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幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
第二章 学園編 俺と学園とドラゴン
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9.じゃあ、一つお願いしたい事があるんです

本格的に投稿を二日に一度にしようと思います。

残業パーリナイした後は流石にしんどいんですわ………。


10/23:『生徒会長について』と『クリスの理由』を追記しました。

「ねぇ、あれって………」


「そうよ、あいつがあの………」


 ヒソヒソ声が聞こえる。



「………はぁ」



 俺は思わず溜息を零す。





 入学から一月経った。


 その間の俺の評価は一貫していた。



『獣人奴隷を妹として接する変人』



 さらに最近もう一つ悪名が増えた。



『妹(笑)の女奴隷を一人で戦闘に立たせ、回復をして戦わせ続ける屑』



 この悪名の原因は、シロが戦闘に強い事と俺が回復士(ヒーラー)を名乗った事による邪推だ。


 だが、元から妙な噂の上がった俺だ。

 俺の事を知らない連中がまるで本当の事の様に広めたのだ。


 これにより元々敵だった男に加え、女子からも敵扱いされ始めた。



「はぁ………」



 溜息が止まらない。


 閉鎖的な圧迫感のある疎外感多数な空間の王城から逃げ出したくて学園に来たのに、これではまるで変わらない。

 むしろ、下手な貴族よりも分別のつかない子供の方がたちが悪い。



「………今日も、いいか」



 この学校の授業は、午前中にクラスでまとまって行う『一般授業』と、昼休憩を挟んで、午後からは自分が入学式の際に選んだ専門科の中から好きな科目を受けに行ける『選択授業』で構成されている。


 現在は昼休憩。

 次の選択授業に行かなければならない。



 俺は選んだ専門科は『冒険科』だ。

 この世界の魔物の話や、戦い方、身のこなしなど、戦闘面で役に立つ授業だと思ったからだ。


 だが、俺はこの学校では回復士(ヒーラー)で通っている。


 その為、授業中は碌な訓練を受けさせてもらえなかったのだ。

 恐らく、担当の冒険者が男なのも理由の一つだろう。



 はぁ………これのどこが誰でも自由に学べる場所だよ。



 入学一月にして、俺のモチベーションはかなり下がってしまっている。


 正直言うと、学園をさっさとやめてしまって迷宮に行く方が強くなれると思っているほどだ。



 それでも出て行かないのには、二つの理由がある。



 一つは、この学園の図書館が理由だ。


 ここの図書館はかなり大きい。

 それも大陸内でトップクラスに大きいのだ。


 この世界の知恵が詰まっているこの図書館は、俺の知らない本がまだたくさん眠っている。

 乱読厨の俺としては、この図書館を無視していく事は出来ない。


 なのでここ一週間は、午前中は一般授業を耐えきり、午後は図書館で本を読んでいる。

 選択授業に行く意味は、もう全く無いと割り切った。


 そして、俺が出ない授業にシロが出るはずもないので、シロも俺と一緒に図書館に来ている。


 シロも最近はちゃんと俺ではなく、本を読んでいる。

 この図書館には戦闘の指南書なんかも充実しているので、シロもここで戦闘知識をつけている。


 曰く。


「………兄様の凄さを理解できない木偶の坊の授業なんて受ける意味無い」


 だそうだ。


 俺はいい妹を持てて幸せだよ、本当に。





 昼の授業中の図書館は、人が居なくて本当に静かだ。


 広々とした空間の中に響くのは、俺とシロが本のページを捲る音だけ。


 とても読書環境として最高だ。



 だからこそ足音がよく響く。




 俺は本から顔を上げる。


「レイ、シロア………」


 そこにいたのは、我らが担任クリス先生だ。


「お前らはまた授業をさぼっているのか………」


 俺らの事を心配そうに見るクリス先生。



 実は彼女は冒険者らしい。

 それも【純銀】級のだ。


 その為、俺とシロが並みの学生よりも圧倒的に努力している事を分かっている。

 そしてそんな俺らの噂の始めを作り、腐らせてしまった(と本人は思っている)事をすごく悔やんでいる。


 別にあの質問が只の確認だった事を俺はわかっている。

 だからクリス先生の事を恨んではいない。


 だが、この先生は優しすぎるのだ。


 だからこそ、俺達が受ける意味が無いと感じたから授業を受けなかった事を自分のせいだと思いこみ、代わりに自分が俺達の為に話をすると言ってきかないのだ。


 俺は何度も選択授業を受けない理由を説明した。

 だが、それでも私の気が済まないんだ!と言って聞かなかった。

 だから、試しに一度クリス先生の話を聞いてみたのだ。


 

