②
話、繋がっているといいけれど……。
移り変わる季節の中で、色あせてしまった二人の恋。
最後の願いは、私が育った街へ行く事。
あなたは、何も知らない。
私の隣で、身構えたあなたが窮屈そうに笑う。
きっと結婚の二文字を、突きつけられるのだろうと思っているからなんだろう。
一緒に居る時は、本当に楽しくて、二人で見つけたアパートでの暮らしは、私を至福で包んでくれていた。
どうしてかな?
不意に込み上げてくる涙に、私は顔を歪ませる。
二人こうなってしまったのかな。
考えても思い当たらない。
気が付かないふりで、幸せを装う。
そんな生き方もあると、自分に言い聞かせては見ても、味気ない毎日が、私を苦しめた。
さりげない一言が許せなくて、気付くと口論していた。
それでも繋ぎ止めていたかった。あなたを愛しているから。
もうダメと分かっていても、諦められずにいた。
あなたが黙り込むその瞬間が嫌で、私は無理してはしゃぐ。
この街を選んだのは、そんな自分に踏ん切りをつけるためだった。
家族連れでにぎわう公園の隅、湧き出る水。
昔幼いころ、私は何度もこの場所を訪れた。
湿った空気が漂い、そこだけが違う空間に思えた。
そこに立てらた看板。
相当前からそこにあったのだろう。
インクは擦れ、読み取るのには困難だったが、私はそこに掛かれた悲しい説を知っていた。
幼少の頃、祖母が幾度となく聞かせてくれた物語。
本当か嘘かはわからない。
それでも、幼い私の心には、強烈に焼き付いた。
だから、あなたと決別するのはここが良いと思った。
これは私が決めたサヨナラ。
あなたの為なんかじゃない。
私が新しい恋を始めるための準備。
雲一つない空を仰ぎ見て、私は大きく深呼吸をし、あなたをその場所へ導く。
どこまでもさり気なく、精一杯背伸びして、そして切り出そう。
悲しい悲しい恋の物語を。