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自走する監獄  作者: 日下鉄男
本文
26/30

レベル憑き 一


「僕はマリアを心の底から愛していた」


 真実のベールを脱いだマリアの後ろで、ヨハンは語る。


「お見合いの時にね、もうわかっていたんだ。彼女が憑き物を持っていたことは。ムル王国はミリアに押し付けたかった。王族の血を引くものにレベル憑きがいたなんて国内に知れたら大問題になる。体よく他国に嫁がせて一族から抹消するつもりで僕に引き合わせた。でも僕はそれでも良かったんだ。彼女に一目惚れしたから」


 ヨハンは燕尾服の懐から分厚い活版印刷の本を取り出した。


 何度も読み込んだ形跡があり、ページの半分以上に付箋が貼られている。


「彼女は収容区のレベル憑きとは違う。ミリアの王妃だ。マリアがレベル憑きだと知れたら国民感情は爆発するだろう。レベル憑きの小娘を養子に取った時の何十倍も民意は噴き上がるだろう」


 《小娘》という当てつけのような物言いに、オリヴィアの胸が締め付けられる。


「この本はね、『レベル憑き・魔物解体新書』というんだ。東方大陸出身の進化生物学者が百年近く前に書いた、世界に一つしかないレベル憑きと魔物の研究書だよ。翻訳版だけどね。父もこれを読んでレベル憑きと魔物への見識を深めた」


 ページの後半部を広げ、ヨハンは、とある行を指差した。


「翻訳文で読みづらいから、要約するとね、ここに書いてあることは『レベル99になると、レベル憑きの身体から刺青が消え《完全な人間》になれる』」


 それはレベル憑きの間では常識とされている事実。


 オリヴィアが目指していた救いの数字。


「愛する妻を僕は完全な人間にしてあげたかった。彼女の美しい身体を民族衣装で隠さずに国民へ見せてあげたかった。とはいえ、魔物を倒すという危険な行為をマリアにさせるわけにはいかない。幸いなことにこの国には、安定して瀕死の魔物を供給できるシステムがあった」


 魔物狩り専門の傭兵団と、彼らが持ち帰る強化素材。


 オリヴィアの中でピースが繋がる。


 どうしてここ最近、ノアの繭が収集した強化素材が、収容区に運ばれる段階で駄目になるのか。


 いや、最近ではない。ヨハンがマリアと婚姻した八年前から、すでにその兆候はあった。


「……横流ししていたのですね。強化素材をこの地下に」


「正解だよ。あの監獄の一層フロア内から瀕死の魔物が詰まった檻を外し、地下に運び、マリアに安全に倒させ、経験値を与え、レベルを上げてもらったんだ。この八年間、ずっとね」


 当のマリアは下唇を噛み、裁判で糾弾される被告人のような面持ちで顔を俯かせた。


「マリアの経験値上げは順調に進んでいたけど、四年前にある問題が発生した。当時ノアの繭の四代目の団長だった少女が魔物との戦闘中に死亡したんだ。彼女は監獄と契約をしていたから、当然、あの巨大な乗り物は動かなくなった。あれの契約に適合する代わりのレベル憑きも中々現れなくてね。一年もの間、傭兵団は活動の休止を余儀なくされた。正直、焦ったよ」


 そこに救世主として現れたのが――


「オリヴィア、君だ」


「……っ!」


「収容区の一住民に過ぎなかった君が、たまたま悪戯心で監獄に忍び込み、冗談みたいにあっさりと契約を交わしてくれた」


 ヨハンの語る所感を交えた過去の思い出話。


 オリヴィアはこれ以上聞きたくなかった。


 だって、父の言いたいことの結論が、薄ぼんやりと見えてしまったから。


「一度結んだ契約は契約者本人が死なない限り解除されない。だから僕はね、どうしても君を団長に仕立て上げる必要があった。けどそれは、強制ではなく、できれば自分から志願してくれるのが望ましかったんだ」


 ――やめて、それ以上は。


「僕が養子にすると言ったら、君は簡単に志願してくれたね。ありがとう」


 死んだ前団長とヨハンは、良い関係を築けていなかった。


 同じ轍は踏まない。マリアのための駒になってくれるならば、名誉人類の地位を与えてやろう。養子にもしてやろう。親子の絆で縛れば、この小娘は必ずや僕の思い通りに――


「お父様」


 それでも、オリヴィアはヨハンを父と言った。


「お父様はわたくしを、愛しておいでですか?」


 父は答えなかった。


 彼はマリアに向き合い、檻の魔物を指差す。


「さあ、マリア。目の前の醜いバケモノを殺そう。こいつの獲得経験値は最低でも1000以上だ。君の次のレベルまでは残り923。この一匹を殺せば君は解放される。忌まわしき刺青の呪いから。綺麗な身体になった君は今度こそ僕の本当の妻になる。第二の結婚式を挙げよう」


