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宇宙魚・ラムラリル

作者: 春藤 あずさ
掲載日:2024/10/17

 あるアジの稚魚が、餌を探して泳いでいると、突然自分の倍ほどはあるメカジキが現れた。稚魚サイズなのに、形は成魚だった。ちなみに、アジの稚魚は5cmほどだ。

 そこには何もなかったし、泳いできたわけではなさそうな現れ方だった。不思議に思ったアジは、メカジキに話しかけてみた。


「メカジキさん、生まれたばかりにしては形が変だね。それに、こんなところにいるなんて珍しいね。どこからきたの?」

「この姿はメカジキというのか。私はライリアル星のラムラリルの稚魚でね。この星は栄養がいっぱいありそうだから、この星で成長することにしたんだ。私たちは卵から生まれる時に、どこかの栄養豊富な星の海にワープするんだ。私たちの星は、小さな栄養が少なくてね。」

「へぇ、そんな魚もいるんだね。どれぐらいまで大きくなるの?」

「うーん……この星でいうと……あれぐらいだな。」


 メカジキもどきは、通りかかったマグロをヒレで指した。


「すっごく大きくなるんだね!じゃあいっぱい食べなきゃだね。」

「そうなんだよ。多分このあたりは魚が多いんだろう?」

「そうだね、いろんな魚を見るよ。ちっちゃいプランクトンから、大きな魚まで!」

「せめてあれぐらいは大きくならないと、恒星間ワープできないんだ。早く大きくならなければ。」


 そう言って、メカジキもどきは自分の3倍程のアジをヒレで指した。


「僕らの大人だね!1年はかかるんじゃない?」

「いや、この星でいうとおそらく3ヶ月ぐらいだな。」

「成長が早いんだね!」


 その時、海の上から網が投げられた。近くには、シラスの群れがいた。その群れごと、アジの稚魚もメカジキもどきも捕まりそうになる。


「網の間からすり抜けるんだ!急いで!」

「私はすり抜けられなさそうだ。ふんっ……!」


 メカジキもどきはそう言うと、光りだした。すると、アジの稚魚の元にワープしてきた。心なしか小さくなっているように見える。


「この星は危険なのだな……」

「ああいうのはよくあるよ。瞬発力が大事だけど、君にはいらなさそうだね。」

「こんなことで体力を消耗していたら、いつまで経っても恒星間ワープできない。あの攻撃が来ない場所はないのか?」

「魚がいっぱい集まっているところにはよく来るから、あんまりいっぱい集まっていないところで食べ物を探せばいいんじゃないかな?」

「成長が遅くなるが、仕方ないか。助言感謝する。」


 メカジキもどきはプランクトンを食べながら、魚群の少ない方へ泳いでいった。

 稚魚は、黒潮に逆らって泳げる力はないので、メカジキもどきを見送った。


「大丈夫かなぁ……」



 3ヶ月後。

 メカジキもどきは、餌をたくさん食べ、50cmほどの体長になっていた。メカジキとしてはまだ小さいサイズだ。


(母星で生き残るためには、もっとたくさん食べなければ。)


 その時、上の方から、うねうねとした、見たことのない魚のようなものが降りてきた。


(なんだろう。食べてみよう。)


 食いついて食べ始めた瞬間、グイと引っ張られる感触があった。


(なんだ?!罠だったか!)


 メカジキもどきは、左右に急いで泳いでみるが、針は外れない。ワープも集中できずに不発だった。そうやって、どんどん海上まで引っ張り上げられた。釣られたのだ。


「メカジキか?それにしちゃ小さいな。せやけど、今日の夕飯はこいつで決まりやな。」


 釣りをしていたおじさんは、素早くメカジキもどきをシメた。

 その瞬間、ナイフを入れた場所から、幻覚が溶けるように、本来のラムラリルの姿が現れた。

 その姿はタコのようだが、胴が長く、綺麗なマリンブルーだった。


「なんじゃあ、こりゃあ!見たことねぇ。おい、こいつ、釣れた時と姿が変わったんだが、知っとるか?」

「えぇ?見たことねぇなぁ。食えるんか?」

「お前さんが知らんようなもん、食えるわけがなかろう。シメたが、リリースじゃ、こんなもん。」


 ラムラリルはそのまま、船の上から捨てられた。そして、ゆっくりと、ゆっくりと、海の底へ沈んでいった。

 夢で見た話を短編小説にしてみました。

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