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幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
序章 試行錯誤の子供時代
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5.はいっ!

話を変更しました。

 どうも、そろそろ二歳になるレイヤードだ!


 俺は今首都のお城から北に向かって、馬車で三日ほどかかる森『バルラの森』に来ている。

 穏やかな雰囲気で、木漏れ日が差す明るい感じの森で、貴族の避暑地として人気らしい。

 特に森の真ん中にあるらしい泉が人気なんだとか。



 俺はこの森に療養の一環として、森林浴に来ている。


 最近走れるようになったから常に走り回っていたんだけど、全力疾走のまま気絶して壁に激突したのを見られたのは流石にやらかしたらしい。

 周りから見て、気絶しやすいなんて限度を超えてしまったっぽい。


 【継続回復リジェネレーション】かかっているから怪我はしないんだけど、楽しくなってくるとMPの減少に気が付かないんだよね。

 横で見てた兵士のおっさんが悲鳴を上げたとか。

 誰得なんだろうね。


 それを知った父様が、俺の為に何かしらの手を打たないといけなくなったらしく(立場的に、息子だしね)、リフレッシュ効果を期待した森林浴を行うことになった。

 俺的には、少しでも城から出てほしかったんだと思うな、自分の気苦労を減らすために。

 俺ちょくちょくやらかして父様のお世話になってるしな。


 そろそろ貴族としての礼儀とかを学ぶらしいが、めんどくさそうだ。



 今回の森林浴には、いつもの黒ローブを着てフードを外す母さんと、動きやすいようにショートパンツを履いたリネアが来ている。



 母さんには立場的に護衛が必要だったらしいんだけど、母さんより強い護衛を動かせなかったんだってさ。


 母さんはかなり強いらしい。

 何でも宮廷魔法使いの講師を務めているとか、生徒10人で挑んでも母さんが勝つとか。

 それ相当すごくない?


 俺はあまり母さんの事を知らない。

 一度詳しく話をしてみたいんだが、人前で詳しい話を聞こうとすると誤魔化されてしまう。

 かといって最近常にリネアがいるので二人っきりにもなれない。


 何か大事な事を隠してそうなんだよな、母さん。

 たまにニコニコしながらも俺の事をじぃっと見ていることがある。謎の存在感を持つローブも、ただものじゃない気がするし。

 今回の森林浴中に色々と話せるといいんだが。



 今回の森林浴は、森の中にあるロッジハウスで一週間ほど過ごす予定らしい。



「坊ちゃまー!早く行きましょうよー!」


 それにしてもリネアのテンションが高い。

 獣人だからかは知らないが、森の中だと楽しくなるらしい。

 まだ日も登ってすぐなのにそんなテンションで一日持つのだろうか?

 今も俺と母さんの前に走っていき、ピョンピョンしながらこちらに手を振っている。

 召使がそれでいいのかよ……。


「リネア?仕事を忘れちゃダメよ?」


 ニコニコしながらリネアに注意する母さん。


「は、はいぃ!」


 母さん目が笑ってないよ。

 常にニコニコしている母さんは目に感情が出ることを最近気づきました。


「母さん、僕たちも行こう?」


 まぁ、俺もこの森を見てると俺も走りたくなる気持ちはわかる。

 なんか最近走り回るのが楽しいんだよな。

 精神面が体に引っ張られてるのか?


 本当に動き合わるのが楽しすぎるのだ。

 【継続回復リジェネレーション】のおかげで転んでもケガしないし、筋肉痛とかで足も痛くなんないし。

 しかも、確実に身体能力は向上できるしでいいとこずくめなので問題はない。

 そしてその分の疲れは夜に来るので、【回復ヒール】を唱えて気絶して寝れば、MPは上がるし疲れは取れるのでこちらも問題はない。

 気絶しても疲れが取れるのは俺が図太いからかもしれんが。


 まぁ、早く荷物を置いて遊びたいのは俺も一緒って事だ。


「はいはい、わかったわ。レイも我慢できなさそうだし早く行きましょうか」


「うんっ!」「はいっ!」


 母さんの言葉にリネアと二人で元気よく返事をした。


 いざ、森の奥へ!





