表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
序章 試行錯誤の子供時代
17/121

15.シロ・カミアの視点

 私はその瞬間を見てしまった。


 

 今日は母様のお手伝いをしていた。


 そしてそれが早く終わったから、兄様の所に行こうと思って、母様に兄様の場所を聞いたの。

 そしたら、母様も知らないらしい。

 ちょくちょくお城から消えるんだって。


 でも私なら大丈夫。


 兄様との繋がり(奴隷契約)がある私には、兄様の居場所は探そうと思えば探せるの。

 でも普段は兄様に使うのを止められているけどね。


「………ん、いた」


 どうやらお城にいないみたい。

 城下町?っていうお城の下の街にいるみたい。


 それで兄様の所へ行ったんだ。



 そしたら見てしまった。


 兄様が血を吐きながら倒れるのを。


 地面に赤い血を広げながら動かない兄様を。


 

 え?兄様?なんで?どういうこと?



 突然の出来事に頭が回らない。


 すると近くにいた女の人が二人駆け寄るのを見て、やっと体が動いた。


 急いで兄様の所に駆け寄る。


「お兄ちゃん!」


「レイ!」


「兄様!」


 この二人の事も気になるが、それよりも兄様は!?


「だめだ、傷が多い………!このままじゃ………!」


 灰色の髪の女の人がそう言う。



 嘘だ!兄様は私を守ってくれるって言ってた!私を置いていくわけがない!



「嘘…だよね………!?」


 青い髪の女の子は泣き出し始めた。


 私も涙が出てきそうだ。


「人は一回しか生きられないんだから、こんな………!」


 灰色さんが何か言うが、聞こえなかった。


 すると灰色さんは動かない兄様に近寄って



 チュッ



 え?何でキスを………?


 その瞬間、灰色さんが光りだす。


「うっし、どうにか間に合ったな」


 そう言って立ち上がり、私の方を見る。


「お前はレイの関係者だな?連れていけ。諦めるなよ」



 諦めるな?



 だが、灰色さんはこっちをもう見ていなくて、青色さんを見ていた。


「フラン。お前も諦めるなよ。絶対いつか迎えに来るはずだ。わかったな?」


「お、お姉ちゃん………?」


 青色さんは泣きながら灰色さんを見ていた。


 灰色さんはどんどん透明になっていく。


「頼む。ちゃんと生きてくれよ。お姉ちゃんとの約束な?」



 そう笑って灰色さんは、光が散るように消えていった。



「お姉ちゃん!嘘だよね!そんなぁ………お兄ちゃんもお姉ちゃんもいなくなっちゃったぁ!!」


 青色さんは、ついにうずくまって大泣きし始める。



 兄様が死んだ。

 

 もう動いていない。


 触った。もう冷たくなり始めていた。



 青色さんは動かない。


 泣き止む気配は無い。



 私はもうどうすればいいのだろうか………。


 教えてよ、兄様………。





 私は、近くに来てた警備隊の騎士さんに母様を呼んでもらった。


 母様が来るまでの間、青色さんと二人で泣いていた。


 もう何をしていいのかわからなかった。



 兄様をこのまま置いてはいけなかった。

 でも、この青色さんをほっておけなかった。


 この子は私と一緒なのだ。


 兄様が死んで泣いているのだ。


 家族が死んで泣いているのだ。





 母様が飛んで来た。


 文字通り飛んできた。

 氷の羽を生やして、空から来た。


 一部始終を見ていたらしい町の人が説明する。


 母様はずっと険しい表情で聞いていた。


 話を聞き終わった母様は、私の頭を撫でた。


「シロちゃん………。辛かったね、遅れてごめんなさいね………」


 母様、私確かに涙が止まらないし辛いよ………?


 でも、母様。


 母様もすごい泣きそうだよ?


 すごくすごく辛そうな顔をしているよ?


