第二話〜音楽〜
音楽室につくと、僕は真っ先にピアノに向かった。
大好きなピアノが僕の前にある。早く弾いてくれ。て言ってるみたいだ。
「ねぇ、啓太。弾いてほしい曲があったら言ってよ」
僕はいすに座ってから、楽器の入った棚を見ている啓太に聞いた。
「あ、あと僕の知ってる曲にしてよね」
啓太は少し、うーん。と考えた後
「じゃあ、うちの校歌弾いてよ。」
「えーー・・・まぁいいか」
ちょっとガッカリしたけど、早く何でも弾きたかった。
鍵盤に手を置く。
指に力を入れて下に下ろすと、とても綺麗な音が出る。何回聞いても全然飽きない。
♪〜♪♪♪〜〜♪♪〜♪
ピアノを弾いている時が一番幸せだ。
元気のいい曲が音楽室に響きわたる。校歌は好きじゃないが、ピアノで弾くといい曲に聞こえてくるから不思議だ。
弾いている途中で
ぴぽーー。♪〜♪♪♪〜〜
啓太がリコーダーを吹き始めた。啓太はリコーダーを吹くのがすごくうまい。うまいけど僕がピアノを弾いてる時に吹かないでほしい。
イライラ。イライラ。イライライラ。
リコーダーの音がすごく気になる。
「ダァァァァ〜〜〜〜」
(!!!)
僕がいきなり大声を出したものだから啓太はビックリしてリコーダーを吹くのをやめてしまった。
「いっいきなり、どうしたんだよ」
「啓太!僕がピアノ弾いてる時にリコーダー吹かないでよ!!」
「あぁ、ゴメンゴメ〜ン」
僕の性格を知っている啓太は失敗した。というような顔をして謝った。そして、またいつもと同じくケロッとした表情にもどって
「なぁ。光輝。コッチ来てみろよ。面白い物みつけたんだ」
て言って楽器のたなの所から、おいで、おいでって手招きしてる。
「何?」
気になった僕は、駆け足で啓太の所まで行く。
「コレ。コレ見てみろよ」
そう行って僕に差し出したのは、古い鍵盤ハーモニカ。形は普通の鍵盤ハーモニカと変わらないのだが、色がとてもカラフル。
鍵盤一つ一つ赤・青・黄色・ピンク・紫・茶色・緑・金・銀・水色・白・黒。
色んな色で、できていて、ホースも虹色だ。
「啓太。コレ何?」
「オレもわからねぇんだよ」
「何か不思議だね」
「え?何が?」
「だって、こんなに目立つのに今まで誰も気がつかなかった」
そんな事を言う僕に啓太は、そうだな。と言って今僕が持っている鍵盤ハーモニカを
ジッと見ている。
そして啓太は
「光輝!コレ。弾いてみろよ」
と好奇心いっぱいの目で僕の顔をみた。目がキラキラ光っていた。
「えっ!!でも僕・・・。啓太が弾けばいいじゃん」
「光輝の方がうまいだろ?」
反対してみたけど、あっさり返されてしまった。僕も弾いてみたい。そう思うけど弾きたくない自分もいる。色がハデなだけ、なのだけれど・・・
「光輝。早くしろよ」
啓太にせかされて僕はホースを口元まで持っていった。もしかしたら前に使った人が、ホースを拭かないでそのまま置いてあったかもしれない。って思ったときはもう口をつけていた。
---------ゆっくりと息をはいて色んな色がある鍵盤を押した。
????
音が出ないのだ。何回やってみても全然でない。啓太は残念そうにして
「音、出ねーのかよ。つまんねーの」
と言って、また棚の中をあさり始めた。
僕も何時までも此処に突っ立ているわけにもいかないので、鍵盤ハーモニカを棚にもどそうとした時。
フワアァァァァァ
鍵盤ハーモニカが光だした。
「えっ!?なっ何々!?」
ビックリして思わず鍵盤ハーモニカを落としてしまった。
ガタンッ
楽器に夢中だった啓太も僕の声と鍵盤ハーモニカの落ちた音でコッチを向いた。
その瞬間。目も開けてられないような光がハーモニカから溢れ出した。
「うぅ・・・・」
光がおさまって目を開ける。チカチカしていてまだよく見えないが目の前にはフワフワと浮いている何かが。
目のチカチカがなおってきた。
目の前にいた物体はバスケットボールのような形で水色。ピアノの鍵盤がその周りにまかさっていてクリクリとした大きな目。片目は音符の形をしていて、小さな足が2本ちょこん。と
はえている。
「はじめまして!!光輝さん啓太さん!!」
その生き物はしゃべった。
「「えええぇぇぇぇぇぇ」」
二人の声がハモった。
「こ、こうき。何だよ、この生き物」
「ぼ、ぼくも知らないよ。け、けいたは?」
「し、しるわけねーよ」
こんな生き物いままで見たことも聞いたこともない。こんなふわふわ空を飛ぶ生き物。
「あっ。すみません。おどろかせてしまいましたね。私バールと申します。どうぞ、よろしくお願いします」
僕も啓太も開いた口がふさがらない。
このバール。とかって言う生き物は、本当に何なのだろうか。