安藤 智也 前編
ども、かつどんでーす。
centerを進めているつもりが読み返したらこれhideの方がよくね?ってなったのでこちらに投稿しました~。
時間軸はエンが一番目から宣戦布告された後日になります。
「おーい、もう六時半よーおきなさーい」
「ふお!」
お母さんに起こされて僕、安藤 智也は目を覚ました。
どうやら今朝はいつもと比べて少しだけ遅れて目覚めたみたいだ。
「ん、今起きる」
僕は時計を見て驚きながらも布団を折る様にして起きた。
台所に行くと、いつもの様にお母さんが朝食の準備をしていてくれた。
「あ、お兄ちゃん今日は遅かったな」
弟の智史、弟は今日もいつも通りに起きていた。遅れて起きた僕は弟よりも遅く起きたことになる。
「まぁ昨日いろいろとあったからな」
「昨日ってお友達の所に行ったこと?本当に驚いたわ、何でどこも怪我してないのにあんなに血を流していたのよ」
「いや、あれは…」
お母さんから問い詰められて昨日あったことを思い出す。
堂主館を出ようとしたらいきなり襲撃されて、その襲撃してきた内の二番目って呼ばれてた人と戦って、ふと須奈の方を見ると大人の女性が裸になっていて…って
「言えるか!」
「言えないことなの?」
「気になる」
お母さんだけでなく弟からも疑いの目を向けられる。
まぁその疑いは間違ってもいない様な…
「まぁまぁ気にしないでもいいことだから」
そう言った後、僕は逃げる様に朝の準備をして家を出て学校へ向かった。
僕が通っている学校は家から電車に乗って30分の所にある。
須奈が通っている東尾乙高校は僕の家から自転車で25分くらいの所にあるのだけど何分僕は学力レベルが足りないから別の高校へ進んだ。
僕の通っている学校は工業科だがほとんど普通科と同じ履修をしている。
そのため授業が難しい所もあればかなり容易な所もある。
「うん、まぁ、今日も何事も無かったね」
学校が終わっての帰り、僕は帰りの電車を待っていた。
何事も無かったと言っているが、昨日あんなことがあったばかりなのに僕は何呑気な事を言っているのだろうと自分にツッコミながら電車が来るのを待つ。
そして電車が着いて僕はそれに乗る。
そして、
「えっ?」
電車の扉が閉まる音に打ち消されながら僕は電車の中に驚愕した。
(あれ~、見た事ある人がいっぱいいる~)
何て濃度の濃い車両に乗ってしまったんだって思う。
(えーと先ずあそこに二人で座っているのってエンさん!?そしてその隣は僕らが先日ターゲットにしていた是碓って人、ってか神様じゃん!何してるのあの二人⁉えっ、敵同士じゃ無かったの?そういやあれで一応一件落着って先輩が言ってたけど本当にそれだけなの⁉)
まだそれだけなら良かった。
(その前に座っているのって須奈のクラスメイトの人じゃん!確か名前は高山 菊音さんだっけ?そして隣には須奈の部下であり高山 菊音さんの護衛役の古平 渉さんじゃん!あの二人今日学校じゃないの⁉俺今学校行ってきたよ⁉それを言うならエンさんと是碓さんもだけど!ってエンさんは学生じゃなくて浪人生だったー!)
だがその二組に先ず目をやったのはその隣にいる者からの現実逃避に過ぎなかった。
(って隣のやつ何⁉何だあれ、虎の着ぐるみ?)
そこには虎の着ぐるみが座っていた。
「お、アンダーじゃん、奇遇だね今学校の帰り?」
「君がアンダーか、いやー初めに俺たちをガムテープで固定した時はいつやったのか全く気付かなかったよ」
いや、あの虎は顔が分からないしー、きっと知らない人だしー、って何かさっきまで座ってた人が話かけて来たしー。
「あのガムテープは中々の強度だったな、あの後教室は大変だったぞ、教室内の誰も机から動けなかったのだからな、まぁその後須奈、お前らが言うナッシングが、これを剥がすにはコツがあってね、って言って全員のを剥がして行ったから良かったが」
「へー、ナッシングはそう言って剥がしたの」
あー、何か話が発展してるけど気にしなーい、気にしなーい。
僕が気にしないで別の車両に移ろうと思い動き出したその時、
「おっと、すみませンヒッ!!」
何かの衝撃を身体に受けた。それは誰がとぶつかったと言うことはすぐに分かった。だから僕は謝ろうとしたのだが、目の前には騎士の鎧が立っており、そのランスを僕の首に向けられていた。
「ウワェエエワェイエー」
変な声を出しながら状況を整理すると、どうやら僕は高山さんとぶつかったらしい。そしてその護衛である古平さんの鎧に狙われてるってことみたいだ。
(いやいやいや!さっきまであんたら座ってたよね!何で立ってんの⁉それよりこの鎧さっきまでどこにあったの⁉)
さあどうする僕。
(エンさん助けて~)
助けを求めるようにエンさんを見る。するとエンさんは分かったのか任せろ的な頷きをして僕の隣に来た。
「あ、でもこれ人じゃないから無理だ」
駄目だった。
(ちょっとー!エンさん、どっちにしろあんた何が出来るよ!ってか戦闘的な事をエンさんに頼むわけないでしょー!ほら、この鎧の所有者はあんたの後輩の部下ですよ!それを分かってー!)
