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第1話 強敵再度現る?

強敵が現れます。

「今日は上級職への転職についてお話します」


 今はネネ先生の冒険者についての授業。


「では皆さん、転職はどのようにされるか御存知でしょうか」


 クラスメート達はシーンと静まり下を向く。答えがわからなくてもわかっていても、教師に指されたくないのはどの世界でも一緒だ。


「それでは~サンジくん」

「げっ!」


 サンジは答えがわからないのに指名されてしまい、思わず声が出た。


「え~と⋯⋯その⋯⋯わかりません」


 見当もつかないので、当てずっぽうの回答もせず諦める。


「正解です」

「えっ? まじ?」


 なぜ答えがあっているのかわからず、サンジは混乱している。

 そしてその説明を先生が行う。


「転職については今だにわかっていないことが多いです。例えば上級職になる場合、当初はレベルやステータスの能力が関係していると思われていたのですが、調査を進めていくと、戦士のレベルが20で上級職になる方もいれば、レベル50でも転職できない方が存在していることがわかりました」

「じゃあどうすれば上級職になれるんですか?」


 グレイが手を上げて質問をする。

 相変わらずネネ先生の授業だと真面目に行うな。


「これはあくまで私の考えですが⋯⋯心が関係していると思います」

「心?」

「そう、心です。なぜなら戦士が盗みを働いたり、人を殺したりすると山賊に転職します。これは自分の中での行動が悪いことだと認識しているから、山賊になってしまうと思います」


 確かに先生の言うことは一理あると思う。

 だが例えば戦争で人を沢山殺しても、戦士が山賊になることはない。

 誰か1人くらいは、悪いことをしたと思う人がいそうだが、そのような事例は今までに一件もないため、単純に心の問題だけではないと思う。

 だから俺は、他に何かこう、神秘的な力が働いているような気がする。

 もし俺が転職するなら何になるんだろう?

