プロローグ
昔書いた作品です。
このまま埋もれさせるのも惜しいので誰かの目に留まればと思って投稿します。
主人公が特別な本を探して様々な世界に渡るお話です。
一言だけでも感想や高評価などいただけますと嬉しいです。
ではご一読くださいませ。
古本護は図書館巡りが趣味だった。理由はいくつかある。
第一に無料であること。この不景気では財布に響かない趣味は重宝する。
第二に静かであること。落ち着いて休める場所は貴重だ。暇つぶしにはもってこいの本もあるので、忙しい現代人も時間を忘れることができる。
最後に多種多様な本を読めること。図鑑、歴史書、専門書、学術書、語学書、神話、小説、児童書等々、ジャンルに囚われない本が図書館には沢山あるのだ。図書館ごとに置いていない本があったりするのも面白い。時に絶版になった本まで見つけたこともあった。
護は眼鏡の位置を直すと椅子から立ち上がった。
「今日はこのくらいでいいかな」
元々、目的があって図書館に来ている訳ではない。強いて言えば面白い本を探しているだけである。若いがまだ人生の展望が見えない護は夢中になれる何かを欲していた。毎日図書館に通うのもそれを見つけるためかもしれない。
読み終えた本を持って元の位置に戻そうと歩いていると、分厚い本を持った女性に声をかけられた。銀髪のセミロングヘアで端整で日本人離れした容姿に目を奪われる。分厚いローブを纏った彼女は司書か或いは魔法使いともとれる恰好をしていたため一瞬で強く印象に残った。また、彼女の所持していた本は見たこともない文字で書かれていたのも気になった。
「失礼、あなたの持っている本、借りるおつもりですか?」
「え~と……」
珍しく人から声をかけられたこと、声をかけた人物が美人だったこともあって護は一瞬言葉を失くしてしまう。少し間を置いて、ようやく彼女の目宛てが自分の持つ本だと理解した護は本を差し出した。 彼女は予め自分が持っていた分厚い本を鞄にしまうと護から本を受け取った。
「……ありがとう」
「あ、あの……」
あまり人と話したがらない護が、「もっと話したい」と思ったのは久しぶりだった。それだけ不思議な雰囲気を彼女は醸し出していた。もう少し話をしても罰は当たらないだろう、と必死に彼女の後を追いかける。無論話題のきっかけはある。本が好きなのか、他に探している本はあるのか、君が手に持っていた本は何なのか、気になることは沢山あった。
夢中で追いかけるが、本棚の間を曲がったところで見失ってしまった。
「おかしいな。この図書館、地域の中では大きめだけど、目の前の人を見失うくらい大きかったかな?」
そこで初めて自分が立っている図書館がさっきまでいた図書館と違うことに気が付いた。共通点は沢山の本があることだけ。しかし本の表紙にそれぞれ異なる言語がかかれており、どれも見たことがない文字だった。
「どこだ……ここ?」
近くの本棚に手をついて辺りを見渡した時、棚から一冊の本が落ちてきた。
「何だろう? 何語の本かな?」
見たこともない文字で書かれた本は重量感があり、独特の肌触りだった。だが見たこともない文字のはずなのに、護はその本のタイトルを理解することができた。
「《パンドゥラの書》? 僕はなぜこれが読めるんだ?」
護は興味本位で本を開いた。
主人公は護君。
図書館に入り浸る彼は少女を追いかけている内に謎の本を拾いました。
意味不明な文字で記載されているため普通なら読めないはずですが何故か読めてしまいます。
拾った本を読み上げる。ただそれだけのことから大きな物語がはじまります。
ぼちぼち投稿していきます。