Ep8コントローラー
マインドコントロールって意味、少し分かった気がします。
業務パワーバランス、上下関係って何でしょうね?
以前にアプリケーション用、配信ソフトの話が出たと思うんだけど、市場には月額389円とか。それでは100人のプレイヤーが居たところで月3万8,900円になるんでしょ?そしたらさ、我が社はビジュアルを改善した方がいいの?それとも面白そうなUSBを開発した方がいいの?どっちにしたって沖見電子は画像とかフレームとかプログラミングする方だから、あとは開発部に任せるんだけど、収支合ってます?
「わたしは新たなデバイスの端子を作ろうと思う」
そう言わせたのはLMx2建築工房の開発担当、谷村 厚係長だ。何で我が社へ依頼したかというと、ゲームに使われている端子が大型ダンプカーや水槽ドリルなんかの機械を操縦するモニターにも応用できると言い始めたからなんだ。
「それって入力用モニターにするんでしょ?」
「ええ、私の工房では端子一つに付きガイドランプをモニターに導入するように、考えていたんです。テストではより鮮明な誘導装置があれば直接タップするだけで、機械をサポートする事が分かったんですね、」
確かに、さいきん作っていたヒット商品「叩くと壊れるゲーム」を開発したところ、我が社のチップの誘導端子によれば、丸い爆弾を叩けば壁が壊れるけど、壁にわざわざカーソルが間に合わないんだとテスト段階で分かったから、タップの強さでそのままキャラクターを壁に誘導することができる。でもそんな端子が世に知れ渡ると戦争に使われるんじゃないのかなーーっておっきく溜め息付きます・・・、
「ハマりました。4年前なんか、ホーミングミサイルで壁を壊すゲームがあったんですけど、それを工房の機械に取り入れたら、モニターのカーソルが逆方向へいっちゃったんで、もちろん売れませんでした。経済的にアウトラインなんですか?」
「商談的にアリなんでしょうに。自身持つしかありません、検討しておきましょう」
2日後、谷村さんから電話があった。予算的に435万円になり、事業にどうも影響しそうだから商談が厳しいんだとか。それよりもV●bプログラマー総合メーカーの方が遥かに探知しやすいチップを開発したんだそうで、我が社の端子よりは速度が遅いけどタッチ感は確実でよかったんだそうです。それってデバイスじゃなくて、パネルに操作用の端子を組み込んだわけだよね?
「社長、商談は不成立だったんだそうですね?」
「うん。コントローラーのデバイスにある端子ってこの沖見だけじゃないんだって、実感させられたよ。それよりも開発事業部はどうなの、美墨君。紅茶、どうぞ」
「“噛み付く装置”でしょ?アレって両手同士を叩かせるゲームセンター用のデバイスじゃないですか。1歳から3歳児まで反響あったって報告が・・・紅茶、頂きますね」
わたしが発表したデバイス用の端子って実は「五体体操」っていうゲーム用に発案したものなんだけど、そのコントローラーってゴム製のもので、握る度に基盤周辺にあるスプリングが端子に反応し、画面の対象物に波紋が出るようにしてスコアが加算されるというもの。5つのポイントに素早くタッチできればいいけど、太鼓の要領を取入れたんだ。若い内から握力つけるって本当は汗掻かないんだよね。結局アミューズメント用になったんだけどさ。
「小さなお子さんには善かったと親御さんから反響得ていましたね。あれって一応、握力の無くなった患者さんへのアプローチを考えての商品だったとか?」
「ドクターがどの位で、握力を改善できるかデーターが欲しいって事だった」
「実用させます?何もエロゲーなんかに使わせなくてもいいんじゃないです?」
「神谷さんわたしは一体、何を作ってるんだろう?美少女って何でしょうね、」
あんなの、ゲームにしちゃったら販売価格13万円になっちゃう。購入層だって100人位しか居ないそうなんで、その本体価格も45万円で合計58万円、税込み価格とするとあまり需要は良くない。それでわたしは、URアダルト業界と手を組むことを止めたんだ。なんで「一生の友」がよりによって人形なんだろう。
「初めは盲目の患者専用に開発を勧めていましたし、業者負担なら役場で補助金申請するしかなくて、ほんとうに頼りにしていたんですよぉ」
「隣の凛ちゃん一人で介護してるんだってさ。学校も行けないって言ってたケアラーなんだ。同じ世代の触れ合いがないからメーカー製造に期待してたんだって言ってた」
「ベビー人形だよね?ほしいよ。だって誰も喋ってくれないんだもん」
「孤立世帯が増えてるし、在宅介護にも役立つんですね。業者取引の関係上で製造中止だなんて、開発メーカーと取引業者間で不和があったとかで・・・」
業者の説明だと、“全ての世代に一体の美少女”って書面に説明されていたんです。営業部の広報係の多留さんと比弩さんに調査させたんだけど、全然違うじゃん。そう言ってくれたら協力してたのに“アダルト”って言葉につい反感もってしまったわ。どうもすみませんでした、再交渉と参りましょう。
「それで、玩具メーカー的には除外されたんですね?滝美社長さん“も”」
「大変失礼致しました・・・。わたし、美少女ってブランドでゲーム開発事業を行っておりまして・・・端末でしたら何とか・・・」
「では、我がUR業界でご助力頂けると?ほんとうに?」
「ええ、私、青木も驚きました。ですが彼のような事情があるならば是非とも・・・」
契約書に同意のサインを入れた。電子機器の発達した時代に直筆サインなんて今更古いけど、わたしが万が一、手つきが変わっちゃったらどうするんでしょう?手相も変わるというからね、せめて長期的に見て頂ければ製造メーカーとしても大変助かるんです。
――「胎芽の島ダークエンプ」の発売日――
最近、コントローラーのアタッチメントが色々出来ていたのに一律されて、名称がアダプターとかアクセサリにUSBやら何かと変わるんですね。そういったことが解消されないためにユーザー側もゲーム店舗に問い合わせたのにコールセンターに繋がると。
「現在は対応するメーカー側が倒産しておりまして」
「別の事業名として変わりまして」
「海外製造メーカーに委託しまして」
“担当責任者側と致しましても何だか忙しいご様子で”との苦情なども殺到したので、我が社としてもその憤りに対する意見には追い付けず大変、困りました。ユーザー様方、大変遺憾だと思われる“社長降ろせ”って感じのそれが3カ月は続いたんですね。営業不振とは他の製品を作るためではありませんし、全メーカーにも問合せが殺到したそうですね。
「じゃあ、沖見さんの所も“ダークエンプ”の発売延期に至った訳ってなんです?」
「AK・ILさん、申し訳ありません!ペコペコ、この度は共同開発して頂いたのに、我が社も全力投球したつもりでして!ペコペコ」
少年がゴリラに乗ってハートを集めるゲーム。ゲーム初級者専用と表記しており、ハートに設定してある勇気ポイントが溜まると100ルーという通貨システムが発生し、農機具が買える。それでステージ間にある800坪もある自宅へ戻ると自分のコテージたるエリアを開拓できるという仕組みで、そこへ訪れた他国の貿易人を掴まえて、都度その規模を広げるって企画のもとで発売したんですがコレ、なんと400円の配布型ゲームなの。
「大手玩具メーカーAK・ILと沖見電子開発事業とD-M,L開発陣との共同開発らしいですね、滝美社長。我がエービーオー雑誌編集社としても大期待してたんですよ、この低価格にそのゲーム性。それが実は課金システム搭載するなんてねぇ」
コントローラーは携帯電話じゃなくて、家庭用のテレビコントローラーとパッケージに記載しておりまして、そのコネクターとの相性はテスト段階ではバッチリでした。玩具メーカーとしては低価格分の開発費用は8割も負担しており、D-M,L開発陣からはネットに接続しなくてはグラフィックと音響の幅広さが体験できないと要望。我が社は端子とプログラマーが売りだったんで、そこまでしなくてもいいんで、お願いですから双方とも折角の機会ですので仲良くしませんか?我が社は2,000万円投資したんですから・・・。
「社長、1年間での売り上げ、250万でした。だから忠告したのに・・・」
「あのう、わたしお暇頂いてもよろしいか?」
各社へ通達。
「胎芽の島ダークエンプ」の企画について
拝啓、大空に囁くが如し、風の報せの季節に御座います。
折角の投資及び開発に至ること、9,750万円もの赤字となりました事を、お詫び申し上げます。
記
ダークエンプのコンセプトであるテレビ用コントローラーで出せと申し出たのは、わたくし滝美誠也でございます。各社殿から“携帯電話と繋いでのプレイ必須”と企画書頂きましたこと、反省の意を込めて謝罪したく考えておりました。
その総売上は“250万円”という結果となりました。
開発に携わった皆様、遺憾ながら大変恐縮です。お疲れさまでした。
尚、弊社としても誠意を込めて今後ともパートナーシップの程、よろしくお願い致します。
036年9月1日付
沖見電子開発事業、代表取締役 代理 河見大輔
あと、ハード、ソフト・・・コントローラーは何て名称で呼ばれていましたかって訳分かりませんでした。




