6.大丈夫だよ。シロとも約束してるからね
少しずつでも更新頻度を縮めつつ、文を増やしていきたいなぁ、と
セルディマと対面してから約10日後。
「さて明後日だが、進級クラスを決める実力テストを行うのは、皆知ってるな?」
帰りのHR中。
教卓に両手をつくクリス先生の話の時間だ。
「さて、お前達が初めて受ける実力テストだが、試験内容は入学試験と一緒で『筆記試験』と『実技試験』だ。筆記試験は、これまで午前の部で習ってきた範囲の中から問題が出される。実技試験はまだ秘密だ」
クリス先生は、一度言葉を切って俺らを見渡す。
「現在のクラスはランダムで決められているが、2年からは実力順で決められる。つまり試験の合計点数でクラスが決まる訳だ。気合を入れる様に。また、その後に控えている修学旅行だが―――」
クリス先生の話は続いているが、俺はこの前の事を考えていた。
件の友達申請(リアルな奴)に対してセルディマは快く承諾してくれた。
高ランカーのフレゲットだぜ!
いやね、男友達なんてマジで一生できないと思ってたので、かなり嬉しいんですよ。
やっぱりね、高校の時女の子に囲まれたいとか妄言零してたけど、実際にやると男友達が欲しくなるね。男友達と居たら凄い気を抜く事が出来るありがたさよ。
二次元主人公の皆さん、勝手な事言ってごめんなさい。
丁度良かったので、そんなセルディマの方から目撃されたドラゴンの話を聞いた。
『ドラゴンが目撃されたのは、グランディアの左隣にある国メルエス。そこの辺境の町だ』
『メルエス』はいたって普通の国らしい。これと言った強みも無いが、逆に弱みも無いらしい。手堅く周辺の国とお付き合いをしており、周辺国との様々な取引で国を回しているらしい。いわば交易の中間を担っている国だ。
そんなやり方で国を回すとか、絶対王様頭いいだろうなぁ。
『メルエスの近くにある山脈付近で空を飛ぶ白い蛇のような生き物を見た、という報告が多発してな。それでギルドの調査員を派遣したんだが、調査員も目撃したんだよ』
その調査員の報告によると、山脈の頂上付近を飛んでいたらしい。
【遠視】と言う名前通りのスキルを持った調査員だったらしく、見た目の報告も上がっていた。
『うっすらと青く見える白い色をした蛇のような胴体で、頭部はドラゴンの様で、鹿のような大きな角が頭部に2本生えていた。それと申し訳程度に胴体の上の方に腕が付いていた』
なるほど、確かにドラゴンだ。
ただし『竜』ではなく『龍』。日本産のドラゴンだな。
この世界では、龍もドラゴンの一種という事になっている。
この世界に召喚された勇者にはもちろん日本人もいる。そんな日本人がそんな見た目のドラゴンもいる、と広めたらしい。
『報告ではそのまま上空を飛び去ったらしいが、いつ山頂付近から降りて来るか分からないだろ?だから、警告という名目で全冒険者ギルドに通達してんだよ。なんかあったら、コウも協力してくれると助かるぜ』
そんな感じでセルディマとの会話は終わった。
龍かぁ。日本人として一度は見てみたいけどな。
「以上で連絡を終わる。解散!」
ふと気づくとHRが終わっており、クラスの皆は各々行動を始めていた。
どうやら、かなり考え込んでしまっていたようだ。
「………兄様」
いつの間にか俺の横には、いつも通り無表情なシロもいた。
「………今日はどうする?」
「これからか?んー、どーすっかなぁ」
したい事、したい事………。
あっ。
「そうだ、俺やってみたい事があったんだよ」
「………何?」
小首をかしげるシロ。
「料理」
俺がそう言うと、シロの耳がピョコンッ!と立ち上がる。
「………何で?………もしかして私達のに不満?」
そう言うシロは、少し悲しそうな雰囲気だ。
「違う違う。お前らの料理に不満なんかねぇよ。寧ろ大好きだよ。いつもありがとな」
シロの頭をガシガシと撫でてやる。
「………ん」
シロは目をつぶって頭を押し付けて来る。少し嬉しそうだ。尻尾もパタパタしている。
「いやな、この前ステータス見てた時に【料理Lv.1】をいつの間にか覚えててな。どうせなら使ってみたかったんだよ」
「………わかった。………今日の料理は一緒に作ろ?」
「おうよ」
話も付いたので帰ろうと思い席を立つと、丁度クラス前方のドアが開く。
「お邪魔しまーす」
「しまーす!」
「失礼するわ」
「お邪魔するわ~」
剣士四人娘だった。
「あ、シロちゃんとレイ君がいたよ!」
俺らを見つけたカナンが声を上げる。
「良かった、まだいたね」
「そうね、間に合ったようで何よりだわ」
「ホント、良かったわ~。HRが長引いちゃったからもう帰っちゃったかと思ったわ~」
そう言いながら剣士四人娘が近づいてくる。
「わざわざ隣のクラスからどうした?」
「今日レイ君家に行きたいなって!」
カナンが元気に返事をする。
それを聞いたクラスメイトがこちらを注目している。女子は只の興味本位だろうが、男子からはかなり鋭い目線を感じる。
剣士四人娘皆可愛いもんな。いいだろ!
