13.もしかして、エルフの皆様は………!?
更新が開いてしまって本当に申し訳ないです!
何とか地獄の3月を乗り切ったので、更新頻度を戻して行けたらなって思います。
【神の軌跡】の光が徐々に弱くなり、ようやく目を開ける事が出来た。
俺が目を開けると、そこには―――。
「み、見える、見えるよ!ちゃんと右目で前が見えるよ!」
年相応の口調で、ピョンピョン跳ねまわりながら喜ぶ少し子供っぽいエルフが。
「本当に不思議だわ………あれだけピクリともしなかったのに………」
驚きが強すぎたのか、一周回ってキョトンとした顔で両腕を見つめる大人びたエルフが。
「凄い凄い!姉様達の怪我が治ってるよ!?」
そんな二人を見て、自分の事の様に大喜びする子供エルフが。
「嘘、脚がある………動くし………曲げれるし………立てる………」
余程実感が湧かないのか、呆然とした表情で脚を動かすダークエルフが。
各々が無くした物を取り戻した事に、落ち着くまでかなりかかった。
「そろそろ大丈夫か?」
「「「「はい」」」」
4人が落ち着いたのを見計らって話しかけてみると、4人は即座に返事を返し膝をつく。おぉ、めっちゃ綺麗に揃った。
「一生、主に付いていく所存」
「何なりとお申し付けください」
「精一杯頑張ります!」
「………………」
そして、順番にそれぞれの決意を述べていく。最後、頭下げたままだったけども。
「おう、それは了解した。だが、その決意を受け取る前に聞きたい事があるんだ」
そう。まだ俺にはわからない事があるんだ。
「とりあえず、全員一回自己紹介してくれないか………?」
横でクリス先生がコケるのが見えた。
一人目:少し子供っぽいエルフ。
「我の名は『ラーグフィナ・グレス』!爆炎の魔術師フィオと呼んでくれ!」
ラーグフィナ―――フィオは元気な声で立ち上がって右目にピースを添える、所謂『邪気眼ポーズ』を取る。
成程、どんな子なのか理解した。
「フィオ、真面目にやりなさい?」
「はい、ごめんなさい………」
俺が一人で納得していると、横で大人びたエルフがフィオをぶった切る。意外と言う事は言うね、このエルフ。
ぶった切られたフィオは、しょぼんと体を縮める。
「………実はエルフなのにMPが一桁しかなくて、魔法が全然使えません。それと戦闘は苦手です………」
完全に心折れてるじゃん………。
ていうか、エルフでMP一桁って逆にすげーな。だが、エルフなのに魔法が使えないって言うのは、エルフの里では色んな事を言われてきたのだろう。
何だか可哀そうだったので、フィオの前で片膝をつき、目線を合わせる。
「………?」
フィオの眼は綺麗に澄んだ空色をしていた。目を見ただけで分かった。
この子は純粋な子なんだろう。純粋だからこそ自分の出来ない事に憧れ、それを望むのだろう。
俺は右手で、フィオの頭をポンポンしてやる。
「んっ」
フィオは、唐突な俺の行動にビクッとなる。
「魔法が使えない事くらい気にするな。俺はそんなエルフが一人くらいいてもいいと思うぞ」
「そう………?」
「あぁ、それこそフィオが他のエルフとは一味違うって事だろ?自信を持て、お前は特別だよ」
「そうか、我は特別かぁ………!」
「あぁ、フィオにしか出来ない事があるはずさ。だから一緒に頑張ろうな」
「おう、任せるのだ!エルフの中でも特別な我が、主の為に尽くして見せるのだ!」
そう言いながら、フィオは自信に満ちたいい笑顔を見せてくれる。
本当に純粋でいい子だ。何とかそんな子を励ます事が出来た。こういう年の子は『特別』って言葉に弱いからな。俺だって言われたら嬉しいし。
後は、ちゃんとこの子が頑張れることを見つけてあげないとな。
二人目:大人びたエルフ。
「さっきはフィオの事を励ましてくれてありがとうございます。フィオは調子に乗りやすい所がありますが、何卒お願いします」
大人びたエルフは、いきなり俺に頭を下げて来る。先ほどこのエルフの発言でフィオが落ち込んだからだろう。
「んにゃ、気にしてねぇよ。あれはフィオを守る為だろう?」
スタートでものすんごい大風呂敷広げてたしな。
あのままだと俺が誤解したまま色々進み、俺が事実を知った時のフィオの信用の下落は避けられなかっただろう。それを防ぐと同時にフィオの人間性?エルフ性?を俺に伝える為だろう。
