22.二人ともこれで最後だ!GOッ!
何とか更新できました………。
前話の【魔力供給】を【充填】に修正しました。
このスキル使ったことありましたね………。
一瞬だけ見た左腕。
それには、ローブごと引き裂かれボロボロになっていた左腕。
血に塗れ、感覚が無くなってしまった左腕。
「ッ!?【超回復】ッ」
慌てて【超回復】を使う。
先ほど見た激しい光に左腕が覆われ、直ぐに痛みが引く。
もう一度見るとローブの左袖の生地は治らないが、傷自体はすべて治り元通りになっている。
だが、動かない。微動だにしない。
「マジかッ!?」
【超回復】で傷は治ったはずだ。なのに左腕は、俺の意思通りには動いてくれない。思った様に動かない。
予想だが、神経が死んでしまったのではないかと思う。
先ほど城壁に叩きつけられた時は、痛みがあった。だからまだ神経は生きていた。
しかし今回は切り付けられた瞬間は痛みがあった。でもすぐに何も感じなくなってしまっていた。
腕自体は治った。そりゃそうだ、ボロボロにはなったが『部位欠損』と言えるほど部位自体は失っていない。
だが、大切な神経の部分がズタズタになった。そこが【超回復】レベルの回復では足りなかったという事なのだろう。
何も感じない。何も動かせない。
これはしくじった………!
正直に言うと『片腕を使えなくなった』というのは確かに精神的に来るものがあった。
だが俺がもらった能力を忘れてもらっては困る。
楽観的ではあるが、【回復魔法】は最大レベルに行ける自信はあるのだ。というよりなってもらわないと緊急事態の時に困る。
だから『将来的に腕も治る』と考えると、余り絶望自体は感じて無かったりする。
それよりも、今この時に片腕しか使えないという相当なハンデを負ってしまった事の方が痛い。
聖剣を持ち替える事が出来なくなり、左腕を使った【噴火】による回避も不可能になってしまった。
ただでさえ、さっきの状態でも機動力で何とかしている所があったが、それが弱体化してしまった。
『主様ぁ!?』
『せ、先輩!?大丈夫っすか!?』
『レイ!アタシにやらせなさい!あいつを滅多打ちよっ!』
『お前ら落ち着け………』
俺よりも精霊組の動揺が凄い。
『俺の心配をしてくれるのは嬉しいが、お前らに何か異常は起きてるか?』
『何も無いっすよ!』
『私達には問題は起きてないのです』
『逆にそれが問題よ!アンタばっかり怪我して!』
ドラゴンの様子を伺いながら、精霊組が怪我の余波を受けていないか確認すると、どうやらみんな大丈夫そうだ。
『こんくらい問題無い。それよりも、さっき以上に翼の出力を上げてくれると助かる』
『了解っすよ!任せて欲しいっす!』
『もう主様に怪我は負わせないのです』
『むしろアンタがコントロールできるかが不安よ!』
『言ってろ、完璧にコントロールしてやるわ』
リボルと軽口を叩き合う。これもリボルなりの気遣いなのは良く知ってる。
ドラゴンと睨み合っている今も、刻一刻と制限時間が迫る。
『行くぞ!』
『『『はいッ!』』』
残り時間『01:25』
先手を取る勢いで飛び出すと、さっきまでは段違いの速度でドラゴンに突っ込んでいた。
精霊組の【魔力供給】が確実に効いている。
ジャンプすると、そのまま地面に落ちる事無く飛ぶ事が出来た。なので、そのまま空を飛びながらドラゴンに突っ込む。
ドラゴンは、俺が出した速度に一瞬驚愕な表情を浮かべ固まる。
しかし即座に復帰し、右腕で俺を捕まえようと手を伸ばしてくる。
だが、その一瞬の硬直は十分な隙になる。完全に後手だ。
右手に持っていた聖剣を離す。
「【浮遊剣】」
即座に【浮遊剣】を発動させ、聖剣を落とさない。
『ラーナ、【浮遊剣】の制御を頼む!二人はそのまま出力を!』
『任せてほしいのです!』
『こっちも任せなさい!本気を見せてあげるわ!』
『まだまだ上げていくっすよ!』
MP自体は少ないが、制御がうまいラーナに聖剣を任せると、二人が張り合ってくる。って、マジで更に加速しやがった!いいぞ、もっとやれ!
