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エピローグ
サルヴァ王子は帝国を後にした。
そしてその数日後、ランリエル王都フォルキアへと凱旋したサルヴァ王子とその軍勢を、民衆は歓呼の嵐で出迎えた。
稀代の偉業をなしたサルヴァ王子を迎える為、道々に花が飾られ、装飾がなされ、貧しい民衆ですら、この日の為にと用意した一張羅の衣で着飾った。
サルヴァ王子はその民衆に対して、馬上から手を振り応えた。
サルヴァ王子自身も、出迎える民衆達と同じく着飾っていた。
身を任せる白馬には宝石を散りばめた装飾がなされ、身に纏う鎧にも精巧な細工が施され、磨かれ、微かなくもり一つない。
だがその頭を覆う兜は、何の飾り気も無い実用性だけを考えて作られた無骨な物だった。