Ep7拓野くん
いずれ小学生以下でも超高齢化となっても、ゲーム業界なんかに勤務できる社会が出来るんじゃないでしょうかってコンセプトなんです。
032年4月2日に、新入社員のシステムエンジニアが3名も入社した。
なのに、富可 佐久士君、21歳はキャラクターモーションのアートディレクターを志望しているし、香月 和香子さん、19歳はウェブデザインを担当したいと申し出る。そして拓野 三月君、13歳はゲームデザインと効果音を生業としていきたい・・・?
「では、あなた達は我が社で格闘ゲームを製作したいと?」
「あはい、僕達は開発よりも先輩のバックアップを・・・」
「ピアノ習ってはゲーム大会で準優勝と、ふぅん?」
近年、少子高齢化が小年齢化で働くことを推奨されている。なぜかというと才能を磨くための費用は学校側から出るからで、彼等の将来性を見ていくと“多分、やる気がでるんじゃないか”と県の自治体が学校のブランド力を上げられる課題を設けたためだ。それってブランドじゃなくて海外進出とか言ってませんでした?
「はじめまして。沖見電子ゲーム開発部長、大北 哲男と申します」
「GH-Pテクニカル株式会社、甘味 勘次郎です。以後お見知りおきを」
大北君の企画書には“小年齢化におけるゲーム推進事業”と載せてある。それを延べ39枚の資料として用意。そのゲーム名は「アダプター・コンセント―マルクの奇跡―」と予定。そのコンセプトは格闘、キャラクターモーションにUSBバイブレーターと連動する炎や光とか闇と電流なんかを伝えられる技術、各キャラクターの声優割り振りに、効果音による光演出を備えるなど、要するにパンチやキックで手足の未発達な子供にも、マイクを介して声の強さでパンチとキック、必殺技の名称を言うこともできる。
「6ページのプレイ満足度の指数を開いてください」
“ペラッ、ピラッ・・・”
「プレイ回数を重ねれば重ねる程に、プレイヤーのテクニックが上達する仕様となります。もちろん、効果音にもフラッシュ・スピーカーを効かせているから爽快且つ満足感も得られるんですよね――、」
「待ってください。それって“認知機能の衰える若年層から高齢者まで”という行がありますよね?それは一体、どこから得たコンセプトなんでしょう・・・」
「僕、実は医学学部、教育部門の生徒だったんですね。それも5年前の話なんですけど」
大北君の場合、音に対する人の頭脳というのは、何も頭だけで処理する訳でもなく、体が勝手に音感を感じ取ることで、手足が伸びては曲げる動作を行うことを大学で習っている。それを行動処理能力とテキストで説明されていたらしい。体をあらゆるパターン信号で動かすと、血の巡りが良くなり、頭で音感を処理すると“覚えられなかったことが、思い出せるようになる”といった話をしている。夫婦仲だってアルバムの中だけじゃないんだね。
「子供における頭脳の働きと言うのは、つまり情報を手に取る機会によって手足だけでなく、言葉も目の動きも機敏になるという特徴を、科学的にもデーターで起こされているんですよ?」
「つまり、我が社、GH-Pがそのリズムを編集するといいのですね?」
「ええそうなんです。これも中学生レベルの発想で、大人の自分でも、」
「あの、つかぬ事をお伺いしますよ?中学生って現在、数式から科学まで国語よりも外国の最新研究で示した自由な発想でスラスラと解答できて、音のようにボンボンと伝えられる事も道具を使うだけで表現できるとか?」
遺伝子って関係ないらしいんだ。例えば“英才教育”って話を他者へ伝えていたと思うんだけど、いくら3歳からダンスを教えたからと言って、優勝する訳じゃないんだよ。5歳でも味を占めると他の味より別のボールを蹴る方へ向かうんだ。それは15歳でも同等のデーターが我が社にも送信されてあるという。
「で、通称“アダコンマルク”って何と何を繋げるんですか?アダプターとコンセントって一体でしょ?それでリズムを付けるだけで音感のレベルがアップしたりするんです?」
「そのとおり!甘味部長、そうなんですよっ、音感速度がレベルアップするんです!」
大北君は拓野君へリズム脳波装置を自身の卒業校で試したそうだ。体が温まるほどスコアが急激に上がる事を証明してみせた、脳波信号を得られたというから大変だったそうな。我が社は今、小学生の採用も考えている。そうしないと他国の競争にも負けると感じたから。「じゃあ、協力体制とればどうでしょう?」と江方君は言っていたけど、ブランド力がカギだってわたしは言ってしまったんだ。
「版権は我が社のほうで良かったんですよね?」
「はい、音感リズムは御社のほうが優れているので、沖見の版権対象となりません、」
今回のプロジェクトは、共同開発が主なんだ。GH-Pテクニカル株式会社の協力失くして、新社員の発想は活かせる事さえ出来ない。13歳で社員ボーナス付きで入れたのは良かったと思う。だって富可君も香月さんも音感が速いんだもん・・・わたしはコーヒー飲むのが精一杯なんだし。
――「アダプター・コンセント―マルクの奇跡―」のテストプレイ――
つまり手足の一部が不自由で両手が使えない人の場合、片手はマウスを弾いて、マイクで音声の高さを調節する。すると波音が奏でられ、スコアが入るに従いレベルアップを重ねる程に新たなステージたる音楽が現れるというわけ。一般的にというけど普通に楽しいと思うんだ。
「あ、音の認識が7レベルまで到達した!これ凄いや、面白いですよね、」
「でしょう?これってね、テクニック値が隠れているんですよ。これ裏コードでして、しかも上昇すると、頭が気持ちいいって認識する仕組みになってるんですねぇ~」
「大北君、あと40回テストさせてみよう。それでOKだったらゲーム雑誌社へ宣伝してくれって頼むから」
フラッシュ・スピーカーの成果は上々だった。だってこれってD-M,L開発陣の製造メーカーから急造された医療用のアダプターなんだもん。これから大学病院へ試験適用するって話なんだって。
――発売から1カ月――
「沖見電子開発部もさらに成長しましたね、滝美社長、あのゲーム大盛況でしたよ」
「ふぅん、1カ月で興行収入は5,000万円程か、これって他の媒体じゃできないの?」
「折り畳み式のボードメイカーでは、弦をタップするだけで音が鳴らせるし、演出担当的にもアリなんじゃないでしょうか?もう半年待って、それから考えてはどうでしょう?」
ねえ、テクニカル・ダンスって知ってる?足を交互に弾ませて腰をひねって腕を振るダンスだよ。ストレス解消じゃなくて、文化になってるんだって。これを中学の担任が習っていたなんて、その人はきっとサーファーもやっていたんじゃないのかな。
「拓野君、今回は“ボーナス1・5倍です”って、社長が言ってたわよ?」
「ええ、それ本当ですか?両親に早速ライン入れとかないと、税金取られちゃう・・・」
君も14歳になったんだよ、大人の腹の捩れる痛みを分からなくたって、いい年頃だと思うんだ。ちなみに彼、美少女好きなんだって。地味に嫌いかと思っていた。そのイラストはユート阿須那先生で、小学校時代からのファンなんだってさ。




