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断片の使徒  作者: 草野 瀬津璃
ミストレイン王国 王位継承編
202/340

 9



 宴が中盤に差し掛かると、給仕の仕事は随分落ち着いてきた。

 ラインは周りに断って、一度、担当客室の様子を見に行くことに決め、廊下に出た。

 人間の子どもが一人、客室で留守番をしていることが気になって仕方がない。ラインはこの子どもが人間だからというより、子どもというものを信用していないのだ。子どもというのは、冒険する生き物だ。あの子どもは大人しくしていると言っていたが、戻ったら客室が恐ろしいことになっているのではないかと不安だった。

 廊下を静かに、だが素早い足取りで移動していると、ふいに呼び止められた。

「ライン」

「あ、これは、イファ宰相閣下」

 ラインは姿勢を正した。

 エルフの社会には、人間のような貴族と平民という考え方は存在しない。族長と、それに連なる一族といった形で、族長に敬意を払いはすれど、族長に器が足りなければ非難もする。エルフの王とは、これら幾つかの部族を束ねる者なのだ。

 族長とそれに連なる一族という関係性があると言っても、王は特別だ。ハイエルフというのは、エルフにとって守らなければならない古来からの血を継ぐ者だ。

「どうしたのだ、そんなに急いで。アーヴィン殿下の宴の手伝いをしていたのでは?」

 イファは怪訝そうにそう訊いた。

 前王レディオットの、更に前の王から宰相として王宮に仕えているイファは二百五十歳に近い高齢だ。加え、レディオット王に仕えて神経をすり減らした二百年のせいで、若い頃は見事な金色だったという髪が真っ白になっている。どこか疲れた様子だが、皺の刻まれた顔は優しそうだ。

「宴の方が落ち着きましたので、客室の様子を見に行くところです。客のうち、子どもが一人、具合が悪いと残っていますので」

「ああ、なるほど。腕白な真似をしていないか気になるのだな」

 ラインの性格をよく理解しているイファは、したり顔で頷いた。税を納めにくる族長一家が毎年引き起こす騒動に、ラインがうんざりしているのをよく知っているのだ。

「その通りです。――閣下は宴に参加されるのですか?」

「まさか。アーヴィン殿下は私を嫌っておいでだ、楽しい宴に顔を出して、機嫌を損ねるような真似はしたくないよ。そうだ、ライン、私も一緒に行っても構わないか。具合が悪いなら診てあげよう。私で悪いが、宮殿付医師は人間嫌いが酷くてね」

「ご謙遜を。閣下が診ても駄目なら、宮廷付医師にはもっと無理ですよ」

 ラインは本心から言った。元々、イファは薬師として王宮に入り、その聡明さから政治方面へと誘われて文官になり、やがて宰相へと異例の出世をした人物だ。

 ラインの言葉に、イファは困ったような顔をする。

「何を言うのだ、ライン。流石に私では本職には劣る」

「左様ですか? ではそういうことにしておきます」

 ラインは渋々そう返す。あまりこの話をするのはイファが喜ばないことを知っているのだ。そうしてイファとともに再び廊下を歩きだし、そのまま客室の前に来た。

 ラインは扉をノックして中へ呼びかけたが、答えは無い。子どもは寝ているのかもしれないと考え、様子見をすることに決めて鍵を開けて部屋に入る。

「いない……」

 寝室を見てみたが、子どもの姿は無い。

「ライン」

 イファが小声でラインを呼び、手招いた。静かにするようにと手で合図され、怪訝に思いながらイファの示す方を見る。

 ベランダに探している子どもの姿を見つけて、ラインは眉を寄せた。

 青い光が幾つか纏わりついている姿は幻想的で驚いた。だがそれよりも、ラインにとっては、「大人しく寝ている」という約束を破ったことの方が問題だった。

(子どもは目を離すとやっぱりこうだ)

 子どもを大人しく椅子に座らせる魔法がこの世に存在すればいいのにと、ラインは心の内で大仰に嘆いた。


    *


 青い光の正体は蝶だった。

 手の平より少し小さいくらいの大きさをしたその蝶は、ふわふわと羽ばたく。その緩やかな動きとともに、青く輝く鱗粉が星屑のように宙を舞う。

 遠目に見た時は、鬼火か人魂かもしれないと驚いた修太だが、傍で見れば単なる虫であったことにほっと胸を撫で下ろした。

 なにかが分かれば綺麗で好奇心が刺激される。

 修太は思わず手すりまで近寄り、蝶の幻想的で美しく舞う光景にしばし見とれた。

(綺麗だけど、この蝶は夜行性か? この手の蝶は夜は寝てるものかと思ってたな。それにこれだけピカピカ光ってたら、夜目のきく鳥の餌になるんじゃねえか?)