 マリアが面を上げた。


「その前に、娘の質問に答えてやってください」


「なんだって?」


「愛娘が、父親に愛しているのかと聞いているのですよ?」


 彼女は毅然と言い放った。


「それを無視する父親がおりまして?」


「わかっているだろうマリア。僕が愛してるのは君だけだ。真の名誉人類と僕が認めるのは君だけだ。君だけは他のレベル憑きとは違う。唯一、まともで、愛するに足るレベル憑きだ」


「なら」


 足早にオリヴィアのところまで行き、マリアは娘の手を握りしめた。


「私が、まともではないレベル憑きと同じような行動をしたら、どうするのです?」


 ヨハンに向けられた濃褐色の双眸に浮かぶは、非難の色。


「マリア、なにを怒っているんだい? そんな目で僕を見ないでおくれ」


「あなたは私に、愛している、と言ってくれた。レベル憑きなんて関係ないと言ってくれた。国内のレベル憑きへの差別や偏見も政策で是正しようと言ってくれた。それを聞いて、嬉しかったわ。救われた気分だった。あなたは世界で一番まともな為政者だと思った」


 脱ぎ捨てた藍色の民族衣装にマリアは目を向ける。


「でもあなたは一日中、私にあれを着ろとも言った。祖国では今は誰も着ていないあの民族衣装を。この刺青だらけの肌を隠させるために。どうして? これも私の肉の一部で私自身なのに」


「政治的な判断だよ」


「あのピエロはなに? ラジオを聞いたわ。なぜ、収容区の虐殺を扇動したの?」


「政治的な判断だよ」


「あなた、ごまかさないで」


 ヨハンの眉尻がぴくりと動き、


「ごまかさないでだと! ごまかさないでと言ったのか今! 女の分際で僕に意見したのか!」


 感情が弾けた。


「ああ、ごめん。怒るつもりはなかったんだよ。はは、でもちょっと失礼だろ。な? 夫にたいする物言いじゃない。妻とはもっと静粛であるべきだ」


 ヨハンは貧乏ゆすりをするように、とんとんとんとん、右足の踵で地面を何度も踏みつけた。


「あのね、僕の父はまごうことなき差別主義者だった。子どもの頃の僕は彼の思想に反発を覚えていたけど、親の言うことはね、大人になってくるとジワジワと効いてくるんだ。父のレベル憑きに対する差別意識が僕の根っこを支配している。でも僕は頑張ったよ。マリア、君に出会ったから。君のためにレベル憑きへの融和政策を始めた。レベル憑きを好きになろうと努力した。しかし駄目だった。君以外は無理だった。そこの小娘も無理だった。なのに国王としての僕はレベル憑きの側に立った発言をしなければならない。本当はレベル憑きが嫌いなのに。そしたら段々と耐えられなくなってきて、ストレスがピークになって――僕はピエロを作ったんだ」


 嘆きと嘲笑が綯い交ぜになった顔で、ヨハンは顎を上向かせる。


「大臣のフールにね、僕の本音を代弁する喜劇者を演じてもらうことにしたんだよ」


 心中の汚い感情を外部に放出し、擬人化させることでヨハンはようやく心身の平穏を得た。


 オリヴィアは理解する。


 砂漠の国の憲兵が語った言葉が全て真実である、と。


『ミリア王国が許しているんですよ。馬車で運んでいる最中のレベル憑きの《販売》を』


『っ! う、嘘ですわ! お父様がそんなこと許すはずがありません!』


『そのお父様が許可したんです』


 どうでもよかったんだ。


 収集馬車で運ばれるレベル憑きが――自分が心底嫌っている存在がどこの誰に横流しされて、慰み者にされようとも、ヨハンの知ったことではなかった。


 強化素材さえ、無事ならそれでいい。


 どうせ収容区のレベル憑きは《空気の循環》で、総入れ替えを行うのだから。


「この自己矛盾ももうすぐ終わりだ。収容区のレベル憑きは死に絶え、君のレベルは99へと上昇し、まことの人間になれる。さあ、マリア、あの魔物を殺しておくれ」


「娘は……オリヴィアはどうなるのです?」


「何も変わらないさ。団長として外国に派遣し、魔物狩りで外貨を稼いでもらう。もし死んだら次の団長を見繕えばいい」


 その言を聞いて、マリアはついに激高する。


「なんて人なの、あなたは!」


「や、やめてくださいまし!」


 マリアの服をオリヴィアが握り、涙目で縋り付いた。


「喧嘩は、いや、いやですわ。お父様とお母様の言い合いを見ると、わ、わたくし、胸がとても痛いんですの」


 目尻に溜まった涙が頬を伝い落ちる。


 そんなオリヴィアを、マリアは抱きすくめた。


「ごめんなさいオリヴィア。怖がらせてしまって。そうよね、親の喧嘩なんて子どもは見たくないわよね。子どもの前で両親が喧嘩するなんて、それは、本当に良くないことのはずなのに」