 誰もわからない紋章だから楽しみでもあり、少し不安もあるが、今は授業中のため、ネネ先生の話に集中した。



 休日の早朝。

 今日はかねてより実行する予定だった、ルーナのレベル上げを行う。

 魔王軍侵略、呪い、冒険者学校への入学、そしてダードの件と色々あったため、こんなに遅くなってしまった。

 ちなみにダードについては、魔物に変貌したためマグナスさんに始末されたことになっている。

 侯爵家より抗議の話が来ると思っていたが、そのような話はこなかったとマグナスさんが仰っていた。

 どうやら家でも奴の行動は目に余るものだったらしく、むしろ秘密裏に討伐してくれて感謝されたらしい。

 家族にも見放されるか⋯⋯寂しいものだな。

 けれどダードの場合は自業自得なので同情など一切しない。


「ヒイロちゃんお待たせ~」

「お待たせしました」

「ふん」


 どうやら今日行くメンツが来たみたいだ。

 リアナ、ルーナ、まだ怒っているラナさん、そして⋯⋯。


「ヒイロさん今日はよろしくお願いします」


 マーサちゃんがいた。


「えっ? マーサちゃんも行くの?」

「はい! ルーナさんとリアナさんにお願いしたら連れていって下さると」


 まあ今日行くところは、そんなに強い魔物はいないから、危険はほとんどないか。

 だが先に言わなきゃ行けないいけないことがあるので、手招きをしてマーサちゃんを近くに呼び寄せる。


「どうしました?」

「ラナさんには俺の実力を隠してるんだ。だから黙っててくれないか」


 強いことが知れると、そこから仮面の騎士までたどり着いてしまう可能性がある。


「大丈夫です。そのお話はお二人からも聞いてます」


 視線をリアナとルーナに向けると、頷いている。


「ならお願いね」

「はい! 任せて下さい。これ以上ライバルを増やしたくありませんから」

「ライバル? なんのこと?」

「い、いえ。何でもありませんよ。ホホホ」


 何だが怪しいな。今までホホホなんて笑ったマーサちゃんは見たことないし。


「マ、マーサちゃん。ほら行こう」


 リアナがマーサちゃんを慌ただしく連れていく。

 なんだったんだ。

 少し引っ掛かったが、大したことではないと思うので俺は気にしないことにした。



「それじゃあ今日はルーナのレベルアップのため、魔物の討伐に行きます」

「皆様お忙しい中すみません」


 ルーナはみんなに頭を下げる。


「気にしないでルーナちゃん」

「私達友達でしょ。協力するわ」


 暖かい言葉を2人は返す。


「これから行く狩場はそんなに強い魔物はいないと思うけど、油断せずに行こう」


 ラナさん以外が頷く。


「マーサちゃん、今日は見学しててね」

「了解です。1度冒険者のお仕事を見てみたかったので、御一緒させて頂きありがとうございます」


 先日見事戦闘職の紋章を貰ったから気になるって所かな。


「もし怖くなったら言ってくれ」

「わかりました。何かあったら私を護ってくださいねヒイロさん」

「わかった。何があっても必ず護って見せるよ」

「⋯⋯は、はい」


 ん? 突然マーサちゃんの顔が赤くなってしまった。


「大丈夫?」

「だ、大丈夫です⋯⋯いきなり女の子が好きな男の子に言ってほしいランキング3位のセリフを言うなんて」


 後半何を言っているのか聞こえなかったが、体調が悪いようなら今日の狩はやめた方がいいかもしれない。


「ヒ、ヒイロちゃん私も護ってくれる?」

「何をいってるんだリアナは。勇者であるお前は、ここにいる魔物に手こずるはずがないだろう」

「そんなあ」


 わけがわからないことをリアナが言ってきた。まさか魔物から混乱の攻撃を受けたのか?


「ヒイロくん。私は護ってくれますよね?」

「今日はルーナのレベル上げで来ているんだ。安心してくれ。命の危険があったら必ず助けるよ」

「はい❤️」


 今のルーナはレベル4だ。大勢の魔物に囲まれたら危ないかもしれないからな。


「う~⋯⋯今だけはこの紋章が恨めしいよ」


 リアナが何か唸っていたが、その時を俺は気づかなかった。



 俺達は王都を出て、草原を進む。


「ねえ」


 歩きながらラナさんが全員に声をかける。


「さっきから気になっていたのだけれど、このパーティーのリーダーってこの変態男なの?」


 変態男は止めてくれ。


「Fクラスだし、実力からいったらリアナがすべきなんじゃない?」


 ラナさんが至極真っ当なことを言い、リアナからの返答を待つ。


「わ、わたし? 私には無理だよ~」


 戦闘状況を見極め、指示をしながら戦うのは、少なくとも今のリアナには厳しいだろう。


「ヒ、ヒイロくんは頭が良いですから指揮するのに向いているんです」


 ラナさんは2人の言葉に、どこか納得していないようだ。


「その紋章も良くわからないものですし⋯⋯」


 確かによくわからないが、すごい紋章なんだぞと言いたいけど、今は我慢する。


「ヒイロさん、ヒイロさん」


 その時、後ろにいたマーサちゃんから声をかけられる。


「前方512メートルの所にスライムさんが2匹います」


 えっ?


 俺達はマーサちゃんの言葉に驚愕する。


「マーサちゃんそんな先の所が見えるの?」

「元々目は良い方でしたけど、近頃はさらに遠くまで見えるようになりました」


 俺は本当にスライムがいるのかどうか、こっそり探知魔法を使ってみると、確かに500メートルくらいの所にスライムが2匹いた。

 こいつは驚いた。いくら平原で遮蔽物がないからといって、これはもう目が良いなんてレベルじゃない。しかも500メートルくらいじゃなくて、512メートルとマーサちゃんは言っていた。そこまで正確にわかるのなら、これは何かのスキルの可能性があるな。


 俺の探知魔法の結果を聞くため、リアナとルーナがこちらに視線を向けて来たので頷いて見せる。


「疑うわけじゃありませんけど、本当にいますの?」

「まあまあ、とりあえず行ってみましょうか」

「そうね。特にターゲットを決めているわけじゃないですし、行きましょう」


 ラナさんも賛同してくれて、俺達は前方500メートル付近まで来るとスライム2匹がぴょんぴょんと跳ねていた。


「お、驚いたわ」

「本当にいました」

「マーサちゃんすごいね」


 3人は直接スライムの姿を見て、驚きを隠せない。


「えへへ」


 当の本人であるマーサちゃんは皆に褒められ照れている。

 そして勿論俺も驚いているが、俺の驚きはみんなとは違う。


 この気配、あのつぶらな瞳。お前達はまさか!

 俺は慌ててラナさんにバレないように鑑定魔法(ライブラ)を使うと、そこには俺の心の友、スライとスラぞうがいた。

親章始まります。

少しでも気に入って頂けたら嬉しいです。

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お読みいただき有難うございます!
狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか! スキル創造を使って俺はこの世界を謳歌する~
新作連載中です!
気に入ってくれた方はブックマーク評価感想をいただけると嬉しいです cont_access.php?citi_cont_id=123384204&s
― 新着の感想 ―
[一言] スライとスラぞう!漫画版(まだない)ではきっとかわいいスライムになることだろう・・・(「転生*者の*世界ライフ ~第二の職*を得て、世界最*になりました~」{←*で隠しています。}みたいなス…
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