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ゴールドキラーの中身

ココロの中の爆弾処理に動きます。

「ほう、ここが最新型の設備か。中々愉快じゃのお」


『おかしな行動をすれば容赦しない。内部に潜入した敵を処刑する機構もある』


「大丈夫だよ、ココロ。僕が君の中にいたときに変なものを見つけたから機械に詳しい人に相談してみてもらおうと思ってたんだ」


『護がそう言うなら……』


「それで、護、例のブツはどこかの?」「コレです」


 中枢機関まで案内した護は以前見つけたソレを指さした。ココロの内部機関に偽装されたソレは何度見ても嫌悪感を感じる。


「コイツは鹵獲しようとしたA-F17型の内部で見た起爆装置じゃねーか!」


「間違いないわね」


 バレルとヘレンは直接潜入した訳ではないが、潜入した工作兵が送った映像を見ていた。後で解析したところ、それだ爆弾だという事実を総司令のカーツハイルが突き止めたのだ。


「やはりそうでしたか。取れそうですか?」


「直接GKのメインコンピュータにハッキングしようとすればシナプスネットにその情報が送られて起爆させられる仕掛けになっているようじゃ。だが安心せい。ワシが解除する」


 ツバサは自身の機械化されたからだからコードや電子機器、小道具を取り出して爆弾を解除する作業に入る。手持無沙汰なヘレンが疑問を呟いた。


「何で、外部的に取りつけられているのかしら? 直接GKのプログラムに組み込んで中枢そのものを爆弾にすれば、護にも発見されなかったのに」


「シナプスネットがAIの反乱を恐れたのじゃろう。GK程の自立進化型AIを持つオルターネイターに直接爆弾を組みこめば、その行動に疑問を抱き、叛乱されかねない」


「AIがAIの叛乱を恐れる?」


「疑問に思うことはないじゃろう。AIの恐ろしさはAI自身が一番分かっておるはずじゃ」


 ツバサの指摘で腑に落ちた。ツバサの仮説が正しければ、呪術書なんてなくてもココロは感情を持つことになったのかもしれない。護の言葉から貪欲に学ぼうとする姿勢から考えてそうなっていた可能性が高い。

 シナプスネットは機械の反乱を恐れているのである。

 確信を得た護はこれからのことについて考えだした。

 熟考というには長い期間だ。考えがまとまる頃にはツバサの仕事が終わったようだった。


「よし、爆弾は解除した。コレを本人に見せてやればいいじゃろう」


護は機動音がしなくなった爆弾を受け取って頷いた。目的を達成した護達はココロの中から脱出する。そして人型に戻った彼女の前にそれをかざした。


「室内での話は聞いていたよね。これがシナプスネットが君に仕掛けた爆弾だよ」


「爆弾……これが私の機関の中にあったの? そんな情報は聞いていない」


「ココロ、シナプスネットは君を消耗品としか見ていない。新型を作る試作品だとしか思っていない。だから君を僕らに奪われないように、反逆されないように体内に爆弾を仕掛けたんだ」


 動揺するココロに護は自身の隠し事を打ち明ける決意をした。今打ち明けなかったらフェアじゃないと思ったのだ。


「ココロ、僕は今から重要なことを打ち明ける。それを聞いてどう判断するか君が決めて」


「何を、何の情報を開示しようというの? シナプスネット? 反乱を恐れて? 爆弾? 待って。情報量が多すぎて処理しきれない。少し待って」


「いや待てない。だから言うよ。君のバグ、人間のような感情の発露は僕が落とした呪術書の影響なんだ。今まで黙っててごめん。けど、僕は君に宿った意志を大切にしたかった」


