13.んっ?
名前を考えるのに頭がオーバーヒート
精霊王は、実力主義だ。
『個人の持つ戦闘力』でも『周囲を率いるカリスマ性』でもいい。
精霊王を倒す事が出来れば、精霊王になれる。
しかし、一番最初の精霊王は強くもなければ、カリスマも無かった。
『精霊王』という階級ができる前。
精霊とは、神の生み出した生物の一つで、この世界を整える役目を持っていた。
そんな中でも、世界の重要度の高い精霊は『特級精霊』という一つ上の精霊として扱われていた。
十人いる特級精霊は皆仲が良かった。
全員が女性だったこともあるし、各々みんなの事が好きな優しい精霊達の集まりだった。
だが、当時は『特級精霊』こそが精霊の最高位。
全精霊達の理想だった。
そんな中の一人『音響精霊』はとても弱かった。
言葉少なめで不愛想。
そして戦闘能力も低く、戦いもできない。
ただこの世に『音』を作ったと言われる。
その凄さだけで特級精霊だった。
それを周囲の精霊達は良しとしなかった。
「あいつなんかだ特級なんておかしい」
「アレより俺の方が相応しい」
「あんなのより他の精霊の方がいい」
周りからは嫌われており、その『特級精霊』という座を奪おうと、色んな精霊から襲われていた。
この当時から『特級精霊』は10人と決まっており、やめたり死んだりして一枠空くと、次の精霊が選ばれる事は皆が知っていた。
だから、その座を相応しくないと思う精霊達から攻撃の対象となっていた。
だが、最初の言った通り『特級精霊』達は皆仲がいい。
そして全員がこの世に必要な物を生み出した、いわば『格』の違う精霊達だ。
火を起こした『火炎精霊』
水を湧かせた『水仙精霊』
風を吹かせた『疾風精霊』
大地を固めた『砂陸精霊』
光を照らした『光華精霊』
影を落とした『暗影精霊』
雷を鳴らした『雷電精霊』
真理を定めた『時空精霊』
法則を定めた『契約精霊』
この中に『音響精霊』を入れた十人が、初期の特級精霊だ。
『雷電精霊』の方が重要度自体は低いのだが、単体の戦闘力が高すぎて周りでは抑えられなかったので、何もちょっかいは出されていなかった。
そのしわ寄せが、すべて『音響精霊』に行っていたのだ。
特級精霊達は『音響精霊』の事も大好きだった。
確かに言葉は少なかったが、仲良くなると人一倍周りの為に頑張る事の出来る優しい性格だったから。
戦う事は嫌いだったが、その分平和の維持は得意だった。
個性のある9人が仲良くできていた理由の一つに『音響精霊』の存在があった。
喧嘩しそうになると、互いを落ち着け、仲直りまで説得する。
自分の特徴である『歌』を生かして、皆を楽しませる。
特級精霊達は皆一緒ではないとうまくいかない事を知っていた。
だからこそ『音響精霊』の事をどうにかしたかった。
火「ホントにどうする。俺はこれ以上あいつが悲しむのは嫌だ」
水「ですね~。いつも私達の為に頑張っているし仲間ですもの~」
風「ウチも同じよっ。あんないい子なのになんで伝わらないのかなっ?」
土「禿同」
光「どうしましょうか」
闇「どうしましょうか」
雷「ほら、アンタも何か意見を言いなさいよ!」
時「なら、あの精霊共いっぺん潰しちまうか?」
契「その発想は脳筋だと言わざるを得ません」
雷「流石アンタらしい意見だわ。なんでこんなのが世界の理なんか決めれたのかしら」
時「やかましいわ。そんな事を言うならお前もなんか言ってみろよ」
雷「えっ?」
風「予想通りだねっ」
水「やっぱり何も考えてなかったみたいね~」
火「それでよくこいつに文句を言えたな」
土「お馬鹿」
光「ひどいわね」
闇「ひどいわね」
契「有罪です」
雷「う、うるさいわよッ!?後、そこのおっきいのは普通に悪口言ってるでしょ!」
土「うん」
雷「ほら見なさい!」
時「いや、話逸らしても無駄だからな?どーするよ?」
雷「そ、それは………。っ!そうよ!こういう時は大体あいつが決める物でしょ!?」
契「私に押し付けないでください」
土「逃げた」
光「逃げましたわね」
闇「逃げましたわね」
雷「うるさいわよッ!」
火「落ち着け………。だが、俺からも頼みたい」
水「確かにこういう時にはいつもお願いしてるものね~」
風「お願いねっ」
契「皆して言うのですか。ならば意見を考案します」
風「はい、どうぞっ」
契「彼女を、私達より上の扱いにして、すべての精霊のトップにする事を提案します」
全「んっ?」
という経緯から、9人は『音響精霊』を頂点とした国を作り、彼女を一番とした。
もちろん荒れたし、抗議も起きた。
それを9人は、すべて説得(物理)し同意させた。
そして皆は『音響精霊』が特級精霊の中でも本当に頭だと判断し、彼女に害を加える者はいなくなった。
特級精霊を敵に回すのは悪手だからだ。
仲の良い9人が1人の為に起こした役職。
それが精霊王の始まりだった。
「という訳よ」
「確かに逃げてるな」
「そこはもういいわよッ!」
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