 めっちゃ参考になった。



 彼女の職業は『斥候(スカウト)』。

 シロと同じ職業だった。

 その為、職業の先輩としてのアドバイスが非常に的確だったのだ。


 また、冒険者としての経験も10年近くやっているらしい(しかも現役だとか)。

 なので、冒険者をしていて失敗した事、気を付けるべき所、覚えておくといい事、など俺がとても知りたかった情報をくれるのだ。


 あの冒険家の先生がエセ講師に見えてくるレベルでクリス先生の話は参考になる。



 なので、ここを出て行かない二つ目の理由は彼女の話をする事が理由だ。



「何でクリス先生が、朝と昼の授業をしてくれないんですか?」


 先生の話の合間、俺は聞いてみる。


 朝の一般授業も、昼の選択科目もクリス先生は授業をしないのだ。


「簡単な事だよ、私がまだ若いからだ。授業をしている先生方は皆ここの勤続が長い人達ばっかりだろう?」


 確かにその通りだ。

 どちらの授業も年寄りとはいかないものの、おっさん・おばさんのチョイ上くらいの人ばっかだった。


「だから、発想や概念が凝り固まっていると」


「いや、私はまだそこまでは言ってないだろ………?」


 まだ言ってない、って事は思ってはいるのだろう。


「いや、だがこの学園を嫌わないでほしい。お前らに聞かせる話ではないが、ここ数年間学園長が実家に戻ってしまっていて、ココにいないんだよ。だから、上の世代の方々を抑える人や律する人がいないんだよ」


「それは学園としてどうなんですか………?」


 学園を数年空けるって………。


「いやな、学園長はエルフなんだよ。だから、時間間隔が少しおかしくってね………」


「えっ、エルフ!?」


 まさかここでその種族を聞くとは思わず、大きな声が出てしまった。


「んん!………すみません、驚いてしまい大きな声が出てしまいました。エルフって外に出て来て大丈夫なんですか?」


 エルフは正直な所、奴隷狩りの対象になってしまっている。

 だからこそ、俺は夕莉に村から出るな、出すなをお願いしているんだ。


「それが只のエルフじゃなくてハイエルフでね。しかも【白金】の冒険者なんだよ。だから、並大抵の敵じゃ太刀打ちできないからな。奴隷狩りも学園長は狙わないって事だよ」


 夕莉のせいで感覚がおかしくなっているが、ハイエルフもなかなかなる事の出来ない存在だ。

 しかも【白金】級という事は母さんクラスの実力者だ。


 やはり、ネームバリューのある者じゃないと学園長には就けないだろうな。


「そんな学園長の直轄の土地であるこの学園は、外部からの侵入者が入るのを諦めるほどの警備がしっかりしている町だ。だからこそ、この街には珍しい種族の者が集まるんだよ」


「そうなんですか?」


 図書館にばっかり籠っているせいか、俺はあまり見かけた事はない。


「あぁ、代表と言えば生徒会長もエルフだぞ」


「まじですか!?」


 意外と外に出てるな!?



「それに私も実は人間じゃないんだよ」



 そう言いながら、胸元のボタンを外しだすクリス先生。


 ちょ!巨乳枠に足を踏み入れそうなほどの逸材でそんな事をされたら、思わず目が!


「………兄様はダメ」


 ………シロに目隠しされてしまった。

 別に残念では無い。

 無いったら無い。


「あ、すまない。レイは男だったな」


 ………それってやっぱり、俺女っぽいですか?


 少ししょげながら、目線を先生に向ける。

 顔を向けられないのは、シロに頭を固定されてるからだ。


「………ガン見対策」


 そこまでじっと見る気はねぇよ!


