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第14話 ラナVSエリウッド前編

人の本性を見抜くのは難しいです。

 背後から左手を狙って飛んできた弓を、身体を捻って辛うじてかわす。

 攻撃された方に視線を向けるが、既にそこには誰もいなかった。


 どういうことなの⁉️ さっきから矢が飛んでくる方向はおろか、エリウッドの気配すら感じることができない。


 私は前後左右に視線を向けるが、やはりエリウッドはどこにも見当たらない。


「クックック⋯⋯私の居場所を探しても無駄だぞ」


 エリウッドの声は確かに前方から聞こえるが、それは声だけで、姿を見つけることはできない。


 これってまさかスキル⁉️ けどハンターのスキルに隠密系の物なんてあったかしら。

 けれど考えている間も次々と矢が飛んで来て、私の命を(おびや)かす。


「くっ!」


 8本中7本はかわし、受け止めることができたが、1本の矢が私の左腕を掠め、思わず苦痛の声を出してしまう。

 だけどエリウッドの攻撃はどこから来るのかはわからないけど、致命傷を受けるほどじゃない。


「どこにいるの! 出てきなさい!」


 しかし私の声が辺りに響くだけで、エリウッドからの反応はまるでない。


 それなら⋯⋯、


「貴方みたいな隠れてこそこそする者がセルグ村の護り人? ふふ⋯⋯笑ってしまうわね」

「なんだと!」


 予想通り挑発に乗り、エリウッドから声が返ってくる。


「それじゃあ私や姉さんに振られるのも無理ないわ」

「貴様ぁ! その言葉⋯⋯後悔させてやるぞ!」


 やっぱり声は聞こえるけどエリウッドの位置がわからない。接近しなければ私は攻撃することが出来ないため、作戦を変更し、矢が尽きるのを待つことにする。

 いくらエリウッドでも矢がなければ、攻撃する手段がなくなるはずだ。私にとってはその時勝負!


 なぜエリウッドの姿は見えないのか。それはラナの言うとおりエリウッドのスキル【同化】を使用しているからである。このスキルは森や草木と一体化することができ、相手の目を欺くことができ、しかも文字通り一体化するため、ヒイロの探知魔法でもエリウッドの居場所を特定するのは難しい。


 シュン!


 矢が風を切り、的確に私を狙ってくる。しかも頭や身体の中心部分を外して私の手足を⋯⋯本当に動けなくして犯すつもりだ。

 この外道には絶対に負けるわけにはいかない。


「勝ち気なお前が逃げ回ってばかりだな!」

「あなたこそハンターというのは名ばかりなの? 私を倒すことができないじゃない」


 正直私にはエリウッドほどの余裕はない。致命傷こそ避けているが、矢が襲いかかってくる度に、肌は傷つき、うっすらと赤いものが流れ出ている。しかしエリウッドも格下と見ていた私を、仕留めることができず、苛立ちを覚えているような気がする。このまま避け続ければ、必ず勝機が訪れるはず。


「ラナは見た目は良いが、スタイルは遠くレナには及ばないな」

「な、なんですって!」


 さっきの仕返しなのかエリウッドが私を挑発してきた。


 確かに姉さんはルーナ以上の胸を持っている。それに比べて私は⋯⋯ううん、私も平均値くらいはあるはずよ。だけどこの外道に指摘されると凄い腹が立つ!


「本当はレナの方がいいが、しょうがないからお前で我慢してやるよ」

「くっ!」


 私はエリウッドの言葉に理性を忘れ、飛びかかりたい気持ちを何とか抑えて、その場に踏みとどまる。

 どこから来るかわからないが、攻撃は周囲の森から放たれている。さすがにこれ以上近づくと矢を捌けなくなるから、あいつの挑発に乗ったらダメよ。


「ほう⋯⋯少しは冷静になるってことを覚えたようだな⋯⋯これも私がセルグ村を襲ってやったおかげだ。感謝しろ」

「このぉ!」


 もしこの圧倒的不利な状況でなければ私は激昂し、エリウッドに襲いかかっていたと思う。でも今は冷静さを失う=敗北に直結するため、私は動くことが出来ない。


 覚えてなさいよ⋯⋯矢がなくなったら痛い目に合わせてあげるわ!


 しばらくエリウッドの矢を防いでいると突然攻撃が止み、辺りに静寂が訪れる。

 堂々矢が尽きたのかしら?


「どうしたの? もう攻撃はしてこないの!」


 まさか逃げた⁉️ ううん⋯⋯それはないはず。もし私がこのまま街に戻ればエリウッドの悪行を憲兵に伝え、あいつは指名手配犯になる。だから逃げるなんてことは絶対にしないはず。

 ならやっぱり矢がなくなったの⁉️

 私は周囲の気配を探すと、観念したのか、前方の森からエリウッドが姿を見せる。


「ひょっとして投降? 残念ながらそんなことで私の怒りは収まらないから」


 私の声が聞こえていないのか、エリウッドは反応を示さない。

 もう諦めたの? だけど憲兵に突き出すにしても一発⋯⋯いえ、百発は殴らないと気が済まないわ。


「クックック⋯⋯もう勝った気でいるのか?」


 突如エリウッドは不気味な笑顔を浮かべ、虚ろな目で私を見据えてくる。


 何なの? 敗北して頭がおかしくなった?


 私はエリウッドを観察するともう矢を持っている気配はない。

 やっぱり矢が尽きたのだ。

 さっきの言葉はブラフであいつの攻撃手段はもうないはず。

 今がチャンスよ!

 私は傷ついた身体で、エリウッドに接近しようとしたが、なぜかあいつは矢が無いにも関わらずこちらに弓を構える。


「矢がないのにどうやって攻撃するのよ!」


 しかし私は構わず、エリウッドの顔面を殴るため接近するが、突然左手の甲に激痛を感じた。

ここまで読んで頂き感謝です。

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お読みいただき有難うございます!
狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか! スキル創造を使って俺はこの世界を謳歌する~
新作連載中です!
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