拾得物
あらすじからミスってた。すんません。
《策略と悲哀の森》というのがこの森の名前だ。里のみんなはただ森とだけ呼ぶ。(俺は知恵の神に教えてもらった)なんでも名前の由来は頭のいい魔物が森の特性を生かして獲物を仕留めることからだそうだ。
ちなみに今日の遊びは隠れ鬼ごっこ。ぶっちゃけ参加してるのが全員鬼なので紛らわしいのだが、一応俺が追う側である。
「………十九、二十。いくぞ二人とも~~」
いいぜ~、おーけーと二人から返事が来たので探す。森といっても全く小さくないので、ルールを決めてある。
鬼が見える位置に隠れる。触れられたら次に追う側になる。前もって何か仕掛けるのはなし。あとは何でもあり。罠を作るのもありだし、森の魔物を呼び込んで足止めするのもあり。まぁこんなことするのは俺ぐらいだが。
「テノンみっけぇ!」
「やっべ見つかっ」ごっ←つまずく音 ずしゃーーー←地面を滑る音
「へ…………?」
「ロキアっ!てめぇまたやりやがったなっ!」
「俺まだなんにもしてないよッ!?」
喧嘩すんなってーとのんきな声がと樹上からすたっと降りながら言ってくるアスク。
「嘘吐くなっ!またこっそりと罠しかけてたんだろっ!ルール違反だぞっ!」
「いや、俺はお前ら追いながら仕掛けるって。ちゃんと足場確認してから木の後ろに隠れたのか?」
ぐっと言葉に詰まるテノン。結局仕掛けるんだねーとクスクスと苦笑しながら言うアスク。
「つーかお前何に何につまずいたんだよ?」
そういえばとみんなで振り向くと布の塊が。
「なんだこれ?」
びろーんとそれを持つテノン。するとその布の塊からは長い耳が………耳が!?
「ちょっテノンそれ森人族!森人族!」
「うぇっ!?」
べちゃっ
「「あ」」
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とりあえずテノンが肩に担いで里まで持ち帰ってきた。
「パオルさーん」
手を振りながら里の入り口の門番パオルさんのもとに歩いていく。
「まーたおめぇらは勝手に里から抜け出してからに。いくらおめぇらが強ぇってもまだ12歳だべや?まぁ鬼族の性格があるからしかたねぇ部分があんにしても絶ってぇ暗くならないうちに帰ってこいや。みんな心配すっがらな?」
「「「はーい」」」
一応の返事は返しておく俺たち。
「ほんで?おめぇら今度はなぁに拾ってきただか?またウリボーの子供か?まぁたみんなに食われるのがオチだべよ」
一応育てて食べようと思ってたのに我慢しきれなかったみんながだれがウリボーを殺すかで血で血を洗う争いになった。結局全員うちの父親含む殺戮衝動を抑えられる3人にぼこぼこにされたが。その後に仲良く我が家でウボォー(仮)は猪鍋になった。
「これ」
デロンっとテノンが肩に担いだ森人族をだす。
「あーん?これまた森人族だねが?」
「ねー、里に連れ帰ってもいいでしょ?ちゃんと世話するからさ」
「元の位置に捨ててきんしゃい、またあの騒ぎ止めるのはきちーでよ」
このパオルさん、只者ではなく、殺戮衝動を抑えられる御仁である。ちなみに殺戮衝動を抑えられるのは一流の戦士である証拠である。だが、鬼族最後の良心とも呼ばれるほど鬼族らしからぬ優しさ(親父は思い遣りはあるが容赦がない)を持つので上目遣いでお願いする。
「あーわがったわがった。まんず外の見張り小屋で寝かしとくから、明日見に来いや」
こうして俺たちは森人族を飼える?ことになったのだった。