「この子、今日の夜ご飯に美味しいものが食べたいってだけだけどね」
「ちょっ!?」
ぼそっとシオンがばらす。
「まぁ、いいじゃない~。シロちゃんとラーナさんのお料理美味しいもの~」
「そうだね。私も食べられるなら食べたいし、料理も覚えたいしね」
そこをセレナとニルがフォローする。
「うぅ、セレナちゃん、ニルちゃん、ありがとぉー」
「全くすぐそうやって庇うんだから」
「いいの、いいの。この子はこんな感じだからね」
「うふふ~」
本当に仲が良い4人組だ。
「まぁ、家に来て飯を食うのはいいが、今日料理作るの俺だぞ?」
「「「「えっ!?」」」」
四人はギョッとした顔をして俺を見る。
「レイさん料理できるの!?」
「ほ、ほんとにぃ………?」
「あら、レイが料理をするなんて意外ね」
「そうだよね~。私も驚いちゃったわ~」
「そんなに驚かんでも………」
四人ともそんな意外そうな顔をしちゃって。失礼しちゃうわ。
「まぁ、シロやラーナにかなうはずもないけどな。こいつらの料理ホントにうまいし」
「………ん」
シロの頭にポンっと手を置く。俺の言葉を聞いたシロは、嬉しそうに尻尾をゆらゆらと揺らしている。
シロってスキンシップをすると嬉しそうなんだよな。だから思わず頭撫でちゃうんだけどな。
「まぁ、レイさんの料理は気になるね」
「そうだね!貴重な機会だし食べたいな!」
「どんな料理を作るのかしらね?」
「美味しいものが食べたいわ~」
俺の料理と聞いても、肯定的な意見だ。4人は俺の料理でもいいようだ。
「じゃあ行くか」
「………ん」
「いいよー」
「うん!」
「分かったわ」
「ふふふ~」
そんな感じで6人で帰った。
ちなみに、男料理代表格の炒飯と野菜炒めを振舞ったら思いの外好評で、シロやラーナにも作り方を教える事になった。
たまにはこんな感じで色々現世の料理を伝授していきたいな。意外と広まってないみたいだし。
それから数日経ったある朝。
実力テスト当日の事。
「さて、今日のテストは気合を入れていくか」
「………ん!」
俺の言葉に対して、シロは握り拳を作って珍しくやる気を見せている。
「主様なら大丈夫なのです」
キッチンでお皿を洗うラーナが此方に顔を出しながら、そう励ましてくれる。
「まぁ、俺の実力を全てばらすって訳でも無いが、ある程度は戦って上位クラスに行きたいしな。そろそろ色んな人と戦って経験値を積まないといけないし」
クリス先生との特訓はかなり身になるが、シロやクリス先生だけだとどうしても戦闘が対スピードタイプ寄りになってしまう。
その点剣士四人娘が午後錬に加わったのはかなり良かったと思う。
あの四人もここ数十日である程度強くなっている。上位クラスも夢じゃないだろう。
『レイ、ちょっといいかしら?』
そんな感じで準備を整えた時、母さんから【眷属念話】が入る。
『う、うん。何?』
最近母さんの【眷属念話】で色々事態が動くからどうしても構えちゃうんだよな。
『この前話してたドラゴンが山を下りてきたのよ』
ほらぁ。
『それでお母さんが、レイに来てほしいって言うのよ。あ、クリス先生には話をつけてあるわよぉ』
『事後承諾!?』
すでに外堀が埋められていました。
『分かった。俺一人?』
『そうねぇ。シロちゃんは実力テストに参加させてくれると嬉しいわね』
どうやら、それが俺の実力テストを免除する言い分らしい。学園長が絡んでるんだってさ。
『了解。すぐ行くよ』
『お願いねぇ』
【転移】を使い、オルの執務室に飛ぶ。
そこにはすでにオルと母さんが待っていた。
「ごめん、少し遅れた」
「この程度だったら、アタイは別に気にしないよ」
「そうそう。シロちゃんが粘ったんでしょう?」
その通り。シロが私も行きたいと駄々をこねたのだ。
確かにちょくちょく無茶をしてるせいでシロは俺の一人行動が不安らしい。
実力テストは俺の代役だから、シロにしか頼めないんだ!、と説得し、不満げなシロに渋々承諾させたのだ。無事に帰るのが条件だって言われたよ。
「それじゃ、早速だがレイに頼みたいのはドラゴンの偵察に行ってほしいんだよ」
「偵察?」
オルの提案を聞き返す。
「あぁ、山脈から降りてきたらしいドラゴンは、現在メルエスを抜けて、グランディアの国境付近にいるらしいんだよ。それでアタイ達は今ドラゴン撃退の為に冒険者を集めてるんだよ。その一団より先行して調査してくれないかい?」
「それって俺よりシロの方が適正なんじゃ?」
シロの持つ【完全隠密】は、斥候として最高のスキルだ。偵察ならそんなシロの方が適切だと思うんだが。
「シロアはドラゴンの相手をさせるには、戦闘力と総合力に欠けるんだよ。あのドラゴンが未知数な以上、そんなシロアに無茶はさせられないよ。その点レイなら応用力も効くし、最終手段として【転移】があるだろ?だからお願いしたいんだよ。頼む」
そう言ってオルが頭を下げて来る。
「私はそんな所にレイを送り出すなんて反対なんだけどねぇ」
横に立つ母さんは不満げだ。
「気にしないでいいよ、母さん。オルも頭を上げてくれ」
俺の言葉を聞いてオルが頭を上げる。
「じゃあ、頼まれてくれるかい?」
「あぁ、行くよ」
「本当かい?助かるよ」
オルは俺の返事を聞いて胸をなでおろす。
よほど申し訳ないんだろう。
「レイ、無茶はしないで。本当に危なくなったら遠慮しないで帰ってきなさい」
そう言って母さんは俺を抱きしめる。
「大丈夫だよ。シロとも約束してるからね」
母さんを安心させてから俺は執務室を出た。
料理のくだりは閑話にでもしようかと考えています。
とりあえず、亜人が増えてくるまでは話は進めたいんですよね。タイトル詐欺になってるので……




