12.魔法が一切効かなかったのよ
すみません!また一日遅れました………。
もういっそのこと不定期を名乗ってしまおうか………。
「「あなた、何者ですか(かしら)?」」
ボロボロのローブの女と向き合う。
この女はおかしい。
さっきから【精霊眼】を使っているのに、一切魔力が見えない。
それに、いくら食べるのに集中していたとしても、俺はこの女が声を出すまでいる事に気づかなかったのだ。
只者じゃない。
そんな女が俺を怪しんでいるのは同じ理由だろう。
俺だって【魔力遮断】を使っていたので、魔力を消しているのだ。
この世界の生物は多少なりと魔力を垂れ流している。
だからこそ、【魔力探知】なんてスキルに需要があるのだ。
そんな状況なら、俺とこの女の方が異端者だ。
「………………」
「………………」
互いに顔を逸らさない。
フードで見えないが、女は俺の顔を見ている気がする。
「………もしかして」
女が口を開く。
さて、何と問いかける?
「あなたは、ぞくty―――」
「レイ?こんなところで何をしているんだい?」
女の問いに、唐突に言葉が被せられて聞こえなかった。
俺を呼ぶ声に振り替える。
「オッス」
そこにいたのは、俺のおばあちゃんであるオルだった。
「なんだ、オルか………」
「なんだ、とは失礼な奴だね。アタイはそんな子に育てた覚えは無いよ」
俺の言葉に対して、オルが文句を零す。
「そもそもオルに育てられた覚えが無いんだが………」
「なんだい、文句でもあるのかい?レイの母親のカミアを育てたのはアタイなんだよ?ならそんなカミアが育てたレイはアタイが育てたも同然さ」
「何その超理論………」
自信満々に胸を張るオルに、思わず苦笑いを零してしまう。
俺のおばあちゃんは、面白い人だと思う。
「ね、ねぇ、無視しないでくれるかしら………」
俺の後ろにいたボロローブの女の呟きが聞こえた。
おっと、思わずオルのペースに乗せられて喋ってしまい、ボロローブ女が意識から飛んでいたようだ。
あんなに警戒していたつもりなのにこんな簡単に気がそれるという事は、実はこの女をそこまで危険視していないのだろうか。
「ん?誰だコイツ」
オルがようやくボロローブ女に気付く。
と同時に、女もしっかりとオルの方に意識を向けたようだ。
「あら、急に出てくるから誰かと思ったのだけれどオルじゃない」
ボロローブの女がそう言う。
「あれ、知り合い?」
「ん~、どこかで聞いた事のあるような気が………?」
オルに聞いてみるも、オルも自信がなさそうだった。
「それはひどくないかしら………?これでもあなたのパーティメンバーだったのよ?」
そんなオルを見た女は、少し悲しげな声を上げる。
え?オルの仲間?
「あぁッ!トリスかい!?ボロボロだったから気が付かなかったんだよ」
女の言葉でようやく気づいたっぽいオルが、女に駆け寄る。
どうやら、この女はトリスというようだ。
年上っぽいから、さん付けで呼ぼう。
「どうしてまたアンタほどの奴がそんなにボロボロになるんだい?」
駆け寄ったオルは、心配そうに言葉を掛ける。
オルの言葉を聞く限り、やはりトリスさんは強いっぽい。
「聞いてよ、オル。実は私学園に戻ろうとしてたのだけれどね」
ん?学園に戻る?
ふと沸いた疑問は、次の言葉ですぐに消えた。
「その途中で飛竜に襲われたのよ」
「何ッ!?」
「何だって!?」
トリスさんから聞いた情報に、俺とオルは驚きを隠せない。
「私も飛竜となら少しは戦える自信はあったのよ」
「そうだね、トリスなら勝てないまでもいい勝負できると思ってるよ」
生物最強格の竜と戦えると豪語するトリスさんと、それを否定しないオル。
どうやらトリスさんは、予想以上にすごい人物のようだ。
「けどね、全く歯が立たなくて逃げてきたのよ」
「トリスでも戦えなかったのかい!?」
だが、そんなトリスさんでも全く歯が立たなかったらしい。
「そんなに噂の飛竜は強かったのかい!?」
驚きを隠せない様子のオルがクリスさんに聞く。
「えぇ、確かに竜はそれなりに強かったわね。でも私がまともに戦えなかったのは、それが理由じゃないのよ」
トリスさんはオルの言葉を否定する。
じゃあ、何が強かったんだろうか?
