zero
2030年、一人の女性が仕事を終えて、帰えり道にある信号が青に変わるのを待っていた。
その時、隣にあった工場が爆発し、その爆発に女性も巻き込まれた。
5分後、消防車と救急車が到着し爆発に巻き込まれた人たちを救出した。
しかし、巻き込まれてしまった女性だけが発見されなかった。
周辺をくまなく探したが、どこにもいなかった・・・。
女性は爆発の衝撃で飛ばされ、ビルとビルの間に入って行った。
その後目覚めた女性は、見たことのない場所にいた。
ビルに囲まれていたはずの場所は、何もない野原に変わっていた。
爆発に巻き込まれたはずなのに、女性の体にはかすり傷程度しかなかった。
何もない野原で何が起こっているのか分からず佇んでいると、後ろから声をかけられた。
「君、ここで何をしてるの?」
女性が振り返ると、そこには武士のような格好をした女の子が立っていた。
女性が何も答えずにいると、女の子が再び声をかけた。
「君、名前は?」
そう聞かれ、女性は自分の名前を言おうとしたが、自分の名前が思い出せなかった。
どんなに思い出そうとしてもどうしても思い出せなかった。
その時、ポケットの中に手を入れてみると、一枚のハンカチが入っていた。
そのハンカチの端に、yukiと書いてあった。
なので女性は「ゆき。」と答えた。
その時、遠くの方で大きな音がした。
その音がした後すぐに、女の子が声をかけた。
「ゆき。 どうしてここにいるかは分からないけど、早く家に帰るんだ。」
ゆき「家? どこにあるのか分からない。」
「分からないんだったら、オイラの家においでよ。 ここにいると危ないから。」
ゆき「はい!」
返事をした後、女の子がすぐにゆきの手を取り、走って女の子の家まで行った。
「ここがオイラの家だよ。 この家にいれば危なくないからね!」
ゆき「ありがとう。」
「じゃあ、オイラは行く所があるから。」
ゆき「待って! あなたの名前は?」
「えっ? あ、まだ言ってなかった? りさだよ(笑) じゃあね!」
りさと名乗った女の子は再び来た道を走って行った。
ゆきはどうしたらいいのか分からず、その場に立っていた。
その時、家の中から声が聞こえた。
「あの~。 そんな所に立っていないで、中へどうぞ?」
ゆき「いや、でも。」
「遠慮してないで、どうぞ中へ。」
ゆき「じゃあ、失礼します。」
ゆきは言われるがまま家に入って行った。