 現実的な疑問が頭をよぎると、目が覚めた。

 というのも、生き残れるだけの強みをこの蝶が持っているかもしれないと気付いたせいだ。

 だがすぐに離れるには惜しい光景だ。

(遠くから見てる分には問題ないだろ)

 修太はしばらくそのまま見ていることにした。だが、眺めるうちに蝶の群れがどんどんこちらに近付いてきて、気付けば周りに纏わりつかれる羽目になった。

「うわ、なんだ。何で寄ってくるんだ」

 こういった生き物に好かれるのは啓介の専売特許で、修太ではない。綺麗な虫が近づいてきたら普通は喜ぶのだろうが、修太は不気味に思って手で払う。しかし蝶は手を避けるだけで、離れていかない。

「な、なんだ。もしかしてやばい虫だったりしねえだろうな……」

 モンスターにやたらと懐かれることを思い出し、蝶に見えて実はモンスターではないかと疑う。

「コウ、これはモンスターか?」

「クウン」

 修太の問いに、コウは首を横に振る仕草をした。モンスターではないようだ。

 蝶は修太の周囲に漂うように、ひらひらと宙で羽ばたくだけで、それ以上近付くことは無い。

 そこで修太は、恐る恐る蝶の一匹に向けて人差し指を差し出した。すると枝にとまるような自然さで、蝶が指先に降り立った。

「別に普通の虫だな……。光ってるのと夜行性なこと以外」

 まじまじと観察してみて、修太はそう結論した。

「面白いな、人の子。幻光蝶(げんこうちょう)に好かれるか」

「うわっ」

 思いがけず後ろから声をかけられ、修太は身をすくませた。一瞬、蝶が周囲から離れたが、すぐに元の位置におさまった。

 ぎょっと部屋の方を見ると、見知らぬ老人エルフが一人と、眉を寄せたラインが部屋の窓の傍に立っていた。

「様子を見に伺いました。こちらは――」

「ソルジアだ、薬師(くすし)をしている」

 ラインの言葉を遮って、老人エルフはそう名乗った。渋い緑色の長衣を纏ったソルジアは、楽しげに目を輝かせてこちらに歩み寄り、数歩手前で止まった。

「幻光蝶は普通、森の奥にいる。魔力を餌として生きる蝶だ。その性質上、湧水の流れの傍にいることが多い。こんな場所まで来ることは滅多にない。――君は〈黒〉だったな、それでだろう」

 ソルジアは興奮して勢いよく語った。

「は、はあ……」

 勢いに圧されるように、修太は一歩、ソルジアから離れる。警戒してコウがうなるのをやめさせてから、修太は森を指差す。

「よく分からないですが、そっちの森から飛んできたんです」

「あの辺りには泉があるからな。その為だろう」

 修太の言葉に、ソルジアはしきりと頷く。とにかく蝶を間近で見られて嬉しいという態度で、目をこらして幻光蝶を観察している様子は、修太には異様に映った。

 この老人へどう対応したものか修太が考えを巡らせていると、ラインがわざとらしく咳払いをした。

「幻光蝶などどうでもよろしいです。お客様、大人しく寝ているという約束だったはずですが?」

 冷たい怒りの気配に、今度は修太はそちらに向けて顔を引きつらせた。

「ちょっと気分転換に外で涼んでたんです、すみません!」

 あれこれと言い訳しても泥沼になりそうなので、修太はすぐに謝った。客室の範囲内だと思っていたが、ラインからするとベランダに出るのは不合格だったようだ。この遣り取りを聞き、呆然と蝶を見ていたソルジアが夢から醒めたように首を振る。

「そういえば具合が悪いのだったな。残念だが部屋に入った方が良い。外気に当たりすぎると体に障る」

「風邪ではないので大丈夫ですよ。俺、魔力欠乏症なんで、体調が良い時と悪い時があるんです」

 相手は薬師なので、修太は包み隠さず話した。それにあまり重病人のように扱われるのは不本意だ。ちょっとばかり調子を崩しやすいだけで、健康だと思っているだけに。

「なるほど。夕食から少し時間が経っているから、今は調子が良いのか。食事に使われる水にも微量の魔力は含まれているから、それで回復する。そう怖い顔をするものではない、ライン。この子は嘘を吐いたわけではないのだ」

 ソルジアはラインをちらりと見て言った。ラインはしばらく沈黙した後、幻光蝶に目を向ける。

「では、その蝶はお客様の害にはならないのですか? 魔力を喰らうのでしょう?」

「〈黒〉は常に微量の魔力を外へ放出している。この子どもは力が強いのか、少しばかり余計に外に出しているようだ。その零れた魔力を蝶が喰らっているのだよ。〈黒〉に害がある虫というわけではない」

