5.んじゃ、母さん行ってくる
昨日投稿忘れてすみません!
話自体は出来てたのですが、投稿し忘れてました!
何とか検問を超えてグランディアに入る事が出来た俺達。
えっ?精霊組?
あの二人はまた別で呼ぶ予定だ。
現在は、迷宮都市周辺を探索している。
ラーナが「この時間を使って何かお役に立って見せるのです!」とやる気を見せ、ミナ姉がそれに巻き込まれた形になる。
ラーナ戦闘出来ないもんな………。
その為、迷宮都市内には俺らが先に入る事になったのだ。
元々ここに住んでいた母さんの案内で、俺達三人は冒険者ギルドに向かった。
「へぇ、ここが冒険者ギルド………」
そう呟く俺の目の前には、2階建ての木造建築の大きな建物がある。
こう、いかにも異世界物のギルド!と言わんばかりの雰囲気を醸し出している。
これもまた定番だが、確かに初見では入るのを躊躇うのも無理はない場所だと思う。
だって、絶対絡まれる気しかしないし………。
そうやって俺が躊躇っているのを尻目に、母さんは何の気なしにずんずんと進んでいく。
元冒険者である母さんは、やはりこういう環境に慣れているのだろう。
「ちょ、ちょっと待って母さん!」
俺も慌てて後を追いかけた。
ギルドの建物中に入ると、とたんに溢れだす喧騒の声に足が止まる。
右側は、建物の奥の方にカウンターがあり、手前側には丸テーブルと椅子が並んでいて、これまたよく漫画やアニメで見る酒場感のあるスペースとなっていた。
恐らく、冒険者を対象とした飲食スペースだろう。
現在時刻は昼間だが、昼飯を食べる人の中に混じって既に酒を飲んでる人が居たり、その客達の注文に忙しそうに対応するメイド服を着た女性など、異世界感が溢れている。
左側は、こちらも奥の方にカウンターがあるが、こっちのカウンターは4つに分かれており、そのカウンターの一つ一つに美人の女性が座っており、カウンターの対面にいる人と話している。
また、左の壁の方には高さ2mほどの大きな掲示板が壁に貼られており、その掲示板にもたくさんの紙が貼られている。
こちらは、依頼の受理や達成報告を行ったりするスペースなんだろう。
カウンターの女性たちは受付嬢なんだろう。やはり美人だらけだ。
他にも、中央部には大きな階段があり、二階に行けるようになっている。
推測だが、ギルドメンバー専用の売店だったり、書類室、いるであろうギルドマスターの執務室なんかがあるんだろう。
まさに異世界ギルドだ。
みんなゴツイ人ばっかですげー。
外の街にもゴツイ人はいたが、明らかに実力者っぽい人が集まっていて、この建物内の『圧』というか『雰囲気』が濃ゆいのだ。
そんな普通の女性なら尻込みしそうな環境を、やはり慣れているのか、母さんは躊躇なく左のカウンターの空いている所に並ぶ。
俺も母さんに大人しくついていく。
………シロは【完全隠密】を展開し直していた。ずるい。
何も起きないように、と祈りながら大人しく並ぶ。
「おいおい、そこの怪しいフード野郎。ガキなんか連れてこんなとこに来るんじゃねぇよ。うっとおしい」
だが俺の期待とは裏腹に、2mはありそうな茶色い肌をした大男に母さんが話しかけられる。
この男、顔が赤い。どうやら、先ほど飲食スペースで酒を飲んでいたのはこいつのようだ。
あぁ………やっぱり絡まれた………。
このフラグ回収の早さよ。
周りの話し声が聞こえる。
「おい、あれって………」
「あぁ、ラルクだろ?」
「なんだ、あいつまた真昼間から飲んでるのか」
「何でもまた昇格試験に落ちたんだと」
「まぁ、いくら実力が【純銀】クラスの物を持ってたって、あの性格じゃ対人護衛なんかどう見たって無理だろ」
「そりゃ、高頻度で問題起こすような奴が、貴族の護衛なんてやったら揉めるに決まってら」
「だよな」
「でも、いい加減どうにかなんねぇのか?ここ最近ギルドにいて騒動起こしてるじゃないか」
「確かに迷惑極まりないが、下手に実力があるせいで誰も対処できん。そろそろギルマスが対策するらしいが………」
「既に問題起こしてるだろアレ。あのローブと子供、見た事無いぞ」
「あぁ、どう見たって部外者だな」
「あーあ。やっちまったな」
「だがこのままじゃ、あの二人に被害が出る前に止めらんねぇぞ」