「お姉ちゃんは大変だな」
「いえいえ、そんな事も無いですよ?」
大人エルフは右手をパタパタと横に振り、おもりが大変だという事を否定した。
というか、手がめっちゃ綺麗だ。スラっとした指が白い肌に映えるな。
そんな手タレ目指せるエルフさんは、ぽろっと問題発言をする。
「それに姉は私じゃなくて、フィオが私達の姉ですよ」
「「えっ」」
思わず、俺と横で聞いていたクリス先生が声を上げる。
「私は『ミーミトルテ・グレス』。グレス家の次女に当たります。私の事はトルテとお呼びください」
そう言いながら、トルテは微笑む。
「贅沢を言える立場では無いのは承知していますが、私は戦闘が嫌いです。なので、メイドとして主様のお役に立てればと思います。どうぞ、よろしくお願いします」
そして、頭を下げる。
トルテは、戦闘が『苦手』では無く『嫌い』と言った。つまりはそう言う事だろう。
本当にフィオの事が大好きなんだな。
三人目:子供エルフ。
「僕は『レードキキ・グレス』!グレス家の末っ子なの!よろしくね!」
一番ちっちゃいエルフ―――キキは右手を上げながら、元気いっぱいに自己紹介する。
「好きな事は姉様たちと遊ぶ事!特技はまだわかりません!フィオ姉様と一緒に探します!」
キキはニッコニコしながら、何の躊躇いも無く何も出来ないと言い切る。
いやー本当に元気だ。しかも恐ろしく素直だ。そこまで正直に言ったら色々大変だと思うんだけどなぁ。
そんなキキにトルテも軽く頭を抱えてるし。
キキも、フィオと同じく出来る事を探す必要がありそうだ。
四人目:ダークエルフ(族長の娘)
「俺は『メニ・ランナバウト』。一応ダークエルフの長の一族」
唯一のダークエルフであるメニが自己紹介を始める。
さっきのも思ったが、淡々と喋るタイプのようだ。
「こんなんでアレだが、脚には自信がある」
そう言いながら、メニはほぼむき出しになった脚を俺に見せて来る。
「………ゴクリ」
「御大将………?」
思わずつばを飲み込んでしまった俺を、クリス先生が横目でにらんでくる。
いや、コレはしょうがないって!マジでエロいんだよ!
元々足が無くなっていたメニはズボンも当然の如く破れており、太ももの付け根ギリギリまで足が見えている。
しかも、超が付くほどの美脚である。今まであった人の中でトップクラスに美脚である。
大事な事なので二回言いました。
足技が得意と言っていた通り、健康的に鍛えられた太ももは程よく引き締まりスラっとしており、ダークエルフ特有の褐色との組み合わせが最強だと思う。
「た、確かに誇っていいレベルの美脚だな」
だから、思わずどもってしまったのもしょうがないと思うのです。
「………ありがと」
何気なくそっぽを向くメニだが、その褐色の肌でさえ分かりやすいほどに顔が真っ赤になっている。可愛い。
「お、俺は主君の矛として戦う事をここに誓う」
顔の赤みが収まりきっていないが、メニはこちらを向き直して決意を述べる。話を逸らす気がバレバレである。
その美脚から放たれる足技を拝見したい本心。
五人目:羊角の獣人幼女。
「私はリリス!パパの娘なの!」
「「「「………………」」」」
「俺が言わせたわけじゃねぇよ!?」
奴隷の幼女が俺の事をパパと呼んだ瞬間に4人が何とも言えない目をする。冤罪もいい所である。まぁ娘にするって宣言しましたけどもね。
六人目:亜人の子(魔物?)
「ウチはレナウン。よろしくね!」
八重歯を光らせて、二カッと笑うレナウンに俺は気になっていた事を聞いてみる。
「奴隷商が魔物って言ってたがどういう事だ?」
「えーっとね、ウチはグラスボアなの」
レナウンはサラっと答える。
グラスボアって言ったら、草原に行ったら大体一匹は見るイノシシの魔物だが………。
「何でまたグラスボアが人の姿をしているんだ?」
クリス先生も気になったのか、質問する。
エルフ四人も気になっているようで、聞き耳を立てている。
「えーっとね、分かんないや!」
だが、レナウンも首を傾げている。
「お腹が空いてた時にね、近くに落ちてた初めて見る木の実を食べたんだけど、そしたらいつの間にかこんななっちゃった」
確実にその木の実じゃねぇか!
