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銀世界

作者: ゆずりは

赴くままに……。

冗談でしょう?


そう言って笑った私の笑顔は、

きっと醜く歪んでいたはずだ。







踏みしめると、擦れるように、沈み込むように、足元の雪は唸る。

その音が聞きたくて。

私はくるくるその場をまわった。







いつから私は笑っていたのか。

いつから私の心は警鐘をならしていたのか。

窓辺に座り込んで眺めた世界は、ただただ一面に白かった。

そのことだけを、覚えている。

……そんなことしか、覚えていない。







たくさんの足跡をつけて。

綺麗な世界に無造作な私の痕跡が残る。

唸り続けてそれでもなお、雪は私の靴を受け止める。







醜い笑い顔なんて見たくない。

醜くてもいい、ちゃんと、ちゃんと……。

思い描くのは都合のいい虚構ばかり。

私はきっと笑いながら誤魔化して、何も見ていなかったのだろう。

残ったのものは、銀世界。







美しい、雪。

私は靴を投げ捨てて、足を埋める。

冷たい、雪。

溢れる涙はきっと、冷たさのせい。







やり直すなんて絶対に嫌だ。

また同じことを、それと知らずに繰り返すだけだから。

唸り続ける雪を踏んだその足跡が、今も残って消えないように。







一面に広がる銀世界。

溶けて消えて一つになって、やがて春が来るらしい。

いつまでも、いつまでも。

過ちが目に見えるこの場所に。

とどまることは出来ないらしい。





埋めた足を引き抜いて、もう一度踏みしめたその雪は、静かに沈んで唸らなかった。

冷たくて、足は痛くて、それでも素足を雪は静かに受け止める。




銀世界。

いつか溶けて消えるころには、きっと……。

読んでくださってありがとうございます。

自分なりにテーマを持って書いたつもりでしたが、なかなか……。



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