「まずいな、ラルクに対抗できる【純銀】の連中は真面目が多いから、朝から迷宮に入ってていねぇ」
どうやらこの男、ラルクは問題児らしい。
性格が粗暴だが、実力があるせいで誰にも止められないようだ。
まさに、お山の大将だな。
だが、そんな奴に絡まれた張本人である母さんは、微動だにしない。
「オイ!無視すんなよ!」
ラルクがイラっとしたのか大声を上げて、その声で母さんは前後左右をキョロキョロと見渡す。
「あらあら?ねぇ、レイ。怪しいフードって母さんの事だったのかしら?」
どうやら気づいてなかったらしい。
「あぁ!?舐めてんのか、この野郎が!」
完全に挑発を取ってしまったようだ。
だが母さんは特に気にした様子も無く。
「だってねぇ、ガキなんか連れてないもの。レイはもう立派な男の子ですものねぇ?」
俺の頭を撫でながらそういう母さん。
確かに、この世界の十歳児は地球の十歳児と比べてもかなり成長している。
感じと言っては、元の世界の十歳が小学4年に対し、この世界の十歳は中学2年くらいはある。
だが―――
「………頭を撫でながら言われても、子ども扱いしているようにしか」
そんな俺の言葉に、母さんは驚きを示す。
「あらあら、確かにそぉねぇ。でもレイを撫でるの母さん好きなのよ」
「なら、しょうがない」
そう言いながら、母さんは撫でるのをやめない。
特に問題は無いので、俺も止めない。
そんな俺たちの様子は、ラルクの短い怒りゲージを溜めてしまったようだ。
「随分と舐め切ったマネしてくれるじゃねぇか、このアマぁ!?」
ラルクが近づいてきて、母さんに手を上げようとする。
なので、間に割り込みを掛ける。
「母さんに手ェ出すんじゃねぇ。只じゃすまなくなるぞ」
ラルクに忠告する。
母さんが起こったら怖いんだぞッ!?
だが、俺の言い方が悪かった(確信犯)ので、ラルクはなお激昂する。
「てめぇこそ、只で済むと思ってんのか!?」
ここで即座に手を出してくるか?と思ったが、ラルクは俺を指さし―――
「てめぇ俺と決闘しやがれ!ぼこぼこにしてやるッ!」
なるほど、意外と考える脳は残っているようだ。
何もしてない人に因縁吹っ掛けているコイツが明らかに悪いのを、『決闘』という形にして互い同意で喧嘩しました、っていう大義名分を作ろうとしてるようだ。
だが、全然頭自体は回ってなさそうだ。
まず、冒険者ギルドのルールとして、ギルドメンバー以外ともめ事を起こすと除名、と言う明確なルールが存在する。
これは、非力な一般人を冒険者から守る為のルールだ。
だが、俺と母さんはまだ『一般人』枠だ。
ラルクは、既に反している。
いくら建前を用意しようが、既に遅いのだ。
さらに、別にこの決闘を俺が受ける必要性は無い。
なんで相手の都合のいい条件に納得する必要があるんだよ。
総合して、ラルクはアホだという事だ。
確かにこんな奴が、護衛任務出来る訳が無いわ。
だが―――
「あぁ、構わねぇよ」
俺はあえてその条件に乗る。
ちゃんとした理由も存在する。
「おう、言質は取ったからな!おい、そこの受付嬢!急いで訓練所を空けやがれ!」
やはり俺が否定するとは考えてなかったらしく、即座に受付嬢に無茶ぶりをかますラルク。
流石、アホ。
「で、ですが………」
「うるせぇ、コイツも納得してんだ!早くしやがれ!」
受付嬢が止めようとするも、ラルクは聞く耳を持たない。
「おら、行くぞ!」
ラルクは、さっさと階段の裏に回り、そこにあった扉をくぐって奥に行ってしまった。
あの奥に、訓練所があるんだろう。
「んじゃ、母さん行ってくる」
「行ってらっしゃぁい」
俺の実力を知っている母さんは、俺を止める事無く送ってくれる。
「お、お待ちくださいッ!女子であるあなたがラルクの相手をするのは危険です!今ならまだ止められますよ!」、
代わりにラルクに絡まれてしまった受付嬢が、俺を止める。
「心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫ですよ、あのくらい」
俺は左手をヒラヒラさせ、問題無い事をアピールする。
「あ、後俺男ですから」
「「「え、えー!?」」」
おい、受付嬢だけじゃなくて周りの冒険者も驚きやがったな!?
出来る事なら、今日もう一話上げたいと思います




