エピローグ
短めですが世界司書と巡る三千世界しめのエピローグです。
世界図書を無事回収し終えた護達はそれぞれの日常に戻っていた。
ベルベット、基、シューベルトは結局故郷からの復権の声が抑えられず、マギタジアに帰ってしまった。
しかし王位に復権することは頑なに拒否し、アドバイザーとして後進の指導をしていくことになった。暇を見つけては世界図書館にやってくる彼は「面倒くせぇこと押し付けやがって」と不満をぶちまける。しかしカイムとの対談は楽しみなようで対談が近くなるとウキウキしながら帰っていく。
ココロはデッタルムには帰れないので、メーティスと共に世界図書館で本の管理を手伝っている。管理と言っても、本採集にフラリと異世界へ出かけるメーティスが帰ってくるまでの留守番が主な仕事だ。
本人は「本を読む時間が増える」と黙々とページをめくっている。そして護は図書館司書になるために勉強している。メーティスと出会った地元の図書館で世界図書館と隣り合って仕事をしたいと考えているためだ。少しでも司書に近づくために世界図書館の手伝いも率先して行っている。勿論魔法の学習も続けている。
それぞれの日常を生きる彼らだが、一同に会する機会が二つある。一つは全員に都合が付いた日、一緒に近況を反して労うための慰労会。即ち飲みにケーションである。
もう一つは〝異常事態が発生した時〟だ。
「それぞれ忙しいのに呼び出してしまってすみません」
詫びる世界司書はいつも通り古びたローブを羽織っている。最早何の守護の力も宿っていないが、彼女はずっと大事にしている。
「堅苦しいのはなしにしようぜ。苦楽を共にした仲だろ?」
シューベルトは女性体ベルベットとして赴いていた。故郷の政では猛々しく男としてふるまっている分、仲間の前では肩の力を抜きたいそうだ。
「私はどんな形でも皆と集まることが出来てうれしい」
ココロは本を読んでから感情が豊かになった。素直に感情表現をするようになっていた。
「僕も楽しみにしていましたよ」
そう言う護は以前よりも精悍な顔つきになっていた。魔法や知識を学んで少し大人びたようだ。少々変わった四人だが根本は以前と同じである。四人で異世界に旅立つことは何より楽しそうだった。
「異世界に災害級の悪影響を与える〝災書〟は速やかに回収しなければなりません」
散らばった世界図書の回収は無事に完了した。だが、異世界発祥の危険な本はまだ多く実在している。人の手に渡る前にそれを回収し世界図書館に納本する必要があった。世界司書にとって〝災書〟の回収こそが本来の仕事なのだ。
「僅かな影響やその世界の発展につながる物なら目を瞑るのですが、明らかに悪意を持って製本された本もありますからね。今回の目的の本もですが」
やはり異世界への影響を考慮して早急に回収しなければならない代物らしい。だが目的物よりも先に気になるモノがあった。ベルベットとココロも同じ気持ちのようだ。護が代表してメーティスに問いかける。
「メーティス、今回の目的地はどんな世界なんだい?」
「貴方達が見たことのない真新しい世界ですよ」
彼女は振り返って、とても愉快そうに微笑んだ。
如何でしたでしょうか?
世界司書と巡る三千世界はこれにて閉幕となります。
元々新人賞で応募したりしてた作品で一次選考や二次選考は突破できるのですが
高次選考に行けない作品でした。
敗因は単純で真新しさがないからだと思います。
執筆していた当初は意識していませんでしたが、大切なものを探して違う異世界を巡る
というコンセプトはツ●サ・クロ●クルですし
巡る世界もコテコテの魔法世界とター●ネー●ー世界なので。
(これは単行本一冊の尺に絞るために焦点を絞った感じですが)
もし続きものとして書くなら紛失した世界図書を五冊ではなく何十冊とするか
エピローグで語った災書を集める話にシフトするかになったかと思います。
何れにしろ書籍化には至りませんでしたのできりのいい本話で終わりですね。
自分のフォルダに埋まっていたまま誰の目にも触れないのは悲しいかなとおもい投稿を決意しました。
華金の余暇を楽しませることができたのなら幸いです。
「世界図書」とは全く別のお話も投稿したりしますので
お時間ありましたら目を通していただけますと幸いです。
それでは皆様、良い週末を。




