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名も無き物語~番外編~  作者: 中嶋凛華
1/1

~出会い~ セティア




私。フィレンノイ・セティアは人の心を読む力を持っていた。




そして、ココは、超能力者を扱う秘密の学園、無叶むきょう高校である。


超能力者だと言っても、普通の人間には変わりない…と思っている。


ここで少しでも自分の事を理解できたらなって思う。


私は、なぜ心が読めてしまうの?


私の目の前にいるだけの人の心を私は勝手に感じ取ってしまう。


今まで、読みたくない心も読んできた。


読みたくないのに、心の中に勝手に入ってきて、


私は、ひたすら自分の能力をうらんだ。


人の心なんて読めても何の特にもならない。


人の心とはなんとも醜いもの。


綺麗な心もあれば汚れた心もある。


私は、ここで、こんな自分から進歩できますようにと祈りながら歩んでいく。


見た目は普通のオシャレな私立高校である。


私は、桜が舞い散る道で綺麗な透き通るような空に手を差し伸べてみる。


緊張していた心が少しづつ解けて行く。


私は、少し微笑むと、後ろで誰かの気配を感じた。


私は咄嗟に振り返った。


「…?」


そこには、白銀の髪に輝く蒼い色の目をした男がいた。


なんて綺麗なんだろう…。


私は思わず見惚れてしまう。


「何?」


その人は、冷たく低い声で呟いた。


私は我に返り、


「いいえっっ!何も、ナイデス」


私は、その人からすぐに目を逸らして下に俯いた。


「何もないなら良いけど。そこ、どいてくんない?」


私は、焦って、端に寄る。


すると同時に木に鞄が当たり、キーホルダーが落ちた。


「「あ」」


そのキーホルダーは男に靴に当たった。


「ご、ごめんなさいっっ」


私はキーホルダーを取ろうとすると、男の手と当たる。


カァ・・・。私は自分の顔が真っ赤になるのを感じた。


私はバッと手を自分の胸元へ戻した。


「ご…ごめん」


男の顔を見れなくて、どんな風に思っているのか、まったく感じ取れなかった。


てゆうか…あれ??


さっきからこの人の心を読み取れてない。


何でだろう…?


見ただけですぐに読み取れるはずなのに。


こんな事…。


私の目の前に、男はキーホルダーを差し出した。


「はい」


「あ…ありがと」


男は、すぐに立って去っていった。


触れた手が熱い…。


こんなの初めて…。


あの人も、私と同じ高1なのかな?


「セティア~!高校進学おめでとぉ~!」


いきなり、私の体に抱きついてきた。


ティアラ・ウィンディー。黒髪の可愛らしい女の子。


私と同じ中学校だった。私の幼馴染であり親友である。


「おはよう♪ティアラ」


「あれ、機嫌が良いね!?何かあったの?私もね~」


「うん」


ティアラは微笑ましい笑顔で喋りだす。


と、共に私たちは、また学校に向かって歩き出した。


「あのね。さっき清水君に会ったんだぁ♪清水君の制服超似合ってたぁぁ」


「良かったね♪」


清水しみず神無月かんなづき。ここらへんでは珍しい名前である。


清水とは、中学校で私とティアラと同じクラスだった。


ティアラは清水に恋をしている。


清水を見ているティアラは頬を赤くして。可愛くて。


私は、この恋を応援しているだけで幸せだった。


けど…


「わ、私も、さっきスゴいカッコイイ人に会っちゃった」


「かっこいい人?もしかして、アルフ君?」


「へ…アルフ?」


「今、噂になってるんだ~!この学園にすごいイケメンが入ってくるって♪さっき、私も見たよ!てか、清水君と一緒にいたんだ」


「清水君と?仲良いの?」


「なのかな?」


アルフという名前を聞き、私はすぐに、あの人だと思った。


だって、名前と外見がすごく合ってるもの。


「あ、セティアとティアラじゃん」


「あ、清水君っっ」


ティアラは真っ先に清水君に近寄る。


微笑ましい光景だな。


「だから、神無月で良いっていってんじゃん。清水って、白々しいし」


「そ、そうかなぁ?」


あぁ、お邪魔かな。私。


「じゃあ、私お邪魔しまぁす」


私は、ティアラにアイコンタクトを送り、その場を去った。


2人には幸せになってほしい。


何気に似合ってるし!!


私も、いつかあんな風に頬が赤くなる日が来るのかな…。






「ふぇぇぇぇぇぇ!?」


私は、クラス分け表を見て、驚いた。


「アルフ…君と同じ…」


私と同じ並びにアルフと書いてあった。


嬉しい!!!


それにティアラの清水君もいる。


高校生活楽しくなりそう…!!





「……」


そして、クラスに着いた私は、席に緊張しながらも座る。


私の横には、窓を見て黄昏ているアルフ君がいた。


かっこいい…。


ヤバイよぉ。鼓動が速まっていくのが分かった。


黄昏てるアルフ君もかっこいい!!!


しばらくすると、ティアラと清水君が教室に入ってきた。


私は、ティアラに必死にアイコンタクトを送る。


”良かったね”


そう私は言われている気がした。





「あの昼食ね…神無月君と食べる事になったんだけど、セティアもどう?」


ティアラは、可愛らしい目で見つめてくる。


「そんな目されたら、断れないじゃん。でも誘えただけでも進歩だね!!」


「うん!!でね…3人で食べるのも比が悪いし、アルフ君誘わない?」


「え!?」


ティアラは清水君の席に向かい、交渉する。


え、えぇ!?いきなり!?


すると、清水君は頷いて、アルフ君の席に向かった。


そして、アルフ君の頭を突いた。


「おい。とげとげ頭。起きろ。」


え?仲良いんじゃなかったっけ?


「うるせー…眠い」


わぁ…アルフ君の寝ぼけた顔可愛い!!


「昼飯一緒に食わね?俺、女子に誘われてんだよ。」


「何だよ。そーゆーの興味無いから」


あ、なんか今の言葉、突き刺さった。


アルフ君ってこういうの苦手なのかな?


「良いからさー。お前、暇なんだろ?来ねーと、お前の目潰すぞ」


清水君、怖い…。


「あーもう。まぢウルサイ。ドッカイッテクダサーイ」


アルフ君…。


面白いな。なんかこのコンビ。


私は横で少し笑う。


すると、2人はこっちを振り向く。


「え…あ…」


「こいつも?」


アルフ君は、私を指差して、清水君に尋ねる。


「あぁ。セティアとティアラだけど」


「ふーん」


アルフ君は立ち上がって、教室のドアへと向かった。


「おい、アルフ。どこ行くんだよ」


清水君は、アルフの肩を掴む。


「屋上で食べるんだろ?」


…嘘。一緒に食べてくれるんだ…。


アルフ君は、すごく清水君に信頼を寄せてるんだな…。


「ありがとうっアルフ君」


私は、咄嗟に叫ぶ。


「別に」


そういって、アルフ君は、歩き出した。


私も追って歩き出した。





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