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いきなり、ページ数が多くてすいません。でも、どうか読んでください。

 ある男が砂漠を歩いていた。いや、歩いていると言うよりさ迷っていると言ったほうが適当だろう。


 何故なら男の格好は

学ランのズボンに腕捲くりをした長袖のYシャツ、靴は革靴、さらに肩に上着を掛けていてどう見ても砂漠を渡る格好には見えない。


 男は呪文を唱える様に独り言を繰り返す。


 「なぜ、こんな事になったんだ・・・。」


 そんな事を呟いてみたところで応えてくれる人は誰もいない。


 何故ならここは太陽の光りが照り付ける灼熱の砂漠のど真ん中。勿論周りに人がいるはずもない。


 「なぜ・・・。」


 時間は約4時間前に戻る。


 約4時間後に砂漠をさ迷うことになる悲劇の主人公は今、教室の1番後ろの席で怠そうに授業を授けていた。


 彼の名は荒井 行【あらい こう】。


 身長約172センチ、顔はいたって普通でどちらかというと痩せている。


 某名門私立高校に通う16歳。


 成績は(体育を除き)オール5という勉強人間だ。


 彼の人生は受験の歴史と言っても過言ではない。


 高校は勿論、中学校、小学校と遡り【さかのぼり】、驚くことに初の受験を経験したのは幼稚園の時だ。


 当たり前だが、これは本人が望んだ事ではない。


 父親は一大企業の社長で、両親共に教育熱心だ。


 行もいつか父親の跡を継ぐ。


 そんな親の言われたとうりに生きてきた人生に行は、疑問に思ったこともなく、これからもそれでいいと思っていた。


 話しは戻り、4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。


 行は基本的に昼休みは他の生徒が昼食をとっている間、何も食べず、一人図書室で時間をつぶしている。


 そして、いつもと同じ様に本の背表紙を眺めていたときだ。


 (あれ。こんな本あったか?)


 行は見慣れた本の中に見たことのない本を見付けた。


 それは、百科事典の様に厚く、年代物の様に古く、表紙は革で作らていた。


 まず気になった事は表紙には見たことのない文字の様なものが並んでいた。しかも、中身は何も書かれていない。


 (これは、明らかにこの学校の本じゃない。)


 行が何かに興味を持つ事は珍しい。早速持ち帰って調べることにした。


 時間は進んで、その帰り道、行は例の本を眺めながら歩いていた。勿論何も変わってはいない。


 その時、角を曲がろうしたら向こうから突如自転車突っ込んできた。


 「おわっ!!」


 行は転がる様ににギリギリのところで避けた。


 自転車に乗っていた方は何も言わずに行ってしまった。


 その事に行は舌打ちをすると手元に本が無いことに気づいた。


 本は1メートルほど離れた所に落ちていた。


 そして、行が本を拾おうとしたその時、


 「何だ?これ・・・?」


 行は我が目を疑った。本のページが風も吹いていないのに勝手にめくれていくのだ。


 しかも、どのページも

白紙ではなく、表紙に書かれているのと同じ文字で埋め尽くされていた。


 最初はゆっくりだったのが段々速くめくれていく。


 さらに、めくれていくにつれて中身にも変化が起きた。見たことのない文字が並んでいたのが、いつの間にか数字の羅列になっていた。次は、漢字、アルファベット、ひらがな、カタカナ、記号が意味も無く並び、まるで文字化けの様になっていた。


 行がその光景を呆然と眺めていると、文字の数が段々少なくなっていった。


 そして、最後のページがめくれるとそこには、


 『ハザマノセカイヘヨウコソ』


 その文字を見た次の瞬間、眩い【まばゆい】光りに辺りが包まれ、行はあまりの眩しさにまぶたを閉じ、目を開いた時には砂漠のど真ん中だったということだ。


 そして、行が砂漠を歩き続け(基【もとい】、さ迷い続け)て約1時間、ついに限界が訪れようとしていた。


 もとより、行は体力が無く、さらに空腹、脱水症状となっては結果は目に見えている。


 気づいたときには、既に砂の上にうつ伏せで倒れていた。


 行は死を覚悟した。


 だがその時、風の音以外に何かが聞こえた。


 行は幻聴かと思ったが間違いない。嫌というほど聞いた砂を踏む

「ザッザッ」という音が聞こえた。


 (だ・・れ・・・が・・・?)


 だが行にそれを確かめる力は残されていなかった。

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