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第5話 正体を明かせないのも辛いね

誤解されるのは悲しいです。

「あんなに強い奴、この学園にいたか」

「誰だっていいよ。あのうざいダードを倒してくれたんだから」

「私もがんばってあの人みたいに強くなりたい」


 教師や受験生から感嘆な声が上がる。


 俺は倒れている受験生とラナさんの元へ向かう。


「あ、あなたはいったい⋯⋯」

「とりあえず傷を治しますね」


 2人に向かって魔法を唱える。


「【完全回復(パーフェクトヒール)】」


 暖かい光がラナさんと受験生を包み込むと、ダードにやられた傷は跡形もなく消え去る。

 しかし受験生は気絶していたため、起き上がらない。

 まあ傷は治したし、直に目が覚めるだろう。


「上級の回復魔法まで使うなんて、あなたは勇者なのかしら? それとも⋯⋯」


 バレたら貴族の教師に暴力を振るった罪で、冒険者学校に入学できなくなるかもしれないので、正体を言うことはできない。


「おい! これは何の騒ぎだ!」


 どうやらダードが敗れたことによる、皆の喜びの歓声を聞きつけ、校舎から数名の教師がこちらに向かってきた。


「やばい」


 捕まってあれこれ聴かれたらめんどくさいことになりそうだ。

 そうなる前に俺は、学校の門へと急ぎ走り出す。


「あっ! 待って!」


 ラナさんが何か言っていたが、止まる訳にもいかないので、俺はそのまま逃げ出した。

 ダードは教師達が何とかしてくれると思うから、俺からは何もしなくていいよな。

 仮にも上級職だからあれくらいで死んだりしないはずだ。



 学校から300メートルくらい離れた所で角を曲がり、俺は自分にかけていた認識阻害魔法を解除する。


「ふう、これで大丈夫だ」

「何が大丈夫なの?」


 エッ!


 後ろを振り向くとそこにはラナさんがいた。

 追いかけてきたのか。

 まずい。まさか正体がバレたか! 逃げることに夢中で、背後の気配にまったく気を配っていなかった。

 いや、少なくとも魔法を解除した所は見られていないはずだ。何か言ってきたとしても知らない振りをしよう。

 俺はドキドキしながらラナさんの行動を待つ。


「あなた⋯⋯高そうなYシャツを着た仮面の人を見なかった?」


 危ない危ない。どうやら俺の正体はバレていないようだ。


「いや、こっちには誰も来ていないぞ」

「そう⋯⋯」


 ラナさんは何か言いたそうな表情をしている。

 まさか本当は俺が仮面の男だということがバレていて、どんな出方をするか様子を伺っているのか。


「あなたは最低ね」

「えっ?」

「同族の仲間がなぶり殺されようとしていたのに、逃げ出すなんて」


 ラナさんから発せられた言葉は予想とは違うものだった。

 嫌な方に誤解されているな。

 けど本当のことを言うわけにもいかない。どうしよう。


「ちょっと用事があったからな」


 とりあえず嘘は言っていないぞ嘘は。


「仲間が殺られていることより大切な用事って何? 私の攻撃をかわしたから少しは見直したけど、やっぱり人間は評価するに値しないわ」


 今の言動からするにラナさんは人族が嫌いみたいだな。

 だけど⋯⋯。


「ラナさんは優しいな」

「は、はあっ? 何でそうなるのよ」

「人族は嫌いだけど見るに見かねて、()()()()()()()()()()()()()

「ば、ばっかじゃないの! 私はただあの威張り腐った試験官を一発殴りたかっただけだし」


 何かこの娘わかりやすいな。恥ずかしいのか助けに言ったことを認めたくないようだ。

 俺はラナさんのことを少し気に入った。


「もういい! さよなら! 今後私には2度と話しかけないでね」


 今回話しかけたのも俺からじゃないのに何か理不尽だ。

 ラナさんに嫌われたくないけど、事情を伝えることはできないからしょうがない。

 長話をするとぼろが出る可能性があるので、俺はこの場から立ち去る。


「じゃあ俺は行くよ」


 しかしラナさんからの反応はない。どうやらもう話しかけるなということみたいだ。

 ここにいてもしょうがないので俺はラナさんと別れ、エールの宿屋へと向かった。


 ラナside


 余計な時間を取られたわ。早くあの人を探してお礼を言いたいわ。

 だけど私の視界には変態男以外目に映らない。

 もうあきらめるしかないかな。

 けれどあの場にいたというこは少なくても学校の関係者だ。

 実力的にいって教師の可能性が高いけど、生徒の可能性も否定はできない。

 入学した時の目標が出来たから、少し学校も楽しみになってきた。


 そういえば何であの変態男は、私が受験生を助けに行ったことを知っていたのかしら。

 どうせ帰る振りをして覗いていたのだろうけど。

 まあどっちでもいいわ。もう話すこともないから。

 ラナは頭の隅に少し疑問を持ちながら、この場から立ち去っていった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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お読みいただき有難うございます!
狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか! スキル創造を使って俺はこの世界を謳歌する~
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