14話 ラ、ラブレター?
手紙にはどうな罠があるかわかりません。皆様も気をつけて下さい。
ダードside
ここは冒険者学校の学年主任のダードに割り与えられた一室。
「くそう! くそう! あのエルフめ!」
ダードは、苛立ちを部屋にある家具にぶつける。
数時間前まで綺麗に整えられた部屋は、今はみる影もなかった。
「あの仮面の騎士といい、公衆の面前で二度も恥をかかせおって!」
殺気を隠すことなく振り撒き、憎き2人を陥れる方法を考える。
「役立たず共はまだ仮面の騎士の居場所を突き止めてねえから、ここはエルフを狙うか」
油断しなければ負けることはないと思うが、念のためあのお方に頂いたやつを使うか。
できれば一度あいつに試してからにしたかった⋯⋯だが、この怒りは直接私の手で下さねば気が済まない!
私は懐からあのお方に頂いた物を取り出し確認する。
けれどこれは最終手段だ。まずは奴を誘い出すことから始めるか。
「そういえぱエルフの亜人は仮面の騎士を探していたな⋯⋯」
こうして今、憎悪をもったダードの魔の手がラナに迫ろうとしていた。
ラナside
「ラナちゃん一緒に帰ろ」
授業が終わり、放課後になるとリアナさんが声をかけてくる。
「嫌よ。どうせあの男も着いてくるんでしょ」
「ダメなの⋯⋯」
リアナさんは泣きそう顔をする。
こ、この娘は⋯⋯本当ずるい。でも何故か許せてしまうのよね。
これが人徳ってやつかしら。
「わかったわ! どこへでも行くわよ! だからその顔はやめなさい」
「本当?」
泣いた顔がもう笑った。
「今日はヒイロちゃん達と校門の前で待ち合わせなんだ」
「えっ? 寮に帰らないの?」
「うん。今日は王都の街に遊びに行くの。ラナちゃんも一緒に行ってくれるなんてうれしいよ」
「ちょっと待ちなさい! 私は街になんて行かないわよ」
そしてまた泣きそうな顔をする。
「だってさっきどこへでも行くって⋯⋯」
「そ、それは寮に帰るだけだと思って⋯⋯」
「ラナちゃんは1度言ったことを守ってくれないの?」
くっ! この娘は。実は計算ずくでやっているのではないかと少し疑ってしまう。
「わかったわ! 行くわ! 行けばいいんでしょ!」
「ありがとうラナちゃん」
そう言って最高の笑顔を私に向けてきた。
この笑顔にやられてしまうのよね。
そう考えると別に計算ずくでも何でも良くなった。
リアナに連れられて校舎の外に出ると、1人の男子生徒が待ち構えていた。
あれは確か同じAクラスの⋯⋯。
ひょっとしてリアナに用かしら。今までも何度かこのようなことがあり、中には告白をする人もいた。
まあこの性格でこの容姿、そして勇者の紋章を持つ者となるとモテて当然か。
とりあえず私は席を外すため、この場所から離れる。
「ちょっと待って」
えっ? もしかして私に用があるの?
「これを⋯⋯」
そう言って私に、一通の手紙を差し出してきた。
「確かに渡したからな」
そして男は校門の方へと走り去っていった。
身なりからして貴族っぼかったけど何の手紙かしら? まさか果たし状?
「こ、こ、こ! これは!」
リアナさんが何やら驚いている。
「この手紙が何かわかるの?」
「わかるよ! ラ、ラ、ラ、ラブレターでしょ!」
えっ? リアナは何を言ってるの? この私に? ラブレター?
「⋯⋯⋯⋯ラ、ラ、ラ、ラブレターッッッ!」
お、お、お、落ち着きなさい私! たかが紙を一枚もらっただけじゃない。
けどこの紙にはあの男の気持ちが書いてある。そう考えると無下にはできないわ。
「私、あっちに行ってるね」
リアナさんが校門の方へと走り出そうとしていたので、私は声をかけて止める。
「ま、待ってリアナさん。私を1人にしないで!」
しまった! 思わず情けないことを言ってしまったわ。
「う、うん。わかったよ」
リアナさんは私の側に戻り、手紙の方をチラチラと見ている。
そ、そうよ。まだラブレターと決まったわけではないわ。まずは中を見てみないと。
私は震える手で手紙を開いていく。
こ、これは!
仮面の騎士の件で話があり
この後、第2校庭で待つ
第2校庭? 確かホームルームで教師が、今はあまり使われていないと言ってたわ。
露骨に怪しい手紙だけど⋯⋯でも仮面の騎士様の情報が手に入るなら行くしかないわね。
それに学校内では、さすがに大きなことを仕掛けて来ないと思う。
「ラナちゃん、どうだった?」
「第2校庭に来てほしいらしいわ」
「それってやっぱり告白!」
そんなロマンチックなものじゃないけどね。
「すぐ行くからリアナさんは先に校門まで行ってて」
「わかった。もしラナちゃんが来なかったら察して、私達だけで街に行くから」
要らぬ気遣いをするわね。
けどそうね⋯⋯。
「もし5分経っても戻らない時は、呼びにきてもらってもいいかしら」
念のため、何かあった時にリアナさんが来てくれれば安心できるわ。
「なるほど、私にすぐ彼氏を紹介してくれるってことだね」
違うから!
訂正しようと思ったら、リアナさんはすでに校門へと走り出していた。
「じゃあ私、先に校門に行ってるね~」
「あっ! ちょっと、待ちなさい!」
もう、あの娘ったら早とちりして。
けれど後で訂正すればいいか。
それより今は早く行かないと。
ラナは怪しいと思いながらも、仮面の騎士の情報を手に入れるため、人気のない第2校舎へと向かった。
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