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13話 スカウト

 俺と若林さんは現在Y市の軍港に来ている。もちろん式神のスカウトのためだ。会長の命令もあるが、魔獣の出現が増えてきている今、現在は戦う為の手駒が足りないので、手っ取り早く増やせる式神に手を出すのは仕方のないことだ。


 だが簡単なような召喚だがいくつか問題もある。


「すると転生経験のない艦は召喚できないのか?」


「いろいろ条件があるみたいですが試した感じではそうですね」


 残念ながらはつゆきとしらゆきの姉妹たちで試した結果からだ、2人を除いて転生経験のない彼女らは召喚自体不可能であった。おそらくは生まれてきてからの年齢的なもののようで、まだ式神として実体化できるほどの魂のようなものが出来上がってないのかもしれない、


 もう一つの問題は、相手が式神になるのを拒んできた場合である。式神召喚はあくまで双方の合意で主従の関係を結ぶものであるからだ。会長や若林さんの希望は強力な艦で或ることが望ましいとのことだが、相手が拒否してきたらどうしようもないのである。


 今回は若林さんが話を通しているので艦の中まで入ることができる、ということで、いまスカウト候補の艦にのってるのである。メダルを出して魔力を込めると目の前に人の姿が浮かんでくる、腰まで伸ばした黒髪をポニーテールでまとめた長身の美人さんだ、体型は想像通り巨大な双丘が主張している、神級には及ばないが最終兵器級はあるな。


 などど思ってると、彼女のほうから声をかけてきた。


「あなたが、噂の召喚師ね?ここにこうしてるってことは私を式神にしたいのね?」


 噂ってなんだって聞いたら、すでに戦術ネットワークで国中の護衛艦に俺がはつゆきやしらゆきを式神にしたという話が広まっているらしい、なにそれちょっと恥ずかしいぞ。




「うーん、悪くない話だと思うけど、どうせならこちらの方を主にしたいかなって」


 と、若林さんのほうを見て顔を赤らめる、若林さんのほうは突然の話に顔を引きつらせてる、


「え?何で俺なの?」


「だって、艦長になるはずだったのに急に来てくれなくなったから……」


 人事で着任直前で魔法協会にスカウトされたために取りやめになったそうだ。前から気になっていてうれしかったのに急にあんなことになるなんて、と泣きそうになるのをなだめる若林さん、


「この場合どうなるんだ?」


「召喚陣に記述されている主を若林さんに変更すれば大丈夫ですよ」


 召喚時に魔力を多少必要とするだけで、あとは消耗したときに補充してやればいいし。なにより、独身だから大丈夫でしょうと言ったら。


「いやそういう問題では…」


「でも会長は戦力の底上げを願ってましたし」


「そうよ! 私は役に立つわよ!」


 結局渋る若林さんを俺と彼女…おっと、名前はきりしまという、が説得して、ていうかきりしまが主に若林さんをかなり強引に口説いて契約させた。やはり護衛艦の中の人は積極的な性格になってるんだろうなあと一人納得した。


 ちなみに戦力増強についてはつゆきたちに相談はしている。


「「正人を守る仲間が増えるのはいい」」


 意外と肯定的であった、亜由美は渋い顔をしていたが任務だからと納得したようだ。


 次に向かったのはひゅうがである、召喚すると少し栗色のショートカットでタレ目のかわいい娘が現れた。


「式神になれるんでしょ! いいよボクは喜んで!」


 あ、ボクッ娘だ、そのうちでてくるだろうと思ってたけど。


 ということでお仲間決定である。ヘリ空母タイプで直接的な火力はないけど人員移動用にはいいかもしれない。


 ちなみにまだ配備されてないはずのV-22Jオスプレイが使えるのは、彼女が同盟国の機体を乗せたことがあるかららしい。


 そうしてお仲間をふやしつつ1日が過ぎていくのであった。


~~~~~~~~~


 考えようによっては長い一日だった。すんなりと仲間(式神)になってくれたのもいたし、お断りされたものもあった、それはしょうがないと思う、相性もあるからね。夕食をとり市内のホテルに入る、今日はここで一泊して本部に帰ることになる。


 若林さんの腕にはきりしまが腕を絡ませてすがっている。


「早くお部屋に行きましょう」


「えぇ!なんだって?」


「今日はわたくしの処女航海ですよ、初めてなんですから、ちゃんと乗ってくださいね」


「いや、おまえ処女航海はすでに…」


「この体でのことを言ってるんです…人様の前で恥ずかしいのであまり言わせないでください」


「……」


 若林さんはきりしまに部屋に引きずられていった。


「ふぅ、なんか疲れたな、それにしてもなんであんなに積極的なんだ?」


「油断も隙もないから」


「そうだなって! はつゆきいつの間に来てたんだ?」


「待ってた、そうしないといけない気がして」


「そうなのか?」


「チェッ!」


  舌打ちに振り返るとそこにはひゅうがたち召喚した彼女たちが。


「いつの間に…?」


 呼び出してもないのに……


「油断大敵……」


 はつゆきがジト目でひゅうがたちを睨む。


「おお怖! 今回はボクたちの負けの様だね、でも…あきらめないよ♡」


 そう言ってメダルに戻る彼女ひゅうがたち。


 彼女たちの積極性が伝染していくと知ったのはそれからしばらくもしないうちだった。



ここまで読んでいただいて有難うございます。


誤字・脱字などありましたらお知らせください。


感想などをいただくととてもうれしいです。


次回投稿は5月7日17時の予定です

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