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第12話 帰還

この話は少し短いです。

 メルビア城のヒイロの部屋にて


「ラ、ラナ⋯⋯ここはどこ⁉️ 一瞬で景色が変わって! まさか幻覚魔法⁉️」


 はは⋯⋯どうやら転移魔法で移動したことが信じられなくて、レナさんが混乱しているようだ。


「大丈夫! 今度こそお姉ちゃんが護ってみせるから! もうセルグ村の時のように離ればなれは嫌よ」


 目の前で美しき姉妹愛が繰り広げられている。


「姉さん大丈夫よ。これはヒイロの転移魔法だから」

「転移⋯⋯魔法⋯⋯」

「そうよ安心して⋯⋯ここはメルビア城の一室よ」

「嘘⁉️ 本当に転移魔法なの⁉️」


 まあ転移魔法を使える人はほとんどいないらしいから、レナさんが驚くのも無理はないか。


「けれど先程の丘を消滅させた魔法を見れば、信じないわけにはいかないわね」


 トントン


 突然部屋がノックされ、俺達の視線はドアへと向く。


「部屋から声が聞こえてきましたけど⋯⋯あっ! やっぱりお兄ちゃんが帰ってきてる!」

「本当ですか⁉️ 私、皆さんを連れてきますね!」


 ティアとルーナがドアを開け、ティアだけ部屋の中へと入ってくる。


「皆様お疲れ様です⋯⋯上手くレナさんを助けることが出来たみたいですね」

「ただいまティアリーズ⋯⋯ヒイロとマーサのおかげで姉さんを無事取り戻すことができたわ」

「いえ、私はほとんど何も⋯⋯アッサラーマに到着するまで足手まといでしたし⋯⋯」


 アッサラーマに着く前?

 マーサちゃんとラナさんの視線が自分の下半身に向けられる。

 あっ! おしっこ漏らしたことか。


「そ、そうね。ゴロツキを倒すより大変だったわ」

「もう二度と経験したくないです」


 せっかくレナさんを助けたのに2人の表情がドンヨリと暗いものになってしまった。


「と、とにかくレナさんを救出する目的が達成されたから良かったじゃないか」

「ヒイロがそれを言う?」

「今度私とラナさんのお願いを何でも1つ聞いてもらいますからね」


 2人は睨み付けように俺を見てくる。

 どうやら余計なことを言ってしまったようだ。事情を知らないレナさんとティアは頭にはてなを浮かべている。

 けど何度も言うが俺は無実だ! ちゃんと2人に言質を取ったし、それにもし後1時間遅くアッサラーマに到着していれば、レナさんはボーゲンに買われていただろう。だがそんなことを言えば益々俺の立場が悪くなるため、俺は黙っている。


「ラナ? この可愛らしい娘は誰?」

「私の友達のティアリーズよ」

「失礼しました⋯⋯ご紹介が遅れてしまい申し訳ありません。私はティアリーズ・フォン・メルビアです」


 ティアはスカートの裾を掴み、優雅に挨拶をする。

 やはりこういう姿を見るとティアがお姫様だと改めて実感するなあ。


「私はラナの姉のレナです⋯⋯⋯⋯えっ⁉️ メルビア⁉️」

「はい⋯⋯私のことはティアリーズとお呼び下さい」

「メ、メルビアってこの国の王女様じゃない!」


 驚いてる驚いてる。まあいきなりドアを開けて入ってきたフレンドリーな娘が姫だとは誰も思わないよな。


「ラナ⋯⋯そんな口の聞き方でいいの⁉️」

「大丈夫よ姉さん⋯⋯ティアリーズは堅苦しいのが嫌いだから」

「そうですね。他に人がいない時は気軽に話してくれると私も嬉しいです」

「気軽にって言われても⋯⋯」


 普通はできないよな。特にレナさんは今日1日で色々なことがあり、精神的にも余裕がないだろうし。


「ラナ⋯⋯あなたのお友達はすごい人ばかりね⋯⋯ヒイロくんやマーサちゃんにも驚いたけどまさかお姫様までいるなんて」

「そうよ、私の友達はすごい人ばかりなんだから。まだまだ紹介したい人がいるから楽しみにしていてね」


 初めて会った時は人間が嫌いと言って、取りつく島もなかったけど、今のラナさんはその頃の面影が全くなく、俺はラナさんに友達と言われ、とても嬉しい気持ちになった。


「ラナはとても良い出会いをしたのね」

「⋯⋯うん」


 そう言葉にしてラナさんはレナさんに向かって、素敵な笑顔で頷いた。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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お読みいただき有難うございます!
狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか! スキル創造を使って俺はこの世界を謳歌する~
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