 オリヴィアを抱くマリアの腕が、雨に打たれて凍えたかのように震えていた。


「これだけは覚えておいて。誰が何を言おうとも、オリヴィア、私はあなたを愛しているわ。あなたを養子にして後悔なんてしていない。血は繋がってなくても、あなたは私の娘よ」


 引き絞るような声でその言葉を出し終えると、マリアはさめざめと泣き始める。


 小さな手のひらが、マリアの背を撫でた。


「お母様、泣かないでください。お母様の本心を聞けただけで、今のわたくしは幸せですわ」


 両肩を掴んで抱擁を解き、オリヴィアは紅玉の瞳で、母の顔を真正面から見据える。


「あの魔物を殺してください、お母様」


 母が誰からも差別されない《人間》になれることをオリヴィアも望んでいた。


 マリアにはずっと罪悪感があった。自分がレベル99になるために、嘘をついてオリヴィアや団員たちに魔物を集めてもらっているという事実が彼女を苦しめていた。本来収容区に回るはずの経験値を自分が独占してもいいのか。地下で魔物を殺す毎に、彼女は自問していた。


 ――それでも、娘が望むなら。娘が望んでくれるなら。私は――


 マリアが立ち上がった。


 銀の靴を鳴らして魔物の前まで行くと、右手を掲げる。


「リントヴルム(和が忠実なる神の愛玩動物)」


 それはレベル94で覚える最上級魔法であった。銀の魔法陣が彼女の足に浮かび上がり、そこからうねりを上げて舞い上がる七つの白竜が現れた。

 

 神話の獣は一斉に檻の中の敵を見た。


 石柱の魔物は赤ん坊の声で鳴き出す。


「食べて、ペットアニマルズ(死を司る愛玩)」


 白竜たちは命令コマンドに反応し、石柱の魔物に群がった。


 腹をすかせた狼のごとく、魔物に食らいつき石柱の肉を、中身のコアを噛み砕く。


 そして、魔物の死を見届けた後。


 エーテルの声は告げる。


【おめでとうございます。レベルが99になりました】


 マリアの身体に刻まれた青い刺青が、水彩絵の具を水で落とすように消えていく。


【これで――あなたは――】


 脳内に響く、その声が、


【完全変態です】


 真実を伝えた。


「え?」


 マリアは目を丸くして自分の身体を見回す。


 消えたはずの刺青が、再び、肉体に浮かび上がっていた。


 その刺青の色は青ではなく、白骨のように真っ白だった。


「どうして……うぐっ!」


【オメデトウ、オメデトウ、オメデトウ、オメデトウ、オメデトウ、オメデトウ、オメデトウ】


 刺青の数が瞬く間に増殖する。エーテルの大合唱がマリアの頭を犯す。


「やめて、お願い、ちがう、ちがう、これ、まちがってる」


 白い刺青が身体から浮き出て、粘着質な《糸》へと変化した。


 糸は彼女への侵食を開始する。


「お母様!」


 愛娘の絶叫をマリアの耳は捉える。


 首まで糸に捕まれたマリアは、オリヴィアへ顔を向け、悲痛な声で、助けて、と乞うた。


 オリヴィアがマリアに駆け寄り手を伸ばすが、遅かった。


 糸が彼女の全身を覆い隠す。


 青紫の突風が巻き起こる。


 突風は、魔力波であった。


 それは、レベル70台のレベル憑きが百人集まって魔法を撃った時に観測される魔力値のざっと百二十倍はある強大な代物で、地上へと舞い上がった波は城の外壁を突き抜け、青紫のオーロラとなって、王都中に広がった。


 ハウンド城の裏門近くに置かれた自走する監獄も、その魔力波をもろに浴びた。


 土偶の頭の石版――本来はオリヴィアが触れねば起動しない操縦桿の文字列が輝き出す。


 東方大陸の古代文字が明滅を繰り返し、やがて、地の底から響くような女性の声を発した。


【吾は……マーレイ。この監獄は……吾の身体……吾は……そう、吾は……完全変態の……】


 魔力の風が止む。


 その後には、繭があった。


 巨大な袋状の繭がマリアを飲み込み、地下の世界に生まれていた。


 まるで羽化を待つ蝶のように。



◇◆◇



 視点は収容区で刃を交える二人のレベル憑きに移る。


「エンチャント・ATK!」


 レッドの身体はボロボロだった。ネオ等にリンチされた傷は癒えるどころか、時間を経る毎に痛みを悪化させていた。


 しかし、レッドはその痛苦を魔力で、偽る。


「エンチャント・INT! MGR! AGL!」


 ジャスティス丸の刀身が緑色に輝き、赤と白と青の闘気がレッドの身体を覆う。


 エンチャント全付呪。彼の刀剣と身体ステータスが一挙に強化される。バフ魔法の副産物によって全身の痛みを麻痺させ、折れた骨は一時的に魔力で補強――


 これで戦える。


 エンチャントが解けるまではグレイと同等に。


 ――あとで、どかんと反動がくるかもしんねえけど、知ったことか。今は、目の前のこいつをぶっ倒せりゃあ、それでいいんだよ!