「シロちゃんはその子をお願いしていいかしら?母さんは急いでしないといけない事ができたの」


 思いつめたような顔をしている母様。


「………ん、わかった」


「お願いね?」


 いつもの余裕が無くなって、周りを放置していったまま、母様は兄様を抱えてお城に飛んで行った。


「………ねぇ」


「………うん」


 青色さんと顔を合わせる。


 ひどい顔だ。


 私もなんだろうな。


「………送る」


「………うん」


 二人で無言のまま孤児院まで向かった。









 私は、レイを抱えてお城へ飛び込んだわ。

 そして、私の部屋に入り、本棚に突っ込む。

 

 大丈夫、壁は無いわ。

 本棚の裏には隠し部屋があって、もしもの時のための用意をしていたのよ。



 飛び込んだ部屋には床、壁、天井の部屋一面に魔法陣が書いてある。

 全部私が書いた。

 魔力増幅の魔法陣を、これでもかと言わんばかりに書き込んであるわ。


 部屋の中心にレイを寝かせる。


「ごめんね、レイ。母さんのせいで、こんな目に」


 私は小さい時から、一緒にいる人が、仲のいい人が、みんな死んでいる。


 称号のせいよ。


 私は常に一人でいろ、と言われているようだったわ。


 人との温もり、繋がりを求めてしまえば、求めた人みんなが死んでいった。

 呪われているとしか思えなかった。


 そんな私に子供ができた。


 依頼の途中に赤ちゃんを見つけたのだけれど、まるで自分のようだ、と思ってしまい拾ったの。


 もちろん揉めたわ。


 でも手放す気はさらさらなかったわ。


 【鑑定アナライズ】で見た時、関係無い筈なのに【|王の血統《》キングブラッド】の称号を持っているのはびっくりしたわね。

 他もいろいろすごかったけどね。


 初めの方はいつ、いなくなるかと不安だった。


 でも元気に育ち、10年もすると称号の事も忘れかかっていたわ。



 でもやっぱり、神様はあの子を連れて行ってしまった。



「でも、大丈夫よ。母さんはちゃんと準備をしていたもの」


 そう、ダンジョンで見つけていた。


 私が着ている黒フードの前の持ち主には、体が無くなっていたから使えなかった。

 でも、レイには体がちゃんと残っているわ。


「レイのためなら、私は倫理観なんて知らないし、人間だってやめるわ」


 教会で習った事がある。


 人の人生は一度きりだ。死者蘇生は、この世を定めた神への冒涜となる。


 そんなのはもう知らないわ。

 私は、レイの居ない生活は考えられないの。

 レイのためなら、私は人だってやめられる。


「だからお願い………!帰ってきて………レイ!」


 私はスキルを発動する。


 スキルが発動するとともに、私のMPがすごい勢いで消えていく。



 【隠蔽】で隠し、レイにも見せなかった二つのスキル。



 【自己犠牲サクリファイス】と【輪廻転生リンカーネイション



 【輪廻転生リンカーネイション】は、対象の人物をもう一度生き返らせるスキルらしいわ。

 ただ、発動に膨大なMPを使用する。

 私のMPでも全然足りない。


 だから【自己犠牲サクリファイス】を使う。

 自分のHP、生命力をMPに変えるスキル。


 この用意したMPを部屋の魔法陣でさらに増やす。

 スキルを使う準備だけはずっとしていたのよ。



 生命力は命の源。無くなったら死んでしまう。



 このスキルを使ったら私は死んでしまうかもしれない。


 でも、死んでしまったら元も子もないのよ。


 レイと二人で生きるの。


 シロちゃんと三人でまた生活するの。


「だから、私は死ねないわ!」


 正直もう意識が消えかかっている。

 

 【鑑定アナライズ】で自分のHPを見ると、既に10を切っていた。


「まだよ!まだやれるのよ!」


 ポーションでHPを回復しても、生命力は回復しないから意味がない。


 だから、この一発勝負。





 HP残量、5



「お願い………!」



 4



「生き返ってよ………!」



 3



「また、母さんって言って、私に向かって笑ってよ………!」



 2



「母さんはもう………!」



 1



「あなたがいないのなら、生きている意味は無いのよ………」


 するとレイの体が光りだした。

 スキルが発動したみたいだわ。


「レ……イ………」



 意識が遠のく。



 体が冷えていく。


 

 レイは成功したはずよ………



 だから………



 私は………





「死ぬ訳には……いか………ない、の……………」





 0





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