何故、ミリオタは息を吐くように嘘を言うのか?と考察した話
「昭和の時代だったかな。『ランボー』という映画が流行ったのだ」
ベトナム帰還兵のランボーはアメリカ社会から冷遇され居場所がなくなり。
警察に理不尽に拘束されたことをきっかけに一人で戦争を起すのだ。
この映画自体は小説を更にエンターテインメントにした物だ。
それは良い。
パート2と作られ続けたが、まあ、荒唐無稽になってきたよ。
この映画の後、日本では元グリーンベレーを名乗り出版する人が出てきた。
結構売れたそうだ。
俺は読んでいないが、そのうち、暴露記事が出てきた。
〇〇氏の経歴についてだ。
当時論争が起きたよ。
ある大学のミリタリー研究会での会話だ。
『〇〇氏の経歴は自衛隊歴一年、フランス外人部隊三年!』
『〇〇氏は脱走兵ではないか?』
とな。
この論争は的を外れている。
「君なら分かるか?」
そう元自で民間軍事会社の方から問いかけられた。
「自衛隊歴一年なら陸士、フランス外人部隊なら伍長になる前ではないですか?軍曹としての指揮官として経験した本ではなさそうですね」
「そうだ。ただの兵士だ。それも素晴らしい経歴の一つに違いないが、日本のミリタリーファンが愛読するほどでもない。まあ、経歴に嘘があったようだ」
今でこそ分かっているが、アメリカのコンバットシリーズを参考にしていると言われている。
アメリカの佐官クラスが退役した後に書いた物だ。
戦前なら、氏の本は『のらくろ上等兵』みたいな立ち位置かもな。
のらくろ上等兵・・・辛辣だな。
「昭和の前期なら、子供でも古参兵になれなかった人と判断出来るだろう。日本人は騙されたのだ」
氏は教えられる物がない。
だから、ナイフ術とか軍隊格闘術なんて物を出版している。
「だがな。これは私の先輩から聞いた話だが・・・氏は本が売れた後、ミャンマーのカレン族自治区に来たそうだ」
☆☆☆
『〇〇です。軍隊格闘術を伝授します』
何か、まあ、ありきたりの格闘術を教えて、その背後には何かしらのコネがあった。お金になるからな。
そして、
『パトロールをする!』
比較的安全な地域をパトロールした。
これが氏の唯一の軍歴らしい。
「上が正直なら下も正直、上が嘘だらけなら、下も嘘だらけになるからかもな」
貴重な話を聞いた。
私も思うところがある。
ミリタリーファンはどうも戦争は一人で戦う事だと染みついていると思う事例が多々ある。
特殊部隊で訓練を受ければ、ランボーのように超人的な強さを身につけて無双出来る。
ネット小説なら良いかもしれないが、現実は違う。あくまでもチームだ。
自衛隊では30歳でも陸士がいると聞くが、
海外では違う。米軍だと人を率いられないと評価された兵は軍曹前で除隊、軍曹でも足きりがある。幹部だって足きりがある。
だいたい2とか中が付く階級で判断されると聞いたことがある。
マネジメント能力が民間会社以上に求められるのだ。
何だかな。
それにネットでは偽自衛官を時々見る。
もう、慣れた。
しかし、今回、現実に偽元自衛官を見たのは初めてだった。
「はい、私は自衛隊の〇〇〇〇群にいました!ナイフ術が得意です」
と言う者が協力会社にいたが・・・
この業界は資格証など確認するが、経歴は履歴書一枚だ。
親方から相談を受けた。
「あいつ、元自衛官だと言うけども、免許がおかしい。普通のATだ。任期制だったからそれしか取れなかったというが・・・俺の所に来る元自はだいたい大型だったぞ?」
「通常だったら、陸上だったら大型、いきなり三トン半トラック、通常の道路だったら積載量7トンのトラックで教習しますね。二任期もいれば取らせてもらえます。逆に自衛隊のオートマ限定の免許課程は聞いたことがありません」
「いきなり大型か?」
「はい、そうです。初めて免許取る者も大型ですね。詳しくないですが法律の特例みたいです」
「試してくれねえか?何かナイフ持ってそうで怖いわ」
「はい・・・」
そいつと昼休みに会った。
「おい、ちょっと来い。この方、自衛隊に詳しいのだってさ」
「はい、親方、マニアですか?」
その人は会った途端に饒舌に話し出した。小柄で体格的には自衛隊にいないこともない。
「金を貯めてアメリカに行くのが夢です!物価が高いから自衛隊での貯金では心許なくて!ガンスクールに行くのが夢です」
「〇〇〇〇群て精鋭部隊じゃない?全員レンジャーでしょう?」
「ええ・・・」
「在籍確認しても?」
「いや、秘密性が高いから答えてくれないと思いますよ」
これは自衛隊では答えてくれる。労働法に基づき前職の確認の問い合わせは答えてくれる。在職期間、その職場での役職、階級、退職理由ぐらいだけど・・・
やり方は駐屯地に電話して、部隊名を言えばつなげてもらえる。
用件を言えば答えてくれるのだが・・・手っ取り早い方法を採ることにした。
「じゃあさ。君、号令で私を動かして見せてよ。ここを一周させて見せて」
「ええ、はい・・・疑っているのですか?」
「信じているから試す」
「これだからマニアは・・・」
するとヤレヤレと言いながら応じてくれた。
周りの作業員も集まった。
「私の事を一番と呼称して」
「はい・・・」
「じゃあ、一番、前へ進め」
「いや、まず。『気をつけ』でしょう・・・」
「気をつけ」
もうだめだ。偽自衛官を見分けるには号令と海自の方から聞いたことがあるが、まるで出来ていなかった。
あげくの果てに・・・
「一番、俺の前にきて気をつけして・・・」
「もう、良いよ。何で嘘を言うかな。社長、後は任せます」
「やっぱり偽物か・・・微妙な嘘だな」
「いや、陸士だったから教えてくれなかった」
「分かるよ。もうしゃべるな」
本来なら、「集まれ」「気をつけ」「右向け右」「前へ進め」
で動かすのだが。これも独自の発音とタイミングがある。これも自衛隊の規則で決まっていた。
結局、そいつは高校を卒業してから4年間、無職だったそうだ。家でネットを見ていた。
撮り鉄が鉄道会社に就職しないように、ミリオタには軍事関係の当事者になる能力と覚悟はなく評論家になりたいみたいだ。
それから、また、話が来た。
今度は中年の方で日本人で・・・
「アメリカのどこかの州軍の元大佐が面接に来たのだが・・・」
と経歴を名乗っていた。
「どうせナイフ術が得意とか言っているのでしょう」
「そうだよ。面接でデモンストレーションしていた・・」
「いや、もう知らん」
と答えるしかなかった。
出会ったミリオタはこんなのばかりだ。
真のミリオタはいないのだろうか?と思う日々だ。
最後までお読み頂き有難うございました。




