11.流石おっちゃん、分かってるね
このまま順当に二日更新を………!
さてそんな補習が始まってから、3か月ほど経った。
俺の学園生活は何も変わっていない。
周りから疎まれ避けられながら、図書館と教室、自宅を往復する日々を送っている。
図書館の補習と、自宅での母さんとシロとの絡みをモチベにして頑張っている。
母さんのご飯おいしいよ!
正直に言おう。
ボッチ辛いでござる(;^ω^)
ガチのボッチと比べると、シロもいるし、家に帰れば母さんとラーナもいる。
だが、やはり辛いものは辛いのだ。
だが、まだまだ読んでいない本と、知らない事がたくさんあるからには折れる訳にはいかない。
それと、色々察しているクリス先生から「せめて学園長が戻るまでは、何とか頑張ってくれないか」と頼まれている。
なので、なんとか頑張っている10歳です。
実は『学園長がハイエルフで、私用で実家に帰省している』という話を聞いた日に、夕莉の所にいないかと夕莉自身に聞いてみたのだ。
いた。
しかも、戻った原因『エルダーエルフが誕生したから』という、凄い身内に関係する理由でした。
そんな夕莉から、学園長らしきハイエルフはエルフの村を出て、学園に向かっているという話を聞いた。
それを聞いた時、やっとこの苦行からの解放!と喜んだものだ。
だが現実はやはり甘くない。
この学園では毎年一回各学年ごとに、学園の外に出て社会見学みたいな事をするイベントがある。
それが、状況改善の前に来てしまったのだ。
『ボッチ』『修学旅行』『お泊り』
この辛さはわかるな?
宿泊先での部屋割りを決める時のあの腫物を扱うような空気よね。
しかも、当然男女別々だからシロもいない。
まさに苦行。
ただ、幸いだったのが、見学先がグランディアで『冒険者という職業を知ろう!』という趣旨の見学だった。
半年ほど過ごした為土地勘があり、俺の心強い味方であるオルがいる所だ
これは、わんちゃん宿泊先を脱走まであるわ。
そんなこんなで日は過ぎ、やってきた社会見学。
グランディアには1週間ほどかけて、昼過ぎに到着した。
ここで、俺達1年生は2週間ほど冒険者と同じ生活を送る、というのが今回の趣旨だ。
その為、冒険者がよく泊まる宿に泊まり、冒険者がよく食べる食堂で飯を食うらしい。
貴族の坊ちゃんども、凄い顔してたぜ。
グランディアに到着してからだが、まず最初に宿泊先に荷物降ろしをする事に。
宿泊先は、冒険者ギルド横の2階建ての大きい宿。
オルが『あそこは【青銅】や【純銅】を詰め込む専用の所だよ』と言っていた場所だ。
俺達学生、オルに詰め込まれたっぽいです。
部屋はすべて大部屋で、一部屋に5人で雑魚寝で寝るようだ。
既になかなか狭い。
普段はここに10人泊まるらしいので、詰め込み部屋で間違いなかった。
セキュリティもくそもねぇな。
現在明日の朝まで自由行動の時間なのだが、学生は誰一人として部屋から出ようとしない。
あぁ、うっとおしそうな目で俺を見るなよ。
俺だって狭いわ、こんちくしょう。
皆荷物持ってき過ぎなんだよ。
今回社会見学をするにあたって、個人で必要になりそうな物を持ってきていい、と言われている。
それに対して皆荷物が山の様にあるのだ。
あの荷物で、どうやってグランディアまで移動するつもりだったんだろうな?
近くに仮馬車があったからよかったものの、学校が用意した馬車に詰め込め切れなくて、荷物が大量に溢れかえっていたじゃねぇか。
俺?
リュック一個で十分だよ。
リュック一個で集合場所に行った時の周りの『コイツアホじゃねぇの?』って顔よね。
こっちのセリフだわ。
お前らグランディアをどんな魔境だと思ってるんだよ。
部屋の中の空気がすごく悪かったので、俺は外に出かける事にした。
なんでみんな外に出ないんだろうな?