 途中で休憩を挟み、お昼過ぎにはロッジハウスにつく事が出来た。


 建物はそれなりに深い所にあったので、町と離れて休息が取れそうな場所だと感じた。

 中も俺達が来る前に誰かが掃除をしていったのか、綺麗に整理されていたしね。

 食糧や水は地下においてあるらしい。流石に燻製肉や黒パンばかりらしいが。


 黒パンマジで硬い。

 前こっそり食ってみたが、離乳食抜けたばっかりの俺には硬すぎました。


「さぁて、先にここでの注意してほしい所を説明するわよー」


「「はーい」」


 いつも通りにこにこしながら腰に左手を当て、右手の人差し指でロッジハウスの外を指さす母さん。


「いい返事ね。まずこの森にも魔物がいるの。リネアは問題ないと思うけれど気をつけてね?」


「はいっ!」


 右手で敬礼のポーズをとるリネア。そのポーズこっちの世界にもあるのか。


「レイは絶対に一人でお外に行ったらダメよ?私かリネアを呼んでね」


「はいっ」


 リネアの真似をして俺も敬礼してみる。

 真似されたリネアは何か嬉しそうに尻尾がぴくぴくしていた。かわいい。


「もうっ、二人とも本当に気を付けるのよ?」


「「はいっ!」」


「まったく、仲がいいんだから……。まぁいいわ。それじゃこれからどうしましょうか?今日はまだ時間があるのよねぇ」


「母さん、僕泉に行ってみたい!」


 神秘的って話を聞いていたので早く行ってみたかったんだ。


 城から見える城下町や、自分が住むお城など、異世界っぽい景色を見るのはすごく楽しい。ワクワクする。

 これはこの世界での俺の新しい趣味になるかもしれん。


「あら、そんなに行ってみたかったの。いいわ、それじゃ荷物を置いてから行きましょうか」


 母さんからの許可も下りたので、リネアと二人で準備をする。


 

「これがこの森の名所『木漏れ日の泉』ね」


「「おおぉぉぉ……!」」


 ロッジハウスから歩いて一時間ほどの森の中にその泉はあった。


 え?二歳児なのに一時間ほど歩いて疲れないかって?

 【継続回復リジェネレーション】掛けっぱなしだよ、言わせんな恥ずかしい。

 自分で言うのもなんだけど、母さんやリネアは二歳児がこんなに歩き回ることに違和感を感じないだろうか?


 まぁそれよりもこの泉だ。

 すっげぇ綺麗。


 泉は石を積み上げて円形に囲まれており、その中から水が大人の身長ほど噴き出していた。

 あれどうやって噴き出してるんだろう?


 森の真ん中にひっそりとたたずむ泉はかなり昔の古代にこの森に住んでいた人が生活用に作ったらしい。

 なので、一目見て歴史を感じるし、そんな泉に木漏れ日が差し込み水面や吹き出す水に反射しで、とてもキラキラしていて、この森の雰囲気にすごく合っていた。


 写真が撮りたい!画面に収めたい!カメラはないのか!


 ちなみに未だに噴き出す理由はわからないらしい。残念。


「ふぉぉ……!これはすごい綺麗ですね……!」


「そうねぇ、私も何度も見ているのだけれども、いまだに見入っちゃうのよねぇ」


 リネアは赤い猫耳をピンッ!と立てて、周りの音すらも聞き逃さないようにしており、かなり興奮してる様子。尻尾も直立しており、一本の棒のようだ。

 母さんもニコニコしながらも、じぃっと泉を見つめていた。


 ここで俺は一つ疑問に思った。


「母さん!あの水飲めるの?」


「えぇ、飲めるわよ」


「ほんと!?飲む!」


 ちょうどよかった、流石に喉が渇いていたんだ。


 少し小走りで、泉に向かう。


 その途中。



 クゥン……。



「ん?」


 泉の右の方から子犬のような声が聞こえた。


 思わず、俺はそちらのほうに向かって走り出していた。


「あっ、ちょっと坊ちゃま!?」


「あらあら、どこに行くのかしら?」


 後ろから母さんとリネアが慌ててついてくるのがわかる。

 が、俺はそれよりも今の鳴き声が気になっていた。


 何か消えかかっているような弱弱しい鳴き声がしたのだ。


 そして鳴き声がした所に向かうと、



 泥にまみれ血を流した、灰色がかった子犬のような生き物が倒れていた。



「大丈夫!?」


 慌ててそばに駆け寄った。

 するとその子犬はプルプルと震えながらも立ち上がり、俺に威嚇をするように鳴き始めた。


「ゥゥゥゥ……キャン……!」


 鳴き方が弱弱しすぎた。最後の力を振り絞っているようだった。


 俺はいてもたってもいられなくなって、子犬のそばに寄って右手を伸ばした。


「ゥゥゥゥ……!ガブッ!」


「ッ!………【回復ヒール】!」


 噛まれてしまったが気にしない。そのまま【回復ヒール】をかける。


「えっ、【回復ヒール】!?」


「あらあら」


 何か聞こえた気がしたが、今は後回しだ。

 それよりも子犬は!?


「ッ!…………。ワフゥ……?」


 【回復ヒール】がかかった瞬間は驚いてビクッっと目を閉じたが、暖かい光に包まれ体が痛くなくなったのか、疑問気に鳴きながら噛んでいた手を放す。


 今のうちに右手にも【回復ヒール】………!

 普通に痛かったです……」…。


 回復した右手で子犬の頭を撫でる。


「もう大丈夫だよ。痛くないでしょ?」


「クゥン……。」


 子犬の体に付いていた血や泥が付くが気にしない。

 この子を安心させたかった。


 初めは、頭を撫でられると何かされると思ったのか、緊張して体がこわばっていた。

 けれども優しく撫で続けると気持ちが良かったのか、目をつぶって頭を手に押し付け始めた。


 わぁぁぁ、血とか泥が付いたけどモフモフだぁ……!異世界のモフモフだぁ……!


 俺は少しの間子犬をモフモフし続けた。

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