幕間 2 マーサとデート中編
男には女の子の気持ちがわからない時があります。
ティアリーズside
「ちょっと聞きました今のお兄ちゃん達の言葉⋯⋯デートてやってみたい定番ランキングの1つ⋯⋯待った? 今来たとこをやってましたよ」
「そうですね。私もやってみたいです」
「今日のマーサちゃん凄く可愛いね。何時もより可愛さが数倍増してるよ」
「それにクルッて回って、スカートをフワッと翻すなんて⋯⋯女の子を可愛く見せる術を知っていますねマーサは」
昨日ルーナがヒイロの部屋を訪ねようとした時に、ドア越しからヒイロとマーサがデートする話が聞こえ、そしてそのことをリアナとティアリーズに相談した所、2人を尾行しようということになり現在に至る。
ある者はデートというものがどういうものか知りたくて、ある者は2人がデートすることが羨ましくて、そしてある者はヒイロがデートすることに少し嫉妬して今日という日を臨んでいた。
「あっ! お兄ちゃん達が行きますよ」
「追いかけましょう」
3人はヒイロとマーサから適度な距離をとり、後ろを着いていく。
幸いなのは、今日は休日の為に人通りが多く、ティアリーズ達の姿を覆い隠すには十分だった。
ヒイロside
「まずは中央通りに行こうと思うけどいいかな?」
「はい、大丈夫です」
「今までに行ったことある?」
「1度だけ⋯⋯メルビアに引っ越して来た時にその、女の子必要な物を買いに⋯⋯」
「女の子に必要な物? それって何?」
「えっ⁉️ そ、それは⋯⋯女の子に必要な⋯⋯そう! お化粧品です」
「そっか」
確かに今日のマーサちゃんは薄らとだが化粧をして、いつもより大人の雰囲気を感じさせている。
ティアリーズside
「女の子は男の子に答えにくいことですね」
「ヒイロちゃん減点だよ減点」
「えっ? 今お兄ちゃん何か聞いちゃいけないことを言ったのですか?」
ティアリーズの驚く姿を見て、逆にリアナとルーナが驚く。
「本当はマーサちゃんは化粧品ではなくて、月の物の商品を買いに言ったのです」
「それってひょっとして赤ちゃんを作るための⋯⋯」
「そうですね」
ティアリーズはまだ月経が始まっていないため、先程のマーサの会話の時は理解できていなかった。そしてそんなティアリーズを見てリアナとルーナは、ティアリーズがまだ経験していないことも理解した。
リアナはそんなティアリーズのことをジーっと見ている⋯⋯ある一部分を!
「まだ始まってないのにティアちゃんは何でそんなに胸が大きいのかな、かな」
「そ、そんなことを言われましても⋯⋯」
自分でもどうしてこうなったのかわからないため、ティアリーズはリアナの言葉に困り果ててしまう。
ティアリーズも改めてリアナの胸を傍目から見てみると、明らかに自分の方が大きいことがわかった。
「見せて」
「えっ?」
「さわらせて」
「えっ? えっ?」
そう言ってリアナは、ティアリーズの胸に襲いかかる。
「ちょっ! ちょっとリアナさん! ここは公共の場ですよ! 止めて下さい!」
ティアリーズは逃げようとするが、勇者であるリアナの身体能力は高く、あっという間に追いつかれてしまう。
「ティアちゃん少しだけだから⋯⋯お姉ちゃんにその胸が大きくなる秘密を見せてくれないかな、かな」
「た、助けて⋯⋯」
そしてティアリーズは恐れのあまり尻餅をついてしまい、服を剥ぎ取られると思った瞬間、助けが入る。
「御二人ともヒイロくん達が行ってしまいますよ」
「そ、そうですね! 早くお兄ちゃん達を追わないと!」
ティアリーズはルーナの声に逸早く反応し、助かったと急ぎ立ち上がってこの場を離れる。
「う~ん残念⋯⋯けど今はヒイロちゃん達を尾行する方が大切だもんね」
「そうです! 見失ったら大変ですよ!」
自分の純潔を守るために必死に頷くティアリーズであった。
しかし!
「それじゃあ今日の夜、一緒にお風呂入ろっか」
「えぇぇ! あのその⋯⋯私お風呂は侍女に手伝ってもらいながら入っていますから⋯⋯一緒に入ることはできません」
「それなら私が手伝ってあげるよ。そうすればティアちゃんの胸の秘密もいっぱい見れるからね」
「そ、それならルーナさんの方がよろしいのではないですか! 私より全然大きいですし! 絶対その方がいいですよ!」
ティアリーズは自分が助かるためにルーナを身代わりとしてリアナに差し出す。
「わ、私ですか⁉️」
「そうだね。ルーナちゃんの秘密も知りたいかな」
「そうです! そうしましょう!」
「ティアリーズさんひどいです」
ティアリーズが必死になったかいがあったのか、リアナの目がルーナに向かったかのように思われたが⋯⋯。
「それじゃあ今日は3人で入ろうか」
「「えっ⁉️」」
「そうすれば2人の秘密を一編に知ることができるし、一石二鳥だね」
ニコニコと笑顔のリアナを見て、2人は苦笑いを浮かべる。
今日の夜、お風呂でどんな目に合わせられるのか⋯⋯そんなことを考えていたらいつの間にヒイロとマーサを見失っていた。
「あれ? ヒイロくん達がいません」
「本当だ⋯⋯どこに行っちゃったんだだろう?」
「もう⋯⋯リアナさんが変なこと言うからですよ」
「私のせいなのかな?」
ティアリーズとルーナはその言葉に同時に頷く。
「そんなあ」
リアナの声が響き渡りながら、3人は改めてヒイロ達の尾行を開始するのであった。
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