 ソルジアは初め、ゆっくりとした調子で説明していたが、だんだん勢いづいて興奮気味の声になった。

「お陰で、こんな間近でこの蝶を見ることが出来た! この蝶は美しいが森の奥に行かねば見ることがかなわぬから、この歳になっても一度も傍で見た事がない」

 黄橙(おうとう)色の目を少年のように輝かせるソルジア。

 次々と言葉を繰り出す程なのにその場から動かないのは、蝶に逃げられない為なのだろうか。修太は幻光蝶を見回し、指先にとめている一匹に目をとめる。ソルジアがうらやましそうに修太の手を見ている。なんだかつい、親切心がうずいた。

「ちょっとこう、手をこちらに向けてくれません?」

「ああ」

 修太がしようとしていることの意味に気付いたのか、ソルジアがパッと嬉しげな顔をする。

 そろりと差し出された皺の刻まれた細い手に、修太は蝶を移した。ソルジアの顔がますます輝く。

「素晴らしい! 幻光蝶が私の手に! 見てるか、ライン。見てるか?」

「見ていますから落ち着いて下さい」

 小声で騒ぐソルジアに、ラインは呆れたように返す。

(変な人だけど、憎めない感じの爺さんだな)

 修太はつい、小さく笑ってしまった。

 ソルジアはしばらく幻光蝶をうっとりと眺め、気が済んだところでラインに言った。

「ライン、なにか箱か、袋は無いか? 瓶でもいい」

「ハンカチならございますが」

「それで充分だ。貸してくれ」

「ええ」

 二人のエルフの遣り取りを傍らで聞いていた修太は、ソルジアが指先の蝶にハンカチを被せ、素早く袋状にして持ち替えたことに目を丸くした。

「え、何してるんだ?」

「もちろん標本にするのだ。珍しい蝶だからな」

 ソルジアは満足げに言った。虫好きな少年のように思えていたが、どうやら虫が好きな研究者だったらしい。

「って、標本かよ! そんなことなら渡さなかったのに!」

「協力に感謝する、人の子」

「してねえよ! 最低だな!」

 しれっと返すソルジアに、修太は激しくツッコミを入れる。

 しんみりしてしまっていただけに、反動がすごい。気付けば老人への敬語がどこかへ飛んでいった。

 なんとなくラインもソルジアに冷たい目を向けている気がする。

「まあまあ、人の子よ、落ち着くのだ。今日のところは魔力欠乏症に効く薬を用意する。後で侍従に届けさせるから受け取るように」

「真面目に纏めようとしても無駄なんですが」

 修太の冷ややかな対応にも、ソルジアはほのかな笑みを返すだけだった。

(この爺さん、侮れねえな……)

 祖父母に憧れを持っている為、老人に好意的な修太だが、この老人エルフは別枠だと思った。

「あと一匹もらっても構わぬぞ?」

 それどころか面の皮の厚さを発揮するソルジア。

「冗談。誰が渡すか」

 修太は素早くソルジアから距離を取り、手の平を振って幻光蝶を追い散らす。博愛主義者でもなんでもないが、標本にする為に捕獲するのは抵抗がある。そして手を振るうち、少しバランスを崩し、なにげなく手すりに背中を預けた。

「はっ?」

 拍子抜けした、間の抜けた声が出た。

 まさか重厚な石造りの手すりが、ドミノのように外へ向けて倒れるとは思いもしなかったのだ。



 足の下、暗闇に溶ける石畳に瓦礫が落ちて、甲高い音を立てた。

 ベランダの床の端に右手を掛けてぶら下がった格好で、修太はゾッとした。二階程度の高さだ、足から落ちれば死にはしないだろうが、怪我は確実。瓦礫の上に落ちればなおさらだ。

「お客様!」

 慌てたように、ラインがベランダの端へと膝を付き、修太の右腕を掴む。そのラインの肩をソルジアが支えた。

 ラインは懸命に修太を引っ張り上げようとする。が、僅かに体が持ち上がるだけで、それ以上上がらない。それでもラインは肩で息をしているし、顔は真っ赤で額に汗が浮かんでいる。

 修太はふと嫌な事実を思い出した。――エルフは非力である、と。

「ラインさん、もうちょっと頑張って。そうしたら俺、自分で上がるから!」

「これで精いっぱいです! 重すぎます!」

「俺、一応、子どもレベルです!」

 その上、痩せ型で背は低い方だ。

 修太は左手もベランダの端にかけて、自分の力だけで体を持ち上げようと努力するが、石板がつるっとしているせいで指先が滑って上手く力が入らない。気ばかり焦る中、ふとラインの向こう側、ソルジアを見た。

(この爺さんも赤い顔してるし! あんた、肩を支えてるだけだろうが!)

 支えをしているだけのソルジアですら、精一杯の様子に軽く眩暈(めまい)を覚える。

 エルフの非力さを甘く見ていた。

(駄目だ、こいつら。頼れねえ! 自分でどうにかしねえと!)

