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1:壊れたクーラー
ーーーとあるとある真夏の出来事。
エアコン故障。ありえない!
人口そこそこの町にあるどこにでもあるような小さな本屋で働く私、桐崎薫。
定休日に呼び出され本の搬入作業に駆り出されたものの、きてみれば作業始めてわずか15分でクーラーが止まった。
今日は7月28日。真夏だよ真夏。
店長のお願いは断れないから来てはいるけどさすがにこの気温の中、作業はできない!
私は本を棚にドンっと積み上げると出入り口へ歩いた。
「桐崎さん?どこいくの⁉︎」
「喫茶店で涼んできます!」
ドカドカとでていった私の背中に、なるべく早く帰ってきてね〜と若干泣き声の店長の声がした。
喫茶店でくつろいでやる!と思っていた私は本屋へ来た時かぶってきていた帽子を休憩室に忘れてきた事に今更ながら気づき・・・。
歩く足はさらに加速していった。




