくれない。


「はぁ、もうこのままでいいか………。聞きたい事があるから答えてくれるか?」


「………兄様の命令なら何でも聞く」


 この高い忠誠度はどこから来るのかホントに知りたいです。


「名前は?」


「………シロア」


「シロアか。お前は何者だ?子犬が人になるなんて初めて見た」


 母さんも、魔物が人になるのは初めて見たらしい。


「………逆」


 ん?


「………私元々この姿」


 そう言って、シロアは俺に見せる様に両手を広げて見せる。


「それじゃ、俺が見つけた時のあの姿は?」


「………スキルの影響?。………生まれた時から使えたからわかんない」


 そういって首をかしげるシロア。


 つまり、子犬の状態がスキルで変化した状態か。


「あら、そのスキルなら聞いた事あるわ。【獣化ビースト】といって、獣になって身体能力が上がるスキルよ。獣王が持っているスキルとして知られているわね」


「へぇ、じゃあ小さいのにシロアはすごいんだな」


「………ん」


 俺がそう言うと、シロアは感情の起伏に乏しい顔をこちらに向ける。

 が、尻尾がすごい勢いでパタパタしてて、すごく嬉しそうだ。


「あと、シロアは何であそこに一人でいたんだ?」


 見た感じでは、あの場に他の獣人はいなかったように思う。


「………わかんない。………気が付いた時にはここにいた」


 どういうことだろうか?獣人のシロアが生まれた時からここにいたとすれば、赤ん坊の時は一人で生きられるわけがない。

 その期間は誰が育てたのいうのだろうか。


「両親とかはいないのか?」


「………知らない。………人を見たのは兄様が初めて」


 ………もしかして刷り込み(インプリンティング)で俺を親代わりだと思ってるのか?



 シロアの問題点はそれだけじゃないらしい。


「レイ。シロちゃん、ただの獣人じゃないみたい」


 そう俺を呼ぶ母さんは、目が光っていた。【鑑定(アナライズ)】を使って見たのだろう。


「シロア、ステータスを見せてくれないか?」


「………ステータス?………どうすればいいの?」


「自分の事がわかる板が出る魔法だ。『ステータスオープン、リアライズ』っていえばこんな感じで出てくるぞ」


 俺の前に青い板が出てくる。俺のステータス板だ。


 急に青い板が出てきたので、最初はビクッっとフサフサの尻尾を逆立て驚いていたが、


「大丈夫だ」


 頭を撫でてやると、ゆっくりとシロアは落ち着いてきた。


 ケモミミがフサフサしてて、頭を撫でるの癖になりそうだ。


「………わかった、やる。………ステータスオープン」


 シロアの前にもステータスが出てきた。


「………お揃い」


 そういって、撫でる俺の手に頭を押し付ける。


 俺をお揃いになれて嬉しいようだ。

 ういやつだな。

 しっかりと頭を撫でてやる。


 さて、シロアのステータスは………。




☆ステータス☆


名前:シロア

Lv:2

種族:神狼族

年齢:2

性別:女

職業:無職


称号:【神獣フェンリル】【レイヤードの妹】


HP:23/23

MP:5/5

STR:E

VIT:F

INT:F

MID:F

DEX:F

AGI:E

LUK:D


スキル:【獣化ビースト】【加速アクセル





 え、神獣?

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