「魔法が一切効かなかったのよ」
精霊王戦の時にも考えた事がある。
この世界で『最強』と呼ばれる者達の共通点は何か?
答えは簡単だった。
魔法をメタればいいのだ。
元の世界と比べて様々な技術が劣るこの世界で明らかに進化している技術。
それが『魔法』だ。
そして、元の世界で俺達が『科学』に頼り切っていたように、この世界の人達は『魔法』に頼り切っている面がある。
普段の生活然り、戦闘面然り。
『魔法』は確実に欠かせない物となっている。
そんな魔法に完全な対策を立てればどうなるか?
答えは『相手を封殺できる』だ。
実際この世界ではそんな者達が最強の扱いを受けている。
身近な例で行くと、それこそラグニがいい例だ。
正直あれは、俺が他の精霊と違ったからこそ勝てた訳であって、俺も魔力体だったら勝ちすら危うかった。
また、実は獣王も魔法が一切効かないスキルを持っているらしい。
だからこそ、単騎で遠距離の魔術師隊ですら倒す事が出来たのだ。
そして今回の飛竜も、その例に漏れていない。
恐らくだがトリスさんは魔法使いなんだろう。
俺が言うのもなんだが、自然体で魔力を完全に体内に抑え込めるのは相当な訓練が必要だ。
それを完璧にこなしているトリスさんは、魔力をコントロールするのがうまいんだろう。
だが、件の竜はそんなトリスさんを一蹴している。
それはひとえに『魔法が効かない』というアドバンテージが大きすぎるからだ。
「魔法が効かない、か………」
だが、俺は負けるつもりは無い。
そんな敵がいるだろうと考えていたからこそ、近接戦闘の訓練もしていたのだ。
もう二度と、その努力を無駄にするわけにはいかない。
「そうか………。まぁ、アタイはトリスが無事で何よりだよ」
その話を聞いて、そうまとめるオル。
「それがそうもいかないかもしれないの………」
だが、当のトリスさんは申し訳なさそうな声を漏らす。
「実はうまく撒けてない可能性が高いのよ」
「どういう事だい?」
「私、飛竜に魔法が効かないって分かってすぐに逃げようとしたの。でも、そう決断するまでに攻撃しすぎてヘイトをとってしまったのよ」
そこからが大変だったらしい。
どこまでも追いかけてくる飛竜を巻く為に、大陸中の逃げ回ったらしい。
もちろん、人里を避けてだ。
その際に、道具を使い捨てたり、お金を落としたりしてしまい、こんなボロボロになったのだという。
「それに正直今も撒けた自信は無いの。でも、食料やお金的な問題で寄らざるを得なかったのよ」
そう言いながら、トリスさんは頭を下げる。
「町の代表に近い立場にいるオルには、頭を下げる事しか出来ないわ。ごめんなさいね」
「何だそんな事か。アタイは気にしないよ!」
トリスさんをかばおうと、オルがそう言う。
いや、オルさん。竜をトレインはシャレにならないっす!
「まぁ、だからからこそ私はすぐにここを出ていくつもりよ。学園に戻れば一安心ですもの」
さっきから学園に戻るとか言ってるが、トリスさんは学園の関係者なんだろうか?
「そうだね。トリスが学園長をしてる学園だものな。脅威に対しての対策は立ててるに決まってるな」
え?学園長!?
こんなグダグダな作品を見てくださっている皆様、いつもありがとうございます!
出来れば、これからも見てくださると非常にうれしいです!




