二度目の再会
彼はどうしていたのだろう?
リンファは目の前に居る青年を見てそう思った。
彼・・・自身の婚約者であるリヒャルト。
再会は呆気無いものだった。彼はただ呆然とそこに立っていたのだ。何故、その場に立っているのかさえ、彼は覚えていなかった。
イオンが言うには、忘れさせられたのだという事だった。
(そんな事も出来るのか・・・)
リンファは愕然とした。他者の記憶を操る・・・そんな事が許される筈が無い。
それだけは確かだ。
彼女達はレナードから旅立った。不気味な人影がリンファを立ち止まらせる事を戸惑わせたのだ。
そして、出発してから暫くは無言で歩いた。
それが終わったのは道の途中で立ち止まっている人を見た時だ。
旅人らしい荷物も無く、ただ立ち止まっている人を何かあったのかと心配したリンファはその人に駆け寄った。たとえ、自身が逃亡中の身であっても。
だが、その人の顔を見た瞬間、声を上げる。
「リヒャルト?!」
その人・・・リンファの婚約者であるリヒャルトは呆然とその場に立ち尽くしていたのだ。そして、彼女の声に気付いたのか、辺りを見渡す。
彼の視線の先は、ある所で止まった。
「・・・・・・ロ、ヴァーナ」
掠れた声は妹の名前を呼んでいた。
そして、今は町と町の間にある小さな宿に居る。宿の一室の光景は異様だった。リンファは長い沈黙に耐える事を選んだ。なぜなら、リヒャルトへ問い掛けをしたのは自分だったから。今まで、どうしていたのかと・・・ロヴァーナと一緒に国を出たのならば、なぜ彼女と一緒に居なかったのかと。
彼はリンファの問い掛けに口を閉ざした。だから、今の光景は異様な物になっている。
四人は円卓を囲んでいた。それほど大きくない円卓だ。リンファと向かい合っているのはロヴァーナだ。何故なら、リヒャルトとイオンを出来るだけ離したかったから。イオンがリヒャルトを警戒していたから。それでも、向かい合ってしまうのだが。
リンファは向かいに座るロヴァーナを見る。彼女の大きな瞳には涙が浮かんでいた。
そして、リヒャルトに目を向ければ、彼の視線は妹に向けられていたのだった。リンファは溜息を吐く。
(分かっていたが、結構辛いな)
大切な婚約者だった。確かに好きだったんだ。
二度目の再会 完




