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妖姫  作者: kikuna
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話、繋がっているといいけれど……。

移り変わる季節の中で、色あせてしまった二人の恋。

最後の願いは、私が育った街へ行く事。

あなたは、何も知らない。

私の隣で、身構えたあなたが窮屈そうに笑う。

きっと結婚の二文字を、突きつけられるのだろうと思っているからなんだろう。

一緒に居る時は、本当に楽しくて、二人で見つけたアパートでの暮らしは、私を至福で包んでくれていた。

 

どうしてかな?

不意に込み上げてくる涙に、私は顔を歪ませる。

二人こうなってしまったのかな。

考えても思い当たらない。

気が付かないふりで、幸せを装う。

そんな生き方もあると、自分に言い聞かせては見ても、味気ない毎日が、私を苦しめた。

さりげない一言が許せなくて、気付くと口論していた。

それでも繋ぎ止めていたかった。あなたを愛しているから。

もうダメと分かっていても、諦められずにいた。


あなたが黙り込むその瞬間が嫌で、私は無理してはしゃぐ。

この街を選んだのは、そんな自分に踏ん切りをつけるためだった。


家族連れでにぎわう公園の隅、湧き出る水。

昔幼いころ、私は何度もこの場所を訪れた。

湿った空気が漂い、そこだけが違う空間に思えた。

そこに立てらた看板。

相当前からそこにあったのだろう。

インクは擦れ、読み取るのには困難だったが、私はそこに掛かれた悲しい説を知っていた。

幼少の頃、祖母が幾度となく聞かせてくれた物語。

本当か嘘かはわからない。

それでも、幼い私の心には、強烈に焼き付いた。

 

だから、あなたと決別するのはここが良いと思った。


これは私が決めたサヨナラ。

あなたの為なんかじゃない。

私が新しい恋を始めるための準備。

雲一つない空を仰ぎ見て、私は大きく深呼吸をし、あなたをその場所へ導く。

どこまでもさり気なく、精一杯背伸びして、そして切り出そう。

悲しい悲しい恋の物語を。



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