一冒険者にビビりすぎだと思うけどな。
クリス先生や俺だって冒険者だぜ?
俺は疑問を抱きながら大通りに沿って歩く。
大通りには冒険者を狙った食べ物屋やポーション売りなどの屋台がたくさん並んでおり、かなりにぎやかだ。
「お!?レイ坊じゃねぇか!」
途中の屋台で、焼き鳥売りのおっちゃんと遭遇する。
このおっちゃんの店には、グランディアにいた半年のほぼ毎日お世話になっていたのだ。
このガチムチな見た目通りの、ワイルドな焼き鳥がどれだけうまいか。
「おっす、久しぶり」
「おうよ!最近見ねぇからどうしちまったのかと思ったぜ?」
「俺クリカトル学園に入学したんだよ」
「まじか、すげーな!?流石ギルマスのお気に入りなだけはあるな!」
実はこのおっちゃんも【純銅】級の冒険者であり、朝のうちに迷宮に潜って鶏肉を集め、それを昼から焼いて売っているのだ。
おっちゃん曰く、俺はオルのお気に入りだと思われているらしい。
何でも、オルは女子っぽい見た目の俺を守ろうと『あの子に手を出したら、アタイが黙ってないと思いな!』とギルドで宣言したんだと。
流石女傑、安定のワイルドだ。
「ま、だからおっちゃんの焼き鳥食べたくてうずうずしてたんだわ。2本くれ」
「嬉しいこと言ってくれるねぇ。はいよ!」
そう言っておっちゃんは焼き鳥を三本差しだす。
「流石おっちゃん、分かってるね。あんがとよ」
「少しは遠慮しろよ………。ま、構わねぇがな」
そう言っておっちゃんは豪快に笑う。
おっちゃんと別れ、俺は焼き鳥を食べながら喧騒溢れる道を目的無く歩く。
「この喧騒は嫌いじゃ無いけど、落ち着いて焼き鳥食えねぇ………」
今も道を走っていった男とぶつかりそうになったし。
なので、途中にあったベンチに座り焼き鳥を食べる。
少しの間焼き鳥を食べるのに集中する。
おっちゃんの焼き鳥は一つ一つの鶏肉が大きくぶつ切りにされてるから、一本だけでも結構満足な量を食えるのが嬉しい所だ。
そしてこの肉にたっぷりしみ込んだ、ピリ辛のタレがまた最高なんだよ。
もう一口食べたい欲が止まらないのだ。
そんな風に焼き鳥一本を食べ切り、次の一本に口をつけようとする。
「あ………」
俺の近くでそんな声が漏れた。
「ん?」
顔を上げると、いつの間にか俺の前にボロボロのローブを着た人が立っていた。
フードの隙間から見えるその目は、物欲しそうに焼き鳥を見ている。
「………」
「………」
見つめ合う。
互いに逸らさない。
「………食べます?」
先に折れたのは俺だった。
あの、まるで捨てられた子犬のような目は卑怯だと思う。
「本当にいいの?」
驚いた。
このボロボロの格好とは裏腹に、すごく大人の女性らしい艶やかな声だった。
てか、女性だったんかい。
「え、えぇ、構いませんよ」
落ち着け、俺!思わぬギャップにドキッとするんじゃァない!
「なら、ありがたくもらうわね」
女性はお礼を言いながら、俺の隣に座る。
「助かったわ。実は私ココに来る途中にお金無くしちゃってね。ご飯をあまり食べれてなかったのよ」
「それは大変でしたね。これでよければ普通に差し上げますよ」
「そう?いい子ね」
「いえいえ」
「それよりも、実はあなたに聞きたい事があるのよ」
「それは奇遇ですね。自分も聞きたい事があったんですよ」
「「あなた、何者ですか(かしら)?」」
いつも読んでいただきありがとうございます!