調子に乗って直線の軌道のままドラゴンに突っ込むと、いつの間にか物凄いドアップの右手が目の前に。
どうやら自分でも驚きの速度で突っ込んでしまったようだ。
右手がゆっくりと小指から握られていく。
翼補助の全力加速した今の俺から見たら、本当にゆっくりに見える。
今更だが、コイツ五本指だ。しかも爪がクッソ鋭い。
そして常時【精霊眼】中にしている今気づいた。
コイツ恐ろしい事に、常時爪周辺で鎌鼬が発生している。それが俺の左腕をズタズタにした正体だった。
今までのギリギリを狙った回避も、腕付近で避けていたから何とかなっていたものの、手付近でギリギリ回避を狙っていたら確実に全身ズタズタになっていただろう。ていうか今もまぁまぁ危ない。
という訳で、さっさと脱出させてもらおう。
『聖剣を俺の前に!そのまま右に抜けろ!』
『了解したのです!』
俺の指示通りに聖剣が俺の前を抜け、人差し指と親指の間を抜ける。
『瞬間最大出力!』
『『【充填】ッ!』』
この三分間で乱用し続けた指示をなお行う。
「【充填】ッ!」
自分自身も、右腕に【王覇】を集中させる。
そして、後方やや斜めに右腕を構える。
「【噴火】ッ!」
その状態で【噴火】を全力放出する。
全力で前に進もうとする翼のベクトルに対し、斜めから縦横向き共に若干ずれたベクトルが足される。
それは、電動ドリルがネジにかける様な高速の横回転を俺自身が起こすだけにとどまらず、直線の弾道も思いっきりぶれてしまう。
だがそのブレが俺に軌道修正をかける。
軌道のブレた俺は、掌をぶち抜くコースから外れて、閉まる寸前だった親指と人差し指の間を抜ける。
そしてそのブレた軌道は、ドラゴンの右腕を巻くようにして進む。
そのまま先ほどダメージを与えた傷口目指して進もうと思ったが、上の方から膨大な魔力反応が現れる。
移動中チラッと上を見上げると、俺めがけてブレスを溜めている顔が見えた。
コイツ自分の腕ごと!?って驚いたが、そういやコイツ魔法効かないんだった。
ブレスが飛んでくるのは分かったが、俺はそのまま進む事をやめない。
『レイ先輩ッ!?危ないっすよ!』
『ちょっと!アンタ馬鹿じゃないの!?』
『いいから二人共、出力を止めるな!』
シーラとリボルから抑止の声がかかるが、俺はそれを一蹴する。
『むしろ次の指示で使い切る気でいろ!わかったな!?』
『は、はいっす!』
『わ、分かったわよ!どうなっても知らないからね!?』
そんな俺に対し、シーラは素直に頷き、リボルはヤケになる、というそれぞれの反応を返してくれる。
『ラーナ、聖剣を俺の右手に!それと、合図と同時に【縮地】を使え!』
ラーナにも指示を出す。確かストックとして持ってたはずだ。
『了解なのです!』
どうやらちゃんとストックがあったようだ。
右腕の【噴火】を解除し、飛んできた聖剣をキャッチする。【噴火】を止めた事により軌道が真っ直ぐに戻る。
それを確認してすぐにドラゴンの右腕に着地し、そのまま胴体目指して駆けあがる。
着地と同タイミングで、ドラゴンからブレスを放たれる。
『ラーナ!』
『はい!「【縮地】ッ」』
「【縮地】!」
脳裏に俺の声が響くと同時に、俺も同じスキルを使用する。
そしてスキル発動直前に振り返り、ドラゴンに背を向ける。
足元に魔力が集まり爆発する。
背を向けようとも、動きのベクトルがドラゴンの方向へ向いているので、結局ドラゴン側へ【縮地】が起きる。
そして、ドラゴンの肩付近で【縮地】の勢いが止まリかける。
だが、俺は【縮地】を二回発動している。
再度【縮地】が発動する。次はドラゴンの背面まで飛んだ。
普段の二倍、勢いも普段以上だった。
ドラゴンからすれば、急に俺が消えたように見えただろう。
急激な緩急の差で頭が揺れる。気持ち悪い。
だがここで締めて見せる。
ブレスを放つドラゴン。だがそこに俺は居ない。
隙だらけだ。
右腕に瞬間的に【王覇】を集め、全力で聖剣を投げる。
『二人ともこれで最後だ!GOッ!』
『『【充填】ッ!』っす!』
それとほぼ同時に翼の出力を最大にする。
翼から噴き出る魔力に押され、ドラゴンに向けて再加速する。
あぁ、本当に気持ち悪い。完全に酔った。
だがこれで最後にするんだ。
「ハァァァァ………!」
右足に全て魔力を込める勢いで、【王覇】を搔き集める。
体内の分も。
溢れ出ていた分も。
翼の分も。
全て右足に込める。
聖剣がドラゴンの背中に突き刺さる。
ギュァァァァァァァァ!?
背後からの急な不意打ちに、ドラゴンが悲鳴を上げる。
そして俺は、その聖剣めがけて思いっきり飛び蹴りをかます。
食らえ!これが精霊王を倒した一撃だぁッ!
「【勇士の飛蹴】ッ!」
一閃の光がドラゴンを貫いた。
そろそろ3章の題名考えないとなぁ………。




