チュートリアル #03
「あれはゴブリンなのか?」
必死に逃げながら頭の中から湧いてきた種族の名前を口にする。
あんな生物がいるなんてここはオレが生きてきた世界とは違うのか?いやそもそも記憶がはっきりしないわけなんだが。なんだか知らない世界に迷い込んでしまったという気はしている。だって、
「世界の半分をやろう」
という声だけははっきり聞こえた。それだけは間違いのない記憶だ。その半分貰える世界に飛ばされて、世界を半分もらう為に行動するのが使命であり目的でもある。そう感じている。
でもあんな怪物がいるなんてとんでもないとこに来てしまった。
焦りすぎてなかなか足が前に進まない。でも幸いあちらも足は速くないようだ。距離は詰まってない。
どうにか森へ到達し、
「誰か助けてくれ!」
と叫んだところで気付く。森で助けを呼んでどうする。助けを呼ぶなら見晴らしのいい方に逃げるべきだったんじゃないのか?人がいたり町があったりするのはそっちだろう。顔が青ざめる。
ヤバイヤバイ逃げる方向間違えたわぁ。これからどうする?助けを呼ぶんじゃなくて隠れるべきだろう。
それなら森は好都合、木を隠すなら森の中ってね。木じゃないけど。
体が隠れる大きさの木を見つけそっと身を潜ませた。