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音物語  作者: 惟菜
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魔除けの獅子の歌

沖縄の踊りを交えた曲が元。本当は獅子ではなくシーサーです。

 ――動物の名を叫び合う声がした――

 激しい地上戦は南端の島にまで広がり、私はただ呆然とした。戦争を逃れる為に此所まで走ったのに、その島は正に地獄だった。

 美しい海は血と炎で紅く染まり、建物は皆倒れていた。同胞の死体が至る所に転がり、異邦の弓が容赦無く襲いかかる。

 生き残った人々も次々と自害し、辺りに希望は見られなかった。

 不意に人々の歌声が私の耳に届いた。

 彼等が叫んでいたのは架空の動物の名――魔除けとされる動物の名だった。

 タタタタタタ……

 獅子が何処から現れ、鋭い爪を振りかざす。いや、人々の声に応じる様に突如現れたそれは、栗毛の馬に乗った青年だった。

 獅子の影を纏った青年は盾を翳して矢を躱し、槍を回して敵を払った。

 跳ね踊るような戦闘を私はただ呆然と見ていた。

 「守り神様だー!!」

 島の民達は歓喜し、凄まじい足音とともに青年に続いて闘った。

 やがて、破壊に酔っていた敵達が躓きながら逃げて行く。

 「追えー!!」

 士気の高まった彼等は誰にも止められない。

 敵が去ったあと、人々は英雄を称えあった。


 ―この地に、平和は訪れるだろうか?―


 青年はこちらを振り返ると、柔らかく微笑んだ。

 「君、君はこれから何処へ行くんだ?」

 私は呆然としたまま答えた。

 「戦いの無い場所よ」

 青年が差し出して来た手を私は自然にとっていた。

 「なら、僕と一緒に来ると良い。僕は戦いの無い場所を作る為に旅をしているから君をきっと戦いから守るよ。」

 私の守り手はいつ迄私の側に居てくれるだろうか?

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