ぼくはぼくでいいんだ
§
もりのなかに ちいさなはりねずみが すんでいました。
なまえは ぴっく。
ぴっくは いつも おもっていました。
「ぼくは このままの ぼくで いいんだ。 このままの ぼくを すきになってほしい」
§
あるひ うさぎさんたちが あそんでいました。
ぴっくは ちかづいて いいました。
「いっしょに あそぼう」
でも うさぎさんたちは いいました。
「はりが いたいから いやだよ」
ぴっくは ひとりぼっちに なりました。
§
つぎのひ りすさんたちが きのうえで きのみを あつめていました。
ぴっくは それをみて いいました。
「ぼくも てつだうよ。
したに おりて いっしょに きのみを あつめようよ」
でも りすさんたちは いいました。
「なんで そんなこと しなきゃ いけないの。
わたしたちは きのうえで あつめるよ」
ぴっくは また ひとりぼっちです。
§
よるに なって ぴっくは おかあさんに ききました。
「どうして みんな ぼくと あそんでくれないの?」
おかあさんは やさしく いいました。
「ぴっく、きいて。じぶんを たいせつに するのは すてきなこと。
でもね あいてを おもいやるのも たいせつなの」
「どういうこと?」
ぴっくは ふしぎそうに ききました。
「うさぎさんと あそぶときは はりを ねかせてみたら?
りすさんを てつだうときは したで きのみを ひろったら?
それは じぶんを かえるんじゃないの。
あいてを たいせつに することなのよ」
§
つぎのひから ぴっくは やってみました。
はりを ねかせて うさぎさんと あそびました。
したで きのみを ひろって りすさんを てつだいました。
みんな にこにこして いいました。
「ぴっくと いっしょだと たのしいね」
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ぴっくは わかりました。
じぶんは じぶんのままで いい。
でも あいてを おもいやることで
もっと すてきな じぶんに なれるんだ。
§
それから ぴっくには たくさんの ともだちが できました。
みんな ぴっくの やさしさが だいすきでした。
おしまい
本作の挿絵、表紙は生成Aiイラストです