 そしてクリス先生を何とかして視界にとらえると、水色が目に入る。


 ほほぅ………水色。


「………やっぱりダメ」


「ちょ!?ちが、あ、首が、待ってくれぇ!?」


 頭を揺らして、首をネジネジしないでぇ!?

 もげるからぁ!


「確かに下着が見えてるがその話じゃないったぁ!?」


 弁解しようとしたら、次は目の前のクリス先生からデコピンを食らった。


「バ、バカ者っ!見せたいのはそこじゃないっ!」


 分かってます!分かってますから、両手を器用に使って乱打するのはやめてください!


「もういい!」


 乱打も止まり、頭も解放される。


 クリス先生が身だしなみを整えたんだろう。


「ふ、ふぅ………すみません、思わず」


「何が思わずだ、バカ者!」


 ク、クリス先生!ここ図書館です!

 司書のの人がめっちゃにらんでますから!


「大丈夫です。ちゃんと見てますから」


「………下着を?」


「ちゃうわ!」


 シロが珍しく茶々を入れる。

 テンション高いなー。


 ちゃんと話を戻す。



「鱗ですよね?」



 そう、先ほど見えたの淡い水色は下着だけでは無かった。

 胸の根元に浮かぶ蛇の鱗のようなものが肌についていたのだ。

 それも、肌と一体化しているレベルの。



「そうだ。お前達は教えておくが、私は竜人(ドラゴニュート)なのだ」



竜人(ドラゴニュート)


 『竜の遺伝子を持つ者』という呼び名の通り、竜のような特徴を体の何処かに持つ種族。


 その特徴は、人間を超える戦闘能力。


 竜人(ドラゴニュート)によってそれぞれ違うが、腕力であったり、速度であったり、魔法の威力であったり。

 何かしらの能力が人間を超える能力を出せるのだ。



「何故その事を俺達に?」


 普段の先生を見たらわかるが、クリス先生は竜人(ドラゴニュート)である事を隠している。


 当然だろう。

 竜人(ドラゴニュート)も奴隷狩りの対象になりえるのだ。


「その理由は簡単だよ」


 クリス先生はまっすぐに俺達を見る。


竜人(ドラゴニュート)には特化した能力が一つある。私の場合は『速さ』だ。これだけは自信がある」


 クリス先生は、胸を張ってそう答える。

 その表情は自信にあふれていた。

 それほど、自分の能力に自信を持っているのだろう。


「ちなみにAGIはAだ。普段はCと偽っているがな」


「「A!?」」


 化物クラスだと!?


 それは自信を持って当然の値だ。


「だからこそ、私は自分と同じ道を進むであろうシロアの為に色々してあげたいと思っていたのだ」


 シロアもスピードタイプの斥候(スカウト)

 まさしく、クリス先生がお手本になるのだ。


「それなら、なぜ自分にも簡単に教えたんですか?」


 どう見たって俺に弱みを見せているのだ。

 危険だと思わなかったのだろうか?


「それに関しては、私の自己満足も含まれている。やはりどれだけフォローされても、お前の学園生活を悪くしてしまったと私は考えてしまうのだよ」


 苦笑いを浮かべるクリス先生。


「それに私が言うのもなんだが、お前ら二人は信用できると思ったからだ」


「何でまた?」


「竜の感って奴だ」


 つまり何となくだと。

 それでいいのか竜人(ドラゴニュート)


「それでシロア、どうしたいか?」


「………ん、ぜひ特訓お願いします」


 シロもそれを分かっているようで、素直に頭を下げる。


 Aは今のシロよりも上だ。

 だからこそ、シロの成長につながるはずだ。

 それは俺も望む事だ。


「それと、私はレイの為にも何かしてやりたいんだ」


 クリス先生は、申し訳なさそうな顔をしてこちらを見る。


「やはり何度言われようと、お前の現状を作ってしまった者として責任を感じてしまうのだ。その負い目も、私が弱みを見せた理由の一つではあるがな」


 そう言いながら、苦笑いのようなものを浮かべる。


 なんともまぁ、不器用な事で………。



「じゃあ、一つお願いしたい事があるんです」

いつも読んでいただきありがとうございます!

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