チュートリアル #02
運が向いてきたと言ったろう?あれはウソだっ!
だって目の前の現実を見てくれよベイビー。少し離れたところに見えた人影は近づいてみたら、な、な、な、なんとっ!
体色が緑だし奇妙な呼吸音が聞こえるし。おまけに切れ味の悪そうな錆びたナタのような武器まで持ってるし。ボロボロの布を纏い息も体臭も臭う。はっきり言って汚い。とってもとっても不潔である。
そんな生物が敵意丸出しの目でこちらを見ているわけさ。というか威嚇しているとも言う。
「フシュルルルゥ。」
あんな武器で斬られたらかえって痛いはずだ。なにより不潔すぎて少しでも傷をつけられでもしたらどんな病気に感染するかも分かったもんじゃない。怖すぎる。
何よりも恐ろしいのは一目見ただけで、相容れない生き物だと感じたことだ。人間とはお互いに天敵。
鳥肌が立ち疑いようのない事実として感覚に訴えてくる。
そしてこちらは何の覚悟も準備もできてないのに対し、あちらは敵意どころか殺意まで剥き出しだよ。
あっちは最初から全開である。こっちはガクブルである。
「ウガーーーッ!」
冷静になれ、体格では勝っている。あいつの背丈は120~130cmくらいか?おそらく140はないだろう。
でもさ、あっちはヤバイ武器持ち。こっちは丸腰の無手。
子供みたいな体格とはいえ武器を持って振り回し、こちらを害す気満々の不潔な生物に追い回される恐怖がお分かりになるだろうか?
「う、うわぁぁ~~~っ!助けてっ!!」
もんどりうって森の方へと駆け出した。