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護小隊長出動

心強い味方を指揮することになった護くんです。


「そういうわけだ。頼りにしてるぜ、小隊長殿」


「まぁ無理そうならお姉さんが助けてあげるからさ」


ヘレンの言葉からメーティスやベルベットに守られていた頃の記憶が蘇る。そして護は自身の決意を思い出す。


(そうだ。僕はメーティスさん達に合流するまでに強くならないといけないんだ!)


 護はココロとバレル、ヘレンを連れて機体外に飛び出した。

 夥しい敵は地表を埋め尽くすほどに群れている。これら全てがセントラルに向かえば抵抗軍のウィルス作戦は中断せざるを得なくなるだろう。ここで数をどれだけ減らせるかで戦況が変わる。決意を込めた護は仲間に命じる。


「この戦いはココロを中心に展開します! ココロは地上の敵を殲滅! アズマでは小型の敵を撃ち漏らすこともあるので、バレルさんとヘレンさんは船に近づく敵を仕留めるのに注力してください。それから余裕があればココロのサポートを!」


「「「了解!」」」


バレルとヘレンは航空用バイクに乗りながら搭載されたレーザーガンで確実に機械兵を破壊していく。 ココロは体を変形させながら、高出力で地上の敵に炎の雨を降らせる。だが空を飛ぶ敵は仕留めきれないようだ。


「この形態では航空戦闘に適していない。形勢不利。他に手段は……」


『憧れに近づこうと努力するんだよ。目標があるから強くなれるんだ』


 ココロのメモリーに以前見た鳥の映像が再生される。同時に護に教えられた感情の概念をココロの中で反芻する。


「憧れを強さに! イメージバード。自立進化プログラム起動。対航空機戦闘想定。最適化開始」


 航空戦闘を想定していないはずのA-F19型のボディはココロの意思によって進化していく。彼女のイメージ通り鳥のような翼が背中に構成されていく。機械らしさが残ったフォルムの翼が形成された。しかしはじめての飛行はうまくいかないようだった。


「高度維持が不安定。重力制御装置形成」


 新しい機能が付加されて文字通り鳥のように飛翔するココロ。敵の攻撃を優雅に躱して対空ミサイルや銃弾で撃墜する。

 彼女は短期間の間に飛行機能をものにしたのだ。


「すごいじゃないか! ココロ!」


「……胸がむずがゆい」


 珍しく目が泳ぎ、顔を反らすココロの様子に護は苦笑した。


「それが照れるってことだよ」


 ココロの進化に触発された護近づいてくる敵を速射雷撃(グリスヴァロンテ)や炎魔の(アグニア)で破壊していくが、実戦経験も火力も足りなかった。戦場で生きてきたバレルとヘレンや殺戮兵器として作られたココロは次々と敵を撃退する。


(僕はもっと強くならないといけない。今力が必要なんだ! 自分を守る力だけじゃ足りない。誰かを護る力を――けどどうやって……)


 護はこれまでの闘いで自身がおかしな力を発揮したことを思い出した。マギタジアで魔王城に入った時、速射雷撃(グリスヴァロンテ)の発射速度と威力が上がったこと、カイムの縁者の霊魂を御霊遊(みたまあそび)で召喚したことだ。メーティスに教えられて修業した時はそんなに強い効果はなかったはずだ。そしてこのデッタルムでココロに攫われる前に護は速射雷撃(グリスヴァロンテ)から磁力を発生させた。そんな効果もなかったはずだ。


「どうして効果が上がったり、本来ない効果が発生するんだ?」


 もし意識的に強化できるなら十分な戦力になる。護はかつて見せた自分の力を使いこなすためにその原因を模索する。


『――固有魔法……』


 メーティスの言葉が心に響く。


「そうだ! 本来ない効果が発生するならばそれは僕に備わった固有魔法でしかない」


 護はそこで自身の固有魔法の特性に気づいた。ベルベットの固有魔法〝逆理〟は限定条件下で現象を反転させる効果がある。逆理自体が一つの魔法だった。だが護の固有魔法はそれ単体では意味がないものだったのだ。だから今まで気づけなかった。


「僕の固有魔法は、〝使用できる魔法に付属効果をつける〟ことだ。僕自身が強く意識しないと発動しない。今まで仮に使えていたのは、僕自身が魔法の知識が不足して無意識に出来ると思っていたからだ」


「護! 危ない!」


 ココロの声で迫りくる敵を認識した護はその攻撃を躱しながら脳内でシュミレーションする。現状どの魔法に固有魔法をかけるかを選択する。


(以前のように磁力を発生させたら――いや。一緒にいるココロまで動きを封じてしまう)


 消去法で固有魔法を付加させる魔法が決まった。


「僕は無意識に使っていた。なら、意識的に使うことだってできるはず! 今強くならないでいつ強くなるんだ!」


 護は強く意識して魔法を発動した。


「面積を広げて焼き尽くせ――炎魔の(アグニア)!」


 護の腕が炎を纏う。近距離戦専用の魔法である。だがこれに護は意識して強化した。すると、炎の腕の部分が伸びて巨大化する。護が腕を動かすと同時に炎の巨大な手も追随する。周囲のオルターネイター達は灼熱の腕に焼き壊された。想像以上の威力に驚愕する。


「これが……僕の力」


「すげぇじゃねぇか護!」


「今ので結構破壊できたわ!」


 褒めるヘレンたちの背後に迫る敵を認識した護はすぐに固有魔法付きでを発動させる。


速射雷撃(グリスヴァロンテ)――誘導弾!」


「おぉい! それは誤射だって!」


 バレルとヘレンめがけて発射された雷撃は無数に分散して背後のオルターネイターを仕留めた。バレルが感心したように口笛を鳴らす。

 付近の敵を倒したココロが不思議そうに尋ねてきた。


「護、その技以前使用した時に比べて威力が上がった上に操作性能までついていた。護もアップデートしたの?」


「確かにこの固有魔法はアップデートそのものか。でもこれがあれば戦える!」


 地表に未だに残る敵を睨み付ける。そして今も自身に使用している〝浮天(メラス)〟を強化した。


浮天(メラス)‐アップデート・見えざる(インビジブルハンズ)!」


 護は念動力でも使うように周囲の機械達を持ちあげる。


「これはたまげたなぁ」「流石異世界人……」


 上空まで持ちあげたオルターネイター達をそのまま落下させて地上に残る機械兵達にぶつけける。落下速度に機体の重量が付加された衝突によってオルターネイターは押し潰されてしまった。


「ハァハァ……大きな強化は体に負担がかかるのか……。上手くはいかないや……」


倒れかけた護をココロが受け止めた。


「護、体温が不自然に上昇している。一度戻った方がいい。敵は十分仕留めた」


 ちょうど無線から拍手の音が聞こえてきた。


『うむ。実に面白いものを見せてもらった。これで最前線への敵の増援はしばらくないじゃろう。セントラルに着くまでに英気を養っておくように』


「……はい」




護は固有魔法を完全に覚醒させました。

既存の魔法を少ない魔力でアップデートしてしまうという初心者魔術師としては大当たりのものですね。

カスタマイズ性も高いです。


このまま護はメーティス達が先行するセントラルへ向かいます。

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