 修太は泡をくい、必死に左手に力を込める。

「このやろっ」

 懸垂(けんすい)の要領で思い切り体を持ち上げようとした瞬間、左手の指先が汗で滑った。

「げ」

 再び、右腕だけで体を支える宙ぶらりん状態になった。右手が痺れるように痛い。

「ちょちょちょ、ちょっと頑張って。ラインさーん!」

「うぐぐ、もう駄目です」

 踏ん張りきれなくなったらしい、修太の重みに引っ張られるように、ラインの身が傾く。

「わーっ」

 こちらに落ちてくるライン。これではどちらが落下に巻き込まれるんだか分からない。

 だが、寸でのところでラインの動きが止まった。コウがラインの帯を噛んで、後ろへ引っ張っている。

(コウ、ナイス!)

 修太は内心で喝采の声を上げる。

 ラインの落下に巻き込まれずに済んだはいいが、自分の身が残っている。右手の方はだいぶん限界だ。もう一度左手を上げて、ベランダにしがみつこうと努力する。

「うぐぬぬぬ」

 そして、死にもの狂いでベランダの上へと這い上がる。なんとか両腕を付いたものの、ちょうどいい支えが無い。思わず目についた右側の手すりの柱に右手を掛けた。が、そちらもパズルみたいに綺麗に外れた。

(嘘だろ!?)

 柱を頼りにしようとしていたのもあり、バランスを崩して宙に投げ出される。

(落ちる!)

 覚悟して目を閉じた瞬間、両肩の辺りにガクッと衝撃を感じた。驚いて目を開けると、シークとトリトラがそれぞれ修太の服の肩辺りを掴んでいた。

「おい、上げるぞ!」

「一、二、三!」

 掛け声とともに、修太はベランダの上へと引き上げられた。

 安定した床の上で、修太は両手両膝をついた格好で、ぜいはあと息をしていた。本気で死ぬかと思ったし、肩や腕が痛い。

「シーク、トリトラ、ありがと……、っておい!」

 修太が顔を上げると、救世主二人はラインとソルジアを締め上げにかかっていた。

「おい、ゴラ。てめえら、こんなガキ相手に二人がかりで狙いに来るたあ、良い度胸してんじゃねえか」

「実行犯は君かい、侍従さん」

「ウォンウォン、クーン!」

 違うと言いたげにコウがぐるぐると二人の周囲を回っているが、シークやトリトラの視界には入っていないようだ。

(酒くさっ。酔ってんのかよ、面倒だな)

 ベランダの床に落ちている酒瓶や、引っくり返って中身が床にぶちまけられている皿を見て、修太は二人がご馳走を持って宴を抜け出してきたようだと悟った。加え、酔っているせいで視野が狭くなっているらしいことも。

 襟元を締められているラインやソルジアは本気で苦しそうにしている。このままではまずいのは目に見えているので、修太は止めに入った。

「おい、ちょっと待てって! この二人は関係無いから! 助けようとしてくれたけど、非力なせいで役に立たなかっただけだから!」

 思わず本音が口から飛び出したが、それよりもラインとソルジアの命の方が大事だ。修太の叫びに、シークとトリトラは一瞬顔を見合わせ、同時に手を離した。床へと膝から落ち、咳き込むエルフの二人。

 その拍子に、ソルジアが先程持っていた幻光蝶入りのハンカチ袋の結び目が解け、幻光蝶が逃げ出した。キラキラと青の軌跡が夜空に一瞬だけ浮かぶ。

 立ち直ったソルジアは、ラインに詰め寄る。

「何故だ、ライン。あれだけ念入りに確認したはずなのに、何故罠があるのだ」

「申し訳ありません、閣下。ベランダの手すりに外へ体重をかけると壊れるというものまでは見抜けませんでした。上に手を乗せる程度ならば問題無かったのです」

 血の気の引いた顔で謝るライン。ソルジアは険しい顔をしている。

「こうしてはいられぬ。再調査せねば!」

「ですがその間、客人達をいかようになさいます? 他の客室の安全性は未確認です」


 ――ダン!


 床を叩く激しい音がした。

 トリトラがラインとソルジアの間の床を、思い切り右足で踏みつけたのだ。恐る恐る顔を上げる二人を、トリトラは感情のこもらない目で見下ろした。その恐ろしさに二人の顔が引きつった。

「話が盛り上がってるところ悪いんだけど、事情は勿論説明してくれるんだよね?」

「ああ、もちろん」

「ええ……」

 二人が頷くと、トリトラはにっこりと笑い、手の骨をバキリと鳴らす。

「じゃあ、最初の質問。――どっちが実行犯?」

 凄むトリトラと、凍りつくエルフ達。

「やっぱり酔ってるのかよ、お前!」

 修太が再び慌ててトリトラを(なだ)めにかかったのは言うまでもない。


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