 鍔迫り合いの末、レッドの刀がグレイの剣を押し返す。 


 体勢を崩しがら空きとなったグレイの脇腹に、レッドは怒りの中段回し蹴りをぶち込んだ。


 蹴り技をもろに食らったグレイは無人のバラック小屋の中まで吹き飛ぶ。組み立てられたトタンや木材が衝突の衝撃で内側に向かって倒壊。グレイを生き埋めにした。


「やったかっ!?」


 やってない。


「――テスラ」


 バラック小屋に埋もれる瞬間、コード・ウォールで身を守ったグレイは崩れた残骸を押し退けて脱出し、テスラを発動。黒色の稲妻がレッドの足元に出現し、吹き上がる。


 咄嗟に後方転回で昇雷を避けるレッド。


 回避途中の無防備なレッドにグレイの幻影剣が振り下ろされる。


 両者は距離を離していた。


 が、剣閃を型どった衝撃波が飛び道具となりレッドに迫った。


「ヴォルテック・バスタアアアア!」


 緑色に輝く刀剣に猛炎の渦を纏わせ、横薙ぎにする。熱風の渦がグレイの衝撃波を相殺。


 地面に着地したレッドが体勢を立て直す前にグレイは一気に間合いを詰め、幻影剣の斬り上げでレッドの首を狙う。ガキィン! 間一髪。筋に剣が食い込む前にレッドは愛刀で防御。グレイの攻撃を受けきった。実体の刀と幻影の剣がぶつかる音が両者の耳を打つ。


「強いな、お前」


 グレイは素直にレッドを賞賛した。


「その力がありながら、なぜ――刃をスノウに向けた!」


 怒り任せの一閃をレッドに浴びせる。


 双方の剣戟は加速していった。


「身内に甘いやつが世界を変えられるかよ!」


「身内も守れないクズが、世界を変えられると思ったか!」


 斬り結ぶ。


 命がけで。


 あまりにも速く、苛烈で、人間離れした両者の戦いを、それまで広小路で殺し合いを続けていたミリア人とレベル憑きが、矛を収め呆気にとられた様子で見入っていた。


 打ち合いの均衡を崩すため、グレイは左手に幻影剣をもう一振り作り出した。


 二刀流の斬撃がレッドを襲う。さすがに不利だと判じたレッドは真後ろに跳躍してグレイの間合いからいったん退避。


 距離をとった後、レッドは上段霞の構えをとる。


「甦れ不死鳥。我はそなたの担い手。御身をそなたに乗せよ。飛翔する正義、ここにあり」


 火炎の輪がレッドの前方に現れる。


 刃に纏った炎が鳥の翼に形作られた。


「飛ばせ――」


 火炎の輪に踏み込んだ一刹那――炎の翼が不死鳥の姿をかたどる。


「フェニックス・バスタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 不死鳥の刀が音速でグレイへと迫り――


「これでおしまいだグレイ! 燃えつきろ! ラクマ村の魔物のようになあああああ!」


 レッド・フォルラーヌ最大最強の必殺技は、あらゆる悪を滅する正義の炎なり。


「無理な相談だ」


 ぼそりと、呟いた。


「ニコは燃えてしまったが、俺は燃えない」


 畢竟――レッドが必殺技を撃つ前に、仕込みは終わっていた。


「なぜならば、ニコはレベル1だったが」


 不死鳥の刀がグレイの目と鼻の先まで接したタイミングで――


「俺は、レベル71だからな」


 重力が、レッドの身体を地面に押し倒した。


「が――あっ――」


「グラビティ・エンジン。Rank1のトラップ魔法だ。展開した魔法陣に敵が侵入すると、重力波が発生して対象を押しつぶす。対象は魔物だけではない。詠唱時に術式を変えれば、レベル憑きや人間、その他の生物も含めることが可能で、な」


 グレイは詠唱を先んじて行っていた。


 耳を近づけねば聞こえないほどの小声で。


 レッドは即座に防壁魔法タルバサを展開。


 だが、重力の波は容赦なく彼の防壁を砕く。


「無駄だ。その中は地表の百五十三倍の重力となっている。防壁魔法ごときでは防げん」


 魔法陣の中、重力に犯され苦悶するレッドをグレイは冷ややかに見下ろした。


「お前の負けだ、レッド。潰れて死ね」

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