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5話 これはお約束……なのか?

 夢をみている様だ、言葉では表現しずらい、甘いような恥ずかしいような夢……そこでハッとして目が覚めた。見えたのは部屋の天井、壁と同じ白の壁紙が貼ってある、蛍光灯は点いてない。


「知ってる天井だ」


 ここは住んでいるアパートの天井であった、知らない天井なんて真っ平ごめんだ。でもなんでここにいるんだろう、確かH市でプラチナという魔法少女に絡まれた上に攻撃を受けて気を失ったのに、ランスが体に刺さったのに?


まさかすべて夢?


まさかの夢オチなのか!


 なんてことを考えてると外ではよくいる鳥の鳴き声、部屋に差し込む光から朝だとわかる。起きなきゃいけないな、さっきのが夢だとしたら今日はつゆきと約束したH市に行く日だし。と思ったところで自分の体の左側になにかがいるのを感じた、しかも左手がしびれたように動かない。


 背筋を寒いものが走った、震える手で布団をはがす、とそこにはすやすやと眠る黒髪の少女、左腕を抱えるようにしている。


「えーと、これは……まさか」


 その時鳶色の瞳が見開かれた。


「正人!」


 はつゆきが俺が目覚めてるのに気づいて抱きついてきた。


「正人・気が付いた、……よかった」


 声が震えている、泣いているのだとわかった、そしてアレが現実の出来事だったことを悟る。


「心配かけたみたいでごめんな、どうやら助けてもらったみたいだし」


 ランスが刺さっていたはずの箇所をみても傷も痛みもない、治癒魔法をかけてくれてたみたいだった。はつゆきは涙を流したままの顔をあげて俺を見た。


「いいの、護るのが私の務め、果たせてよかったの」


 なんか胸がキュンとなるな、もともと好みの容姿なのでなおさらだ、


 だが……


「なんで、俺もはつゆきも裸なんだ?」


上半身を起こして俺はつぶやく、声は確実に震えているだろう、はつゆきは少し顔を赤らめたと思うとこう言った。


「リアル朝チュン……正人が喜ぶと思って」


なっ! なんだってー?


「どこからそんなこと知ったよ?」


「戦術データーリンク使って、あと乗り組んでた隊員の私物の本なんかに載ってたよ」


 まて!C4Iシステムに割り込んでそんな事調べたのかよ! そんな事に使えるのかって気もするけど……隊員の私物って……式神にする前から自我があったのか! しかもその本ってラノベだろ、そうなんだろ!まあ前世から(めんどうなことに前々世まであるんだよ!)数えたら相当長く人と関わってるから、付喪神化しててもおかしくないけどな、でも何かが違いはしないか?


 そのようなことをいろいろとはつゆきに聞いたのだが、彼女は「ふふふっ」と笑うとこう言った。


「だって私は正人あなたが好きなんだし、機会があればためらうなって言うでしょ」


 正論だ、まったくの正論だ。だが! だが、そういうのはこんなシチュエーションではなくもっと違った……


「正人はワタシのこと嫌い?」


そんな下からうるうるした目で見られると言えないじゃないか、それに、それに……


「そんなことはない、俺は!はつゆきのことは大好きだ!」


 言うしかないじゃないか、こんなに好いてもらってこちらもうそ偽りなく好きなんだから。


 アレ?昨日意識なくしてからどうなったか聞くのぜんぜん忘れてるような……うーん、まあとりあえずはいいか。


 そうして何かお約束のような展開になり俺とはつゆきは相思相愛となった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~


某所 或るオフィスにて


「プラチナちゃんはどうなの?」


白金プラチナさんは退院して自宅待機してます」


「いわゆる謹慎ってやつね、まあしょうがないね、やりすぎたんだから」


「まあまだ死人が出てないのが不思議なくらいで……今回も少女にわいせつな行為をしようとしたやつは、やけどに骨折で入院してますよ、警察病院ですけど」


「彼女は潔癖だからねートラウマもあるんだろうし……」


「しかし、返り討ちにしたやつはいったい何者なんでしょうか?」


「まあね、そんなこと出来るなんて相当な術者だね」


カチャリ、ソーサーにカップがあたって小さな音がした、それすら聞こえるほどここは静かなのだ。


「身元は判ったの?」


「それが……見たのはプラチナ一人だけで対象は若い男と女のいわゆるカップルですね、男の方はたいした術者ではないようです、プラチナは女の方にやられたのです」


「ふーん?」


「男を倒したら女のほうが何かを召喚してそれが光ったらすでにやられていたそうです」


「一緒にアミィがいたんじゃない?」


「ちょうど先に捕まえた男を引き渡しに行ってる間だったようで異変に気が付いて戻ったらすでに……相手は煙幕を張って逃げていました」


「なるほどね、じゃあ捜索部隊を……」


「すでに、月影シャドームーンを派遣しております」


「そうか……さすがだな、でH市の捜索を?」


「はい、あの街は魔素濃度が低いので捜索は容易でしょう、ですが隣の東H市やK市ですと……」


「あそこまで濃度が高いと広域探知はできないからね、逃げ込まれたらやっかいだ」


「あそこはアミィのホームですから彼女に捜索させます、探知能力は特Aクラスですから」


「そうしよう、とりあえずはこれでいいかな?他にも割かねばならんのでこれ以上は回せないしな」


「そうですね、 失礼します」


そして報告していた方がカチャリとドアを開けて出て行った、後には静寂な空間が残る。


「あまり時間がないんだ……早くしないと……」


つぶやくような声が聞こえるのみだった。




ここまで読んでいただいて有難うございます。


誤字・脱字などありましたらお知らせください。


次回投稿は5月1日18時の予定です

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