七人目:クリス先生。
「私は『クリス・デルター』。クリカトル学園で教師をしている」
クリス先生が自分の職業を話すと、四人のエルフが驚いた顔をする。
「えっ、クリカトル!?」
「もしかしなくても、トリス様が長を務める所よね?」
「ホントっ!?」
「それは興味深い………」
やはり学園長はエルフ界隈だと相当な有名人のようだ。
「ハハッ、私はそこまで凄い人間では無いよ」
そう言いながら、クリス先生は右腕を横に振って否定する。
「ていうか、私人間じゃないしな」
「「「「「「えっ!?」」」」」」
自分が竜人と言うのをオチに使うのって、どうなのよ………?希少種の種族が泣くよ?
八人目:ティオ様。
「私は『ティオ・マルス』と言います。先ほども申した通り、マルスメティアの教皇一派の一人です。どうぞよろしくお願いします!」
自己紹介を終えると、ティオ様は深々と頭を下げる。
さっきも思ったがなかなか元気な子のようだ。
「質問宜しいでしょうか?」
ココで意外な事にトルテが手を上げる。
「はいトルテ様、何でしょう?」
「教皇国家は、様々な宗教を保護かつ布教していると聞きます。そこで聞きたいのですがティオ様は何教の方なのですか?」
この世界には6つの宗教がある。
マルスメティアは各枢機卿のトップがそれぞれの宗教の代表であり、その六大勢力のバランスを教皇が取っている国だ。
ココで重要になるのが、教皇がどの派閥に所属しているのか。と言う所にある。
やはりどんな聖人であろうと、どうしても身内びいきが発生してしまう。その為、その時の教皇の所属宗教が頭一つ抜けるのだ。なので各枢機卿は、教皇の子供に自分の宗教に来てほしがるそうな。
そしてここで重要なのが、宗教によっては人類至上主義の宗教も存在するという事だ。『叡智教』と呼ばれるのだが、貴族間で高い人気を誇っている。ガルザード帝国は国教としてここを選んでいる。
ちなみに現在の教皇である、ティオ様の祖母は『世界神教』というアルカナを祀る教団に所属しているらしい。
「私ですか?」
ティオ様は首を傾げる。それを少し緊張した様子で見つめるエルフ達。場合によっては敵対する可能性もあるからしょうがないだろう。
まぁ、ティオ様が普段から各国を慰安に回るのを知っている俺からすれば、その可能性は全く無いと断言できるんだけどな。
ティオ様はまだ派閥に所属していないと聞いているが、恐らく祖母と同じように『世界神教』だと思―――。
「私はまだ誰にも伝えてませんが、『精霊教』に入りたいと考えています」
「って、え!?」
予想外のチョイスに。俺は思わず声を上げてしまう。
「よしっ」
「ふぅ、良かったわ」
「ほっ………」
「いい選択だ」
エルフ達も喜びの声を漏らす。
まぁエルフ村には、夕莉が「『精霊教』一択!」と言ってるらしいからね。恥ずかしい事に。
正直『精霊教』って、6つの中だとマイナーの部類に入る宗教なんだがな………。
「もしかして、エルフの皆様は………!?」
ティオ様はその反応を見て、期待を込めた眼差しを向ける。
「その通りだ!」
「えぇ、エルフ一族は皆『精霊教』ですよ」
「族長の方針なの!」
「あの族長の『精霊教』押しも、不思議なほどだがな」
「………………」
メニの一言に何とも言えない気持ちになる俺。
「それは凄く嬉しい事です!教国では殆ど居ない同士に、まさかエルフがいるとは思いませんでした!」
そして、ティオ様はエルフ達の言葉を聞いてピョンピョン跳ねて喜ぶ。
この後に、自己紹介が凄くしずらいんですけど!
ラスト:俺。
「俺はレイって言う名前だ」
どうあがいても避けられなかったので、諦めて自己紹介をする。
全員から見られるのって、中々むずむずするね。
「えーっと、まず俺は―――」
丁度いい機会なので、全てを話してみようと思う。
今月中にはこの章を終わらせたいなぁ………。