 彼女は「え?」と思考停止した。動揺しているのか同じ体制のままだ。


「マモル、それを教えていいのか?」


「彼女がまだオルターネイターならば危険でしょう。けれど彼女はもう意思を持つ個人です! 僕はココロを信じたい!」


「マ……モル?」


 高速で情報処理しようとして追いつかず発熱して湯気を出す鼓動を繰り返すココロ。

そんな不安定になっている彼女の肩を護は掴んだ。


「君を使い捨てにしているシナプスネットと君のバグの原因を作った僕。どちらを信じるかは君が決めればいい」


「私が……決める?」


「僕を許せないなら殺してくれて構わない」


「ちょっとマモル!?」


 止めようとするヘレンとバレルをツバサがサイボーグアームで引き止めた。彼女は首を横に振って護とココロの行く末を黙って見守れと目で訴えかけていた。

 ココロは護と過ごした僅かな時間を思い出す。電子回路に再生されるのは護と見た鳥、死んだ人間の手帳。それらから学んだ人間の感情の概念。彼女はそれらが無意味だとは思えなかった。それらの概念はこころに深く根付いた。


「私はシナプスネットが正しいか間違っているか分からない。でも、護は信用できる。経験則から確信する」


「ココロ……」


「護は私に沢山の感情を教えてくれた。そして……私の意思を尊重してくれた。私はまだ貴方から学びたいこと、沢山ある。――シナプスネットでは学べないッ!」


「ありがとう! ココロ!」


 護はココロに抱きしめた。ココロは彼の背中にそっと手を添える。



 護達は抵抗軍本隊と合流するためにシナプスネットセントラルに向かった。


「何か複雑ね。あのGKが味方になるなんて……」


 名前を呼ばれて反応したのかココロはヘレンの方を振り返った。「ひぃ!」と短い悲鳴を上げてしまう。


「別に今更じゃろう。オルターネイターは数えきれない程鹵獲している」


「確かにそうだけど、アレは多くの仲間達を……」


 それ以上言わなかったが、護には彼女が何を言おうとしたか理解した。ココロは抵抗軍の恐怖の象徴。既に四つの主要基地を破壊されているのだ。ココロに対して割り切れない気持ちがあるのは当然だった。不穏な空気を感じた艦長ツバサが無線で乗組員に通達する。


『皆の者、そろそろ激戦区に入る。既に同胞たちが戦闘を開始している。出遅れた分だけ戦果で補う所存である! 心せよ!』


 艦内の抵抗軍の士気は上がった。続いて操縦室に残る護達に作戦の説明を始める。


「抵抗軍本部はもう動いている。護君、君の友人達は既に最前線にいるだろう。先遣部隊としてセントラルに侵入し、彼らと合流するんだ」


「え、それって」


「元々君らはアズマ航空基地のメンバーじゃないからの。じゃが、連中と合流するまではこっちの指揮下に入ってもらうぞ」


 護が「はいっ!」と艦長に敬礼すると、ココロもつられて敬礼した。


 護達が加わる作戦は要約すれば露払いである。付近の敵を一掃しながら航空基地アズマを戦線へと導くというモノだ。セントラルまで着いたら護達はツバサの指揮下を外れ、セントラルへ潜入することになる。

 ――突如ドンッと大きな音が聞こえたと同時に衝撃が襲ってきた。


「何事ですか!?」

「機械兵達じゃ。人間狩りのために散開していた機械兵達がシナプスネットセントラルに向かっている。敵の方も最終戦争だと察して味方を招集しておるんじゃろうのぉ。合流される前にできるだけ潰す! 護小隊長! 部下と共に出動するのじゃ」


「小隊長って僕がですか!?」


「戦力のGKをコントロールできるのは君だけじゃろ? それに異世界の技術とやらも興味がある」


「またこの展開ですか……」


 護は既視感を覚えて目頭を揉む。以前本部基地でも似たような流れで出撃させられた。その結果今は横にいるGKに攫われたのだが、今回は下手を打つわけにはいかない。



護はココロに真意を打ち明けて選択をゆだね、

ココロもまた人間につくことを選びました。

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