9.………消し飛ばせば問題は無いか?
投稿が遅れてごめんなさい!
さて、さも余裕そうに喋っているが、さっきの攻撃は普通に危なかった。
左のエイムがくそ過ぎた。
【魔力弾】の貫通力が強くなかったら、壊しきれなかっただろう。
だが、もう大丈夫だろう。
胸元に重めの一撃が入った。
確実に致命傷を与えたはず。
だが腐っても精霊だった。
「ガァァァァァァッ!」
急に叫び声を上げる男。
すると男の体がボコボコと膨れだす。
「キザマァ、ダケワァ!」
言葉も片言になり、どんどん人をやめていく。
「ユルザナイッ!」
大きさは3mほどになり、体はまるで岩のように、というより岩だ。
手、腕、二の腕、肩、といった体を構成するパーツが、それぞれ岩になっていた。
そして体の表面の至る所に、光る文字が浮かんでいる。
初めて生で見たが、これはわかる。
『ゴーレム』だ。
意志を持たぬ人形。
命を持たぬ化物。
生命を持たぬ不死者。
様々な言われようをするゴーレム。
鈍重であり、巨大で無意志。
だがそれ自身が最大の武器。
その攻撃は重く、当たれば大ダメージは必須。
巨大な体は硬く、並大抵の攻撃じゃ沈まない。
意志を持たぬ代わりに、死すらも恐れない。
そんなゴーレムに目の前の男はなった。
薄々感じてはいたが、あの男は『岩石精霊』といった存在なんだろう。
その最終形態で自分自身が岩になってしまったが。
ただ、先ほど与えた致命傷はどうやら無駄になってしまったようだった。
「グラァ!」
ゴーレムが俺に突っ込んでくる。
って、速い!?避けられないッ!
「ゴォォ」
ゴーレムは右腕を振りぬく。
体格差を生かした、上から叩きつけるようなパンチ。
避けられない。
「ッ!」
咄嗟に、腕を盾代わりに前に構える。
そして、その一撃は俺に直撃した。
「ガハッ!?」
衝撃を抑えられず、後ろに吹き飛ばされる。
「ゴゴゴゴッ」
そんな俺をさらに追撃しようと、追いかけてくるゴーレム。
チッ………。
「これ以上お前の好きにさせるかよォ!」
俺は飛ばされながらも、左手を肩に置き、右腕を前に突き出し、両腕を覆わせていた魔力を右腕に集中させる。
奴の攻撃自体は【魔力武装】を両腕に集中して発動することで防いでいた。
だが、足は放置していたので踏ん張りがきかず後ろに飛ばされたのだ。
だが、攻撃を放つ余裕はできた。
片腕でやるのは初めてだがやるしかない。
右腕一本で打ち放つ。
「【噴火】ッ!」
反動で後ろに飛ぶ勢いが増したが、わかっている。
それよりも、ゴーレムの右半分を消し飛ばせた事の方が重要だ。
【噴火】の出力が明らかに化物だった。
恐らく、しっかりと魔力を集中させて撃てたからだと思う。
更に、使った魔力が【魔力武装】製の普通よりも強化された魔力だ。
その威力は、俺の予想を遥かに上回る出力だった。
俺は、勢いを保ったまま、そのまま地面に突っ込み転げまわる。
「いってぇ………」
【継続回復】を掛けながら立ち上がる。
実は服の中に逃げ込んでいたラーナを守るために咄嗟にやったが、何とかうまくいったようだ。
流石のゴーレムも右半分を消し飛ばされたら………。
だが、ゴーレムは倒れない。
地面から土が巻き上がり、壊れた体の部分にくっつき、再生していた。
やはり、不死身か………。
だが、ゴーレムには弱点があったはずだ。
『EMETH』の『E』を消し、『METH』にする。
これはゴーレムの弱点として有名だ。
だが、奴の体に浮かぶ文字は多すぎる。
あの中から『EMETH』の文字を探し、『E』を削るのはかなり難易度が高い。
なら………。
「………消し飛ばせば問題は無いか?」
だがそれほどの火力が出せるかどうか。
今俺の覚えてる魔法で最大火力は【魔力武装】からの【噴火】だ。
だがそれでもまだ足りていない。
それをもっと威力を上げるには………。
あっ、あのスキルと組み合わせれば………?
「よしっ」
思いついた。
正直これ以外の手を思いつかない。
なら行くしかない。
「ゴゴッ」
考え込み動かなくなった俺を隙と見なしたのか、再度正面から突っ込んでくるゴーレム。
だが流石に二度も同じ手は食わんだろう?
奴の突進を右に飛んで躱す。
ゴーレムは勢いを殺しきれず、膝から倒れる。
そして膝を立たせ、振り返ろうとする。
俺はそこに駆け込み、ゴーレムの膝の上に飛び乗る。
そして、ゴーレムの体の表面の凹凸をうまく使い、頭の上へ。
頭の上は平になってるので、立つ事が出来る。
「ゴッ!?」
ゴーレムは飛び乗った俺に驚き、俺を落とそうと手を伸ばす。
だがその前に蹴りをつける!
「【魔力武装】!」
体中から吹き出す金色の魔力を、両腕に集中して纏わせる。
一部に集中させるのなら余裕だ。
そしてその魔力を、更に右腕に集中させる。
尚且つ、
「【二重詠唱】!」
同量の魔力を左にも纏わせる。
これを同時にッ!
「【二重噴火】ッ!」
頭の上から真下に向かって解き放つ。
金色の光がゴーレムを飲み込む。
ゴーレムの体が削れていく。
あと少しで消し飛ばせる。
だが。
立ち眩みが。
「魔力がッ!?」
元々無駄遣いしていた所に、【魔力弾】の乱射、更に先ほどの【魔力武装】からの【噴火】でかなり消費をしていた。
その上で、【二重噴火】は俺の予想よりも多くの魔力を消費している。
このままではゴーレムを削りきる前に、俺の魔力が尽きてしまう!
俺が焦ったその瞬間。
『【二重噴火】!』
俺の声が響く。
これは、ラーナの【再生】か!
すると、消えかかっていた【二重噴火】の威力が戻る。
まるで、もう一回スキルを使ったように。
そして再度威力の戻った【二重噴火】にゴーレムは耐えられずに。
跡形もなく消え去った。
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