そこで救世の女神の声があった。
「やめなさい古平、ただぶつかっただけよ」
「ですが高山様…」
「この世界では階級なんて阿呆らしいことなのよ」
「そう、ですね」
次の駅に着いた時、騎士の鎧はランスを下げた。
高山は僕の前に来て、
「ごめんなさいね、でも分かって欲しいの、彼女は私の護衛だからこれは彼女の仕事なのよ」
「あ、はい」
分かりますとも、理解出来ますとも、女神様の言うことならなんだって理解出来ますよ。
「そうね、お詫びにキスでどうかしら」
「はいよろこーばない!」
電車の扉が閉まる音で気を戻した。
どうやら僕にはまだ女神様の言葉は理解出来なかった様だ。
「あら、駄目?」
女神様が上目遣いで見てくる。
そんな、そんな目でキスなんてお願いされたら、僕は、僕は…
「ぐばぁ!」
血を吐く!
「きゃあ!」
女神様が僕の吐血物に怯んでいる。よし、この隙に!
僕は隣の車両へ移ろうとした。
隣の車両へ行く扉を開ける。
ガラガラガラ
虎の着ぐるみと鉢合わせした。
(おいーーー!何でだよ!何でこっちにいるんだよ!あんたこそ座ってただろ!しかもこっちの車両にいただろ!あ、まさか二人いるとかか?つまり僕が後ろを向いたら、っていねーし!)
後ろを振り向くと僕が吐いた血を拭いているエンさんと是碓さん、その向こうにさっき虎の着ぐるみを着た人が座っていたはずの座席を見たが、そこには誰もいなかった。
僕は仕方なく元の車両に戻ってきた。
僕が戻ると虎の着ぐるみは元の席に座った。
(くっ、どうする、どうする!この車両は完全に魔の巣窟と化しているのか⁉一度入ったら出られなくなるとは罠か…何か、何か出口になるような物は…あれは!)
僕が車両内をキョロキョロしていると、車両の反対側にとある男女がいるのを見つけた。
(あれは、最終の方の最終ともう一人は須奈の上の方の妹須奈 麗亜じゃん!何してんだ?)
不思議に思いながらもこの状況を唯一打破できる救いかもしれないと思い、僕はこの二人の元へ向かった。
だが、途中まで行った所で、
「あ、これ言われてた200万、これで許してくれよ」
「ええ、確かに受け取ったわ」
とんでもないやり取りを見てしまった。
(えっ、何これ、一体彼らは何を…)
そこで電車が僕の最寄り駅に着いた。
僕はちょうど扉の前にいたため、電車が停止するまでその場から動く必要が無かった。
しかし頭の中は混乱した状態だった。
その状態で僕はさらにとんでもない物を見てしまった。
いや、物と言うより者と言うべきか…
(あれ、須奈?)
電車の扉の外に須奈とその須奈の奥さんである藤原 美夜さんがいた。
須奈は僕に気付いて少し驚いたが、僕の方はかなりの驚きだった。
(おおおい、兄さん来ちゃったよ!どうするこの状況、須奈、あんたの妹なんか俺たちの友達から大金受け取ってんだけど!)
中では妹が、外からはその兄か。
(まさに板挟みの状態か)
違います。
(くっ、こうなったら…)
電車の扉が開く。
すると須奈の方から声をかけてきた。
「安藤じゃん偶然だ…」
「須奈!」
だが僕は須奈の言葉を遮って話した。
「お、何だ?」
「オキソニウムイオンって水酸化物イオンのことだっけ?」
「何言ってんだオキソニウムイオンは水素イオンの…ってあれ?」
「見下してくれてありがとう」
須奈の目の前から僕は消えていた。
「あれ?安藤は?って電車が出るな、早く乗ろう」
「はい、ってえっ?」
須奈と藤原さんが電車に乗ろうとする、しかし二人は動けなかった。
須奈は何故動けないかすぐに分かったため、すぐに足元に貼られたガムテープを剥がした。しかし電車が出る時間は二人を待たなかった。
「えっ、ちょっと待って」
須奈の呼びかけも虚しく電車は発車してしまった。
後編へ続く。
すぐに投稿します。