幕間2グレイの苦悩
ちょっと短いです。
グレイside
ザイドからの襲撃を逃れた翌日。
グレイはヒイロ達と別れた後もこっそりと2人をつけていた。
これから冒険者学校に行く2人が気になっていたからだ。
実はルドルフの言い付けで、3日後には自分も王都へ行き、冒険者学校の試験を受けることになっている。
「あ~あ、あいつら俺が尾行していることに気づいてねえのかよ。こんなことも気づかないようだと、この先どうなるかわかんねえぞ。紋章も隠してねえしよ」
「それならお前が着いていけばいいじゃろ」
「ッ!」
突然背後から気配を感じ、グレイは思わず声を上げてしまいそうになる。
「ほぅ、よく今のを堪えたのう」
後ろを振り向くとそこには、昨日極大魔法を放ったルドルフがいた。
「じじい! びっくりさせるな」
「いや、孫が可愛い女の子をストーカーするようになったので注意しただけじゃ」
ルドルフはひょうひょうと答える。
「ちげえよ。そんなんじゃ⋯⋯ねえ⋯⋯よ」
グレイはルドルフの問いに答えるが段々と声が小さくなる。
「3日後じゃなく、今王都へ行ってもいいんじゃぞ」
「別に王都へ行きたくて行くんじゃないからいいんだよ」
「素直じゃないのう」
本音を言うと行きたい気持ちはあるが、いつか足手まといになるのが目に見えているため、踏み出すことができない。
ヒイロは既にじじいに近い所までの強さを身に付けている。ルーナはまだまだだったが、持っているのが僧侶の紋章だから未来は明るい。
それに比べて俺は⋯⋯所詮遊び人だ。
俺だってまともな紋章を持てれば⋯⋯。
「実はさっきまでヒイロの生まれ故郷であるラーカス村へ行ってきたんじゃ」
「なんでそんな所へ――」
「不思議に思わんか? あのような強さを持つ者が噂にもならないなんて」
確かにじじいの言うとおり、ヒイロのあの強さは異常だ。
おそらく、既に魔王ヘルドを倒した勇者パーティーに入れるくらいの実力はあるだろう。
いいな、才能がある奴は。
「ヒイロが持っている紋章は、わしもハッキリとはわからないが、成人の儀の日にトロルを倒したそうじゃ」
やはり、相当いい紋章を貰っているようだな。
「じゃが、そのような強さを見せたのはその時だけで、村人達はホワイトラビットにも苦戦するような弱い奴だったと言っておった」
「嘘だろ! あんな魔法が使えるような奴がホワイトラビットごときに手こずるなんて!」
ありえない。あのヒイロが?
「それからずっと2年間朝から晩まで剣と魔法の修練をしておったようじゃ」
「⋯⋯だからなんだ。じじいは頑張れば強くなれる、そう言いたいのか」
「そうは言わん。やはり紋章の力は偉大じゃ。しかし今のグレイは何もせず、ただ毎日をダラダラと生きておるだけで、正直ダサくて目も当てられん。そんなんじゃ若い女の子にモテんぞ」
「いいんだよ! 俺は遊び人として面白可笑しく生きると決めたんだ!」
そう言ってグレイはこの場を後にする。
「やれやれ、本当はお主の中で答えは出ているのじゃろ」
ルドルフは声に出すが、その言葉はグレイには届いていなかった。
グレイは街の外を行くと苛立ちを隠せず、魔物をひたすら狩る。
「くそっ! くそっ!」
その動きは雑で、憂さ晴らしに戦っているのが誰の目で見てもわかった。
そして1時間ほど立った後、疲れでグレイは地面に大の字で横になる。
「俺だって、俺だって本当は!」
だがその続きはいつまでも言葉にされることはなかった。
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