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仮想世界の管理者、別世界の人々と巡り合う。  作者: Qoo


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2.起床と出会い

 エルドマグナ王国南西部。幻惑の森。

 その中心部には巨大な城が存在していた。

 噂の中には、幻惑の森には謎の古代遺跡があり、魔法協会はそれを隠すために幻惑の森を禁域に指定しているというものもある。そしてそれは間違いでもなかった。


 そんな巨大な城の中、長らく続く廊下の道中にその者たちはいた。

 先頭に二人、後列に三人、計五人で歩くその者たちは、外見こそ不一致であるが志を同じくする同盟を組んでいる冒険者たちであった。


 薄暗い廊下の中を魔法で作られた光の玉を頼りに歩みを進めながら、先頭の二人が会話をしている。



 「まさか本当に幻惑の森に建造物があるなんてね…… 来てみて正解だったよ」


 「安住の地としては些か物騒だが、制圧してしまえば我らの城だ」



 一人目は、鮮やかな青髪に青い瞳が特徴的な20代程のさわやか系イケメン『シアン』だ。軽装の鎧姿であり腰には片手剣が添えられている。付近に浮遊する魔法の明かりはこのシアンによるものである。

 そして二人目は、豪華な刺繍が施されたローブを纏っている身長2メートル以上の巨大なスケルトン『ボイドボーン』である。豪華な装飾こそ身に着けているものの、その姿は豪華とは程遠いボロボロの骨で構成されている。


 続いて、二列目を歩く三人組も会話をしていた。



 「確か魔法協会とかいう現地人の組織が禁域としてこの森を指定してるとかいってたが…… 現地人と戦争になったりしねぇよな?」


 「問題はナイ。魔法協会の監視ハ、駅の終着点であるテイルライトで、途切れていることハ、確認、済ミ」


 「ひぇぇ…… 戦争になんかなったらまた僕たちの生活が貧相にぃ……」



 一人目は、白髪交じりのぼさぼさの黒髪に無精ひげを生やしている40代程の男性『ウェルドン』だ。作業着にも見える服装にはたくさんの工具をぶら下げており、少し汚らしくも見える。

 二人目は、直方体の身体に細い手足、足元は一輪車という独特なフォルムを持つロボット『テトラボルト』である。機械仕掛けの身体をしており、その直方体の身体の中にはあらゆる便利な道具を収納している。

 三人目は、ボール状の核を薄いシーツで覆っている体を持つゴースト『ザ・ベール』だ。ゴーストらしくその体は透明にすることも可能であり、自身のシーツのような体は雑巾替わりにもできる。


 シアンは慎重かつ警戒し、ボイドボーンは大胆かつ傲慢に、ウェルドンは大人らしくかつ不安げに、テトラボルトは論理的かつ確定的に、ザ・ベールは臆病かつ自信なさげに、それぞれ言葉を発する。

 皆性格はバラバラであるが、他の多くの冒険者たちに狙われながらもここまで生き抜いてこられたのは、この性格の多様性も一因としてある。

 皆がそれぞれ別々の観点から物事を見れるが故の強味が存在していたのだ。



 「ここまでの道中はギルメンたちが何とか食い止めてくれているし、早いとこ最奥まで進みたいところだね」


 「今はまだ死者は出ていないようだが、ここは大量にモンスターが出てくる。時間をかけている暇はない。早く最奥を確認してメンバーたちの加勢に向かおう」



 進む足取りを急ぎながら、シアンとボイドボーンが深刻そうに話している。

 この五人はそれぞれが異なる組織ギルド束ねるリーダーであり、この世界では現地人をはるかに超越する異能の持ち主たちである。


 自分のことを冒険者と名乗るものは数多くいるが、その外見や種族にとらわれず皆に共通する点がある。それは冒険者はみな『Locus:BlessedGems』というゲームにおける自身のキャラクターの姿をしているということである。

 つまり、彼らはかつて遊んでいたゲーム『Locus:BlessedGems』の姿そのままに、この世界へ降り立っていたのだ。


 冒険者たちは、ゲームとして遊んでいたころのUIやシステムは殆ど失われているものの、ゲーム時代のアイテムを持ち歩いているインベントリや、メンバーに対して恩恵や一括メッセージを送ることができるギルドなど、一部のシステムはこの世界においても有効なのである。





 ――――しばらく歩いていると、小さくとも重厚に見える扉が見えてきた。その扉には幻想的な自然と二匹の竜が彫刻として彫られており、いかにも重要な場所へ続く扉といった具合だ。

 五人は皆で顔を見合わせ、ここが最奥なのだろうと予想を立てる。


 ギィィィィという大きな扉の鳴き声と共に奥の部屋へと続く道が開かれる。

 その部屋は、サッカーコートがすっぽり収まるほどの巨大な面積に、高さは五十メートルはあろうかという超巨大な空間になっていた。

 中央には巨大な竜の石像が佇んでおり、その石像の左右から延びる階段では吹き抜けで二階へとつながる通路となっている。

 部屋の上部空間にはこれといった装飾こそないものの、四方に窓が設置されており、そこから眩く降り注ぐ太陽の光は竜の彫刻と合わさって神々しくも見える。

 また、一階の左右の壁には左に四つ右に四つで計八つの扉があり、この巨大な部屋からさらに枝分かれして部屋が存在していることを意味していた。



 「なんだこりゃ……」


 「まるで神殿だね…… だけどあまりにも広すぎる……」


 「おい、あれ! 中央になんかあるぞ!」



 ウェルドンとシアンが驚きつつ感嘆していると、ウェルドンが部屋の中央に何かがあることに気が付いた。

 近寄ってみてみると、それは石造りの強固そうな棺桶であった。

 棺桶には、先ほど扉で見たものと同じような幻想的な自然と二匹の竜の彫刻が描かれている。



 「棺桶……だよな? ろくなもんが入ってなさそうだぜ?」


 「そうだね…… 開けてみよう」



 身を引きつつ警戒しているウェルドン。それに対しシアンは棺桶に興味深々と言った具合で、すぐにでも開けようとする雰囲気だ。

 しかしそんなシアンをボイドボーンが静止する。



 「待て。念のためシアン以外は離れて警戒態勢を敷け」



 傲慢な態度のボイドボーンだが、リスク管理はしっかりとしているようで、シアン以外の全員は棺桶から少し離れて戦闘態勢となった。


 そしてシアンが棺桶をゆっくりとずらし開ける。




 ――――中には一人の少女が眠っていた。


 黒髪セミロングの艶やかな髪に目元のかわいらしい泣き黒子。おそらく十八歳ほどだろうと予測できる姿をしており、身長は百五十センチほどの小さくて華奢な少女だ。

 加えてその体には綺麗な純白のシーツがかけられており、どうやらその下は裸のようだった。



 (これは…現地人なのか…?)



 シアンは驚いた。

 いかにも数百年以上は放置されていそうな巨大な城の最奥には、まるで今眠りについたばかりかのような美しい姿のままの少女が眠っていたからだ。

 加えてその外見的特徴は現地人なのか元プレイヤーなのかの判別が難しい雰囲気を醸し出している。

 後ろで待機している四人はまだその姿を目視できておらず、依然として警戒態勢のままである。

 シアンはその幻想的にも見えるその少女にゆっくりと手を伸ばし、起こそうとして肩に手を掛けようとする。

 しかし、もう少しで手が届くだろうという時に少女が目を覚まし、シアンと目が合う。


 瞬間。


 シアンはトラックに衝突されたかのような激しい衝撃と共に、数十メートルを吹き飛ばされて部屋の壁に激突し倒れこむ。

 彼女が手を振ったわけでも、魔法を唱えたわけでもない。ただ彼女が目を開けた瞬間、世界がシアンの存在を弾き出したかのように、彼は背後の壁まで弾け飛んだ



 「全員警戒! 姿を確認出来たら攻撃を開始せよ!」



 すぐさまボイドボーンが全員に指示を出す。

 四人の周りにボイドボーンとザ・ベールが作り出すいくつもの魔法陣が展開され、色とりどりな属性の玉が生成されている。

 そこから数秒したのち、全員が棺桶の中身を目視する。そして同時に疑問と驚きを覚える。

 その衝撃はシアンが最初に覚えた衝撃と同じものであったが、ボイドボーンの対応は早かった。



 「攻撃開始!」



 棺桶から出たばかりの少女に対して幾重